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【有料版】 内科専門医試験の総まとめ(2021-2024年の勉強資料)(後編)

(※2024/7、初版からバージョンアップしました)
(※総合内科専門医試験を受験される先生は、冒頭部分だけでも是非お読みください)


今回は後編です。
せっかくの機会なので、過去問についての続きを書きたいと思います。

前編では、過去問をやる意味とその勉強法について書きました。
その際に、「過去問はやらなくていい」というご意見も取り上げました。なかなか書く機会もなかったので、この「過去問不要論」についてもう少し私の意見を書いてみたいと思います。

多数派ではありませんが、「過去問はやらなくてもいい」とネットやSNSで書かれている先生がおられます。実際に、その先生たちは問題集やセルトレを中心に深く勉強されていて、過去問をやらずに合格されているわけですから、全く否定するつもりはありません。

ただ、私自身、過去問をやっておいて本当によかったと強く感じていたので、このご意見が不思議でした。もちろん、それぞれの先生で考え方が異なるのは当然なのですが、なぜ「過去問はいらない」という結論になるのか。この過去問不要論について考えたことがあり、自分なりの答えが出ているので書きたいと思います。

前編では、「全く同じ問題が出るわけではないからやらなくていい」というご意見に対しては、過去問をやる意味は「全く同じ問題が出ることを期待してやるのではない」とお伝えしました(実際には同じ問題が出ることもあるのですが、私は丸暗記することが過去問をやる本質ではないと思っています)。

実は、過去問不要論には、これ以外に「本試験だからこそ」の要因が関与しています。

内科専門医試験を受験される先生はまだわからないと思いますが、総合内科専門医試験を受験される先生は、例えば、ご自分の専門科の専門医試験を受ける場合をイメージしてみてください。過去問が入手できるとします。それでも過去問はやらないでしょうか?

自分の科の専門医試験であれば、絶対に過去問をやると思います。どんな問題が出ているのか知りたいし、難易度も知りたいし、傾向も知りたい。全く同じ問題が出なかったとしても、「過去問はいらない」とはならないはずです。それどころか、過去問から勉強をはじめたり、過去問主体で勉強を進めていくともあると思います。

では、なぜ本試験では過去問不要論が出るのか。

それは、過去問まで「手が回らない」ということです。

本試験は、範囲が広すぎるし、ほとんどが自分の専門外の領域なので、そもそも疾患の基礎知識すらありません。勉強を開始した段階では、ほぼ無知の状態に近く、まずは基本的な土台作りからやらなければいけない。そして、この土台を作るだけでもとんでもない時間がかかり、問題集やセルトレを2-3周するので手一杯になってしまって、過去問までやる時間がない。

つまり、本試験における過去問不要論においては、まず「過去問まで手が回らなかった」という前提があると思っています。やることが多すぎるので、過去問は後回し、そして結局やる時間がなかった。本当にとんでもない試験なので、これは実際によくあることです。

そして、この過去問が後回しになってしまう理由もわかっています。

それは内科学会が試験問題を公開していないからです(古い過去問第1•2集はあります)。もし内科学会が全ての試験問題とその解説を本にして、それをセルトレの問題集のように、公式に「試験問題集(過去問)」として販売していたらどうでしょうか。

間違いなく、全受験生がやっているはずです。わざわざセルトレ集なんて、まわりくどいことをしないで、「試験問題集(過去問)」をやるに決まっています。つまり、公式過去問が問題集のような形でまとまっていないから、過去問が後回しになるのです。

まとめると、「試験問題が公開されておらず、まとまった過去問の資料もない。その結果、過去問対策は後回しになる。試験範囲が膨大で、さらに専門外ばかりで、問題集やセルトレだけで時間いっぱいになる。結局、過去問には手がつけられなかった。ただ、一定以上の勉強はできており合格した。→過去問は不要」

これが本試験における「過去問不要論」の正体だと思っています。

実際に、総合内科専門医試験の受験生よりも、内科専門医試験を受験された先生で過去問不要のご意見が多いように感じます。内科専門医試験は、専攻医が終わってすぐに試験があるためスケジュール的にきついことや、総合内科専門医試験とちがって、相対評価かつ合格率が高めに設定されており、そこまで徹底的に勉強できていなくても合格されていることも影響していると思います。

