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総合内科専門医試験対策 コラム(2023年試験の特殊性①)

試験までまだ少し時間がありますが、今回は2023年の総合内科専門医試験に出題される内容について考えてみたいと思います。

それには、まず2022年試験について話さなくてはなりません。

ご存じの先生も多いと思いますが、総合内科専門医試験はコロナ禍の影響を受け、2020年度、2021年度の2回の試験が中止になりました。このような事態は過去になかったのではないでしょうか。

その意味で、私を含めて2022年試験を受験した先生は、特殊な状況でした。直近の試験が3年前の2019年だったからです。

試験が近づくと、根本的な学力の向上だけではなく、ここは今年の試験に出るのではないかといった予想や対策もするようになります。この疾患のガイドラインが大幅に改訂された、診断基準が新しくなった、などホットなtopicがあれば、そこはしっかりおさえておいた方がいいのではと考えるのです。

(ただし、これはしっかりした基礎学力、根幹となるベースの勉強がしっかりできた上での話です。総合内科専門医試験は難易度は高いものの、それはup to dateの空中戦ではなく、病態理解の土台、いかに疾患を深く掘り下げられているかを問う問題が過半数ですので、up to dateに振り回されないでください)


そこで生じる疑問。
2022年の試験問題はいつ作られたものなのか。

2020年試験はコロナ禍で直前で試験中止が決定されていますので、2020年の試験問題はすでに作られていたはずです。それが延期になった。
翌年の2021年の試験もコロナ禍で直前に中止になりました。さすがに試験問題は作成されていたはずです。それが延期になった。

では、2022年の試験問題はどうなっているのか。
2020年、2021年の2回の問題はすべてお蔵入りさせて、新たに2022年用にすべて新作問題で作り直しているのか。それとも延期された2年分の試験問題の一部または全部を2022年に流用しているのか。

2022年に試験を受ける私たちにとって、これは大きな問題でした。

結局、今となっても2022年の試験問題がいつ作られたものだったのかは私たちは知ることはできませんが、衝撃的かつ象徴的な問題が一つありました。

「風疹とインフルエンザのワクチンを打つ場合、どれだけ接種期間をあけるか?」
という問題です。

選択肢には、「風疹が先」とか「インフルエンザが先」、「1週あける」とか「4週あける」などの選択肢が並んでいました。

答えは、「接種間隔をあける必要はない」です。
生ワクