引退

この時期になると、サッカー選手の引退が話題に上がりだす。
プロの、宿命。
今年も1人、好きな選手が引退を発表した。

私が、初めてスポーツ選手の引退にショックを受けたのは。実はサッカー選手ではない。
広島東洋カープ、背番号24 大野豊投手。
振りかぶってから、左手を下げて一瞬ためる。そこから、まさに全身を使って投げるフォームがたまらなくかっこ良かった。
引退試合は、確か休日のデーゲームじゃなかったか。テレビにかじりついて観ていた。
それから、何人も好きな選手が引退してきた。
そして、気付いたらその選手達が引退した時と同じ歳になっている。
私にとっての引退とはなんなのか。

幸か不幸か、私はプロサッカー選手ではない。
引退と言う概念はないし、やりたければやれる。やりたくなければやらない。それだけだ。
今のところ私は、まだまだボールが蹴りたい。
やりたい気持ちさえあれば、選手登録をして選手でいることができる。
今のところ私は、来年も私と選手契約を更新する予定だ。
昔のチームメイトに、40歳を過ぎてボールを蹴り始めた方がいた。
「サッカー、めちゃくちゃ楽しいですね!」
ある試合後、途中出場から走りまくったその人が言っていた。
今の私の目標は、最低でも、その人と同じ歳まではサッカーを続けて。
試合でも、練習でも、ボールを蹴った後で
「サッカー、楽しい」
そう、呟く事だ。

引退がないから、ずっとボールを蹴っていられる。
幸か不幸か。
それは、草サッカープレーヤーにかけられた呪いみたいなものだろう。
まだまだ私は、呪われていよう。




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