小さな後悔
私は、小学生の頃からサッカーをしている。
ただ好きで、ずっと今も。
何か実績があるわけでも、凄い選手でもない。でも、ずっとボールを追っかけている。
膝の靭帯も何回も怪我した。
小さな島の高校だったから、3年間で勝ったのは練習試合も含めて3回。
だけど。私はプロでもなんでもないけど。
恵まれたサッカー人生を歩んでいる自信はある。人に恵まれたおかげで。
ただ2つだけ、後悔がある。
今日は、そのうちの1つを。
高2の夏、新チームでキャプテンを任された。
秋の新人戦。冬の大会を助っ人の力を借りながら乗りきり、迎えた高3の春。
新入部員を迎え、初めて正式なサッカー部員だけで11人以上集まり迎えた春の大会。
結果は散々だったが、部員だけで1ヶ月半のリーグ戦を戦い抜いた。
安心から、気が緩んだ。自分では気付かなかった。
監督から
「二日間は自主練にするから。自由にしていい。休んでもいいし。自分で考えてな。」
そう言われた。
ずっと張り詰めたものが緩んだ私は、二日間休んだ。
開けて再開した練習前、チームメイトに
「あれだけ負けて、よう休めるな。すぐ総体の予選なのに。お前、キャプテンだろ?みんな、ボール蹴ったぞ。俺ら下手くそなんじゃけ、ボール触らんといけまぁ。」
この一言は、ほんとうに重かった。
部員十数人。それでも、キャプテンとして頑張ってやっていた。やってるつもりになっていた。
部員集めに奔走し、助っ人頼んで。頑張ってるつもりになっていた。
その日の練習は、死ぬほど走った。声も出した。
でも、練習前のハッとして血の気が引く感覚は拭えなかった。
あの二日間、練習したら何か変わったろうか?
今でも思うことがある。
あの二日間を取り戻す為に、きっとこの週末も私はボールを追いかける。
あの一言から、ちょうど20年。
二日間を取り戻せそうな気は、まだしない。
その間は、まだまだサッカーが好きでいられる。
そんな気がする、有難い重い一言。