東京浴場

東京浴場は私にとって自宅のお風呂のようなものだ。それくらい多く通っているし思い入れのある場所である。

引っ越してきて約1年半だが、このあたりの良いところは?ときかれ、真っ先に思い浮かぶものが、銭湯が多いこと。これは一人暮らし用の手狭な湯船しかない私には、とてもありがたいことなのだ。徒歩圏内にぱっと思い浮かぶだけで4つ銭湯があるが、その中で群を抜いて私のお気に入りなのが東京浴場である。


東京浴場の魅力は山ほどあるが、3つあげるとしたらなんだろう。

1 交互浴 2 新聞  3 天井

意外と即答できた。

1交互浴

東京浴場のお湯は熱い。熱めです、とかではなく、熱い。浴槽は3つあり、左から、そこそこあつめ、かなりあつめ、かなりあつめ と書いてあり、その文字通り、熱い。(以前は、ぬるめ あつめ あつめ の表記だったが、流石にぬるめではないことに気づいたようである。)

この熱めの風呂には、水風呂が必要なのだ。私はこの激熱風呂に水風呂の良さを教えてもらった。というのも、サウナに行くタイプでもなかったのでそれまで水風呂の良さが全くわからなかったのだ。裸に水に30秒でも浸かれるひとの気がしれなかったが、東京浴場は私に水風呂の素晴らしさを教えてくれた。寒水にしばらく耐えていると、身体の周りを薄くてあたたかい膜が覆ってくれるような感覚になる。(湯衣というんだね。)あのもやもやっとした不思議なあたたかさの感覚はやみつきだ。

そして水風呂をでて、椅子に座りしばらく気を失う。ぼーっとながめる浴場内。いろんな人がいる。おばあちゃんからチビちゃん、タトゥーのはいったギャルもたまにいる。半分気を失いながら、ぼーっとそんな場内を眺める時間も好きである。

2  新聞

新聞とは?
新聞とは、東京浴場新聞のことである。A3くらいのサイズにかかれた東京浴場新聞、これがラミネートされて毎月浴場の壁に貼ってあるのだ。東京浴場で働いている店員さんたちが、正方形マスに、それぞれスペースをもち、おのおのコメントだったりイラストをかいている。ゆるっとした雰囲気があり、ぼーっと読むのに最高なのだ。

そして、店員さんに気軽に声をかけるようなタイプではない私にとって、こういう間接的な繋がりって結構嬉しい。話したことはないけど、○○さんは最近栃木に旅行行ったんだな〜とか◻︎◻︎さんはチャリンコで都内を走り回っているらしいとか。店員さんの近況だったり、悩みだったりが知れる、なんとも心温まる新聞である。お湯に浸かりながら、この東京新聞を読む時間は心も身体も温かくなる。

3 天井

天井がとても高いと思う。銭湯は色々行ったが、こんなに天井が高いところはなかなかないのではないか。 

天井が高いと開放感がある。私の家は天井がとても低く、背の高い男性だったらろくにリラックスもできないと思うくらいだから、なおさらそのありがたみを感じる。東京浴場は天井の高さを全面的に生かしており、その工夫が素晴らしいと訪れるたびに感じる。

まずは浴場内だが、四季折々に可愛らしいデコレーションを施しているのが目に止まる。浴槽の上に吊るされているのだが、これも天井が高いため圧迫感などは全くなく、素晴らしいアイデアだ。そして高い天井に向けて窓も多く明るいうちは光が多く差し込むのも良い。明るいうちから銭湯にいる背徳感はたまらない。

そして天井を生かした、東京浴場のシンボルとも言えるもの。それが、受付を済ませたあとにまず目に止まる、ものすごい高さの本棚である。本棚にはびっしりと漫画がつまっており、大人も子供も楽しめるラインナップが揃っている。まるで漫画喫茶である。お風呂上がりに一杯やりながら各々ダラダラできるようなスペースがあるのだ。

書いていて思ったけれどやはり東京浴場は素晴らしい。きっと私はこれから他にもいろんな銭湯を開拓したりもするけれど、結局ここなんだよなと東京浴場にもどってしまうだろう。近いからというのもあるけれど、いや、おそらくこの4つのなかで一番遠くにあったとしても、私は東京浴場をマイベスト銭湯として掲げるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?