私の結論としては、「過去問をやっていなくても、しっかり勉強できていれば合格はできる」「やることがあまりに多いので、過去問まで手が回らないのもやむを得ない」「ただ、過去問はやっておいた方が絶対に強い」です。


長くなりましたが、最後にもう1点だけ書かせてください。

私は内科専門医試験と総合内科専門医試験の数年分の過去問を比べたことがあります。自分が受験生であった時は試験対策として、試験後はこのnoteを書いているためです。いつも思うことは、率直に「被っている」です。
各試験のそれぞれ数年間でも被っているし、内科専門医試験と総合内科専門医試験という異なる試験においても被っている。「また出たか」とか「今度はこっちの試験に出たか」という感じです。以前の記事で、内科専門医試験と総合内科専門医試験の過去問は相互にリンクしていると表現したのはこのためです。

このように書くと、「内科専門医試験よりも総合内科専門医試験の方が難しいはず」と思われる先生もおられると思います。それはその通りです。総合内科専門医試験の方がひねられていますし、選択肢も難しいし、結果的に得点しづらいです。しかし、根本は同じというか、総合内科専門医試験だから重箱の隅をつつきまくった問題ばかりを出すとか、マニアックすぎて不必要な知識ばかりを出すという感じではありません。疾患をより深く深くという感じで、細かい知識も必要になりますが、あくまで根本は同じだと感じています。内科専門医試験も全く易しいというレベルではありません。過去の認定内科試験よりは、圧倒的に総合内科専門医試験に近いように思います。実際、両者の試験問題の一部を入れ替えたとしても、誰も気づかないのではないかと思います。

ただ、これは考えてみれば当たり前のことです。内科専門医試験と総合内科専門医試験は制度上の都合で受験される先生の層が違うだけであり、主催する内科学会は同じ、試験範囲も同じ、重要事項も同じだからです。
つまり、難易度や細かいところに差はあっても、お互いの過去問はリンクしてしまうのです。私は総合内科専門医試験を受験する際に、内科専門医試験の過去問もやりましたが、とても役に立ちました。いい問題が多いなと感心したほどでした。逆も然りで、内科専門医試験を受験される先生も、余裕があれば総合内科専門医試験の過去問を見ておくことで、かなり有利になると思います。

長々と書かせていただきました。
当たり前ですが、勉強のやり方は先生それぞれです。私の考えを押し付けるつもりなど全くありません。お読みいただきありがとうございました。


本試験はとんでもない試験です。やるべきことが無限にあり、過去問まで手が回らないことだって全然あると思います。逆に、過去問だけやれば合格できるという試験でも全くありません。合格するためには「とにかく力をつける」という長期間の地道な勉強が絶対的に必要です。

自分が総合内科専門医試験を受験したときには、とにかく目の前のことに必死で、見えていないことが多かったです。その年に一緒に受験する先生もおらず、情報が入ってこない。ひとりで模索ばかりしていて、時間がかかったことも多いです。事前に知っておけば、もう少し楽だったり、近道できたと思うこともあります。私のnoteではできるだけいろいろな記事を書いて、先生方に情報を提供できればと思っています。

試験勉強は本当に大変ですが、できれば過去問をやる時間も事前にスケジュールに入れておいてもらった方が強いです。ただ、数年分で1000問以上になります。まともにやれば相当な時間を要します。要点のまとめは短時間で勉強しやすく、時間的にもメリットが多いように思います。この勉強資料が先生のお役に立てればと思います。

本当にハードな毎日が続きますが、試験勉強がんばってください!!


※本記事は他の有料記事の転用ではありません。
※第○回という記載はまるで再現しているようであり用いません。
※全部で10の専門分野に分けられますが、総合内科は関連する分野にできるだけ振り分けています。前半は消化器、呼吸器、血液、感染症、アレルギー・膠原病です。後半は循環器、内分泌代謝、腎臓、神経、その他です。
※こちらは1問1答形式でまとめた勉強資料です。その上で興味がおありの先生に限って読んでいただければと思います。


それでは後編です。


<循環器内科(70問)>

✔心電図でU波が認識しやすい部位→V2-3

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