【働く論考】仕事と労働 『労働』の定義
『働く』と発話した際に『仕事』と『労働』を意識的に分類して使用する人は少ないのではないだろうか。
しかし、この2つの言葉には明らかに印象として異なるものがあり実際にその中身は異なる。
この『仕事』と『労働』をしっかりと分けて考え、自分の時間をどのように何に使うのか、今の自分の仕事は何で労働とは何かを切り分けて取り組むことによって思考が整理される人も多いのではないかと思い、本シリーズを開始する。
つまり、多くの人が『働く』ってなんだろうか、自らのやりたいことが見つからず、やりたいことを仕事にできないとか、仕事のやり甲斐が見つからないとかに悩んでいるが、その悩みは言語の不確かさによって生じているのであって働くことそのものに悩んでも答えはそこにない。
まずは現状の検討を行おう。
労働という言葉から受ける印象について
問:『労働』という言葉からはネガティブな印象を受ける人が多いのではないか?
言葉の響きである側面やメディアから受ける側面、漢字の並びから受ける印象というのは多いにあるが、今回は上記の5に着目してみる。
『労働』という言葉は、職業的であり義務感が強調された言葉であるという解説がある。
前段の『仕事』や『働く』にはボランティアや家庭内の役割などが含まれるということと対比すると『労働』は職業的であり義務的であると言え、これを金銭を稼ぐための活動として読み替えると言葉のニュアンスが伝わりやすくなるだろう。
つまり、『労働』とは金銭を稼ぐための行為であり、生きるための活動であるということが言えるだろう。
また、重要なこととして、この言葉自体にはネガティブな意味は全く含まない。
もしネガティブな印象がこの言葉に付帯するのであれば、労働そのものではなく労働以外の活動と比較した際の労働が持つ義務性によるものではないだろうか。
この義務性とは、生きるために必要な活動であるが故にそこから逃れられないことから生じているといえ、動物の生存に不可欠な活動自体の義務から来るものである。
つまり、『労働』とは生きるための活動であり、特に現代社会においては生きるために必要な金銭を稼ぐことを目的とした義務性を伴った活動であると整理できる。