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ブッダウッドという精油
ブッダウッドという精油をご存じでしょうか?
私は最近まで知らなかったのですが、先日、あるお店でこの精油と出会いました。
お店で香りを試したところ、ものすごく地味で目立たないというのが第一印象でした。店員さんに話を伺うと、「ブレンドに加えると、うまくまとめてくれる」とのこと。
ちょうど調香の仕事の依頼があり、手持ち以外の精油で何か使えそうなものがないか、探していたときにちょうど出会った精油でした。
ブッダウッドという名前も興味深いものがあり、なかなかお目にかかる機会もなさそうなので買ってみました。
さて、家に帰ってさっそく実際にムエットに滴下しようとすると、なかなか降りてきません。粘度が高いんです。そのせいか、ムエットに滴下しても全然匂いが立たない。時間が経っても、なかなか香らない。
こんな精油もあるのか・・・
経験値が足りない私には、まだ手に負えない代物だったかと、若干、後悔気味に。
しかし後日、調香のときに使ってみると、店員さんが言っていた、うまくまとめてくれるの意味がなんとなくわかったのでした。
ある試作でアンバー(琥珀)の精油を使ってみたところ、決めたイメージと合うけれど、アンバーの突き刺すような甘さが目立ってしまうのをなんとかしたいと思っていました。
そこでブッダウッドを足してみると、アンバーの存在感が薄らぎ、全体が穏やかな調子になり、そのためなのか、ほかの精油の香りも現れてきました。
ブッダウッド自体の香りは、少し湿り気を感じる穏やかな木、古びた布や紙、そんなイメージですが、ブレンドしてもそれらはほとんど顔を出しません。第一印象どおりの地味で目立たない子です。
しかし、高貴で強いアンバーの影に隠れていた他の精油たちを浮き出し、しかも自分はひっそりと身を潜める・・・、決して「私がまとめてあげた」などと言わないブッダウッド。
なんて、いいヤツなんでしょう(なぜか、なんとなく男性のイメージ)。ブッダという名がつくだけあると思いました。
ブッダウッドと出会って、ちょっと新境地を開拓できた気がしました。