夢のある子に育ってほしくて必死にサンタを演じるが、そろそろ限界かも知れない
物心ついた頃から、私はサンタクロースの存在を信じたことがなかった。
なぜだろう。
通っていた幼稚園には、クリスマス会になったらサンタさんが来ていたのに。
幼い頃両親は、ちゃんと枕元にクリスマスプレゼントを置いてくれていたのに。
きっと私が斜に構えた子ども過ぎたのだろう。
そしてあざとく打算的な子どもでもあった。
そのため、幼稚園にアンパンマンが来た時も、
「あれはやまだ先生だ」
と気づいているくせに、
「あんなのアンパンマンじゃない~」
と茶化す同級生に対し、
「違うよ、あれはアンパンマンだよ!」
といさめ、大人の喜びそうなことをいう子どもだった。
そんなしたたかさに気づいてからか、小学校に入るころにはもう我が家にサンタイベントはなかった。
代わりに導入されたシステムはこうだ。
年2回現金5000円支給!
(1回目は誕生日。
2回目はクリスマス。)
まったく夢のかけらもない仕組みになってしまった。
このシステムに則ると、時に現物支給のサンタよりも損な気がする。
5000円を超えるものが欲しくても、買うことはできない。
当時スーパーファミコンのソフトは新品だと10800円のものが多かった。
中古でも人気ソフトは5000円では買えなかった。
そこで生まれたのが連携プレイだ。
2人で5000円ずつ出し合って10000円のソフトを買うのだ。
折しも誕生日も私と弟は1ヶ月しか違わなかったので、年2回の5000円支給日は、弟と何のソフトを買うのか夜な夜な議論し合った。
私のクリスマスの思い出はそんな思い出である。
我が子にはもっと夢を持って生きて欲しい。
常識の範囲内であれば、金額が高いとかあまり言わずに、子どもの欲しいものを買ってあげたい……
そう思って今はせっせとサンタの仕事をしている。
手紙を書かせてみたり、英語で書いたサンタからの手紙を用意したり、サンタの居場所を知らせるアプリを駆使したり、演出にも余念はない。
今のところ、まだサンタがいる体であれこれプレゼントは何にしようと悩んでいる。
なぜか今年、小3の息子からは
「この腹話術人形が欲しい!!」
と言われた。
お値段なんと、
119,000円(税込)!!!
「さ、サンタさんも世界中の子どもたちにプレゼント配らないといけないから、息子君だけにすごく高いものはあげられないんだよ~
おほほ~」
とごまかすものの、こんなことを言っていると、きっと近い将来サンタは両親だと気づくに違いない、とも思う。
サンタクロースを子どもに信じてもらうのは、なかなか難しいことのようだ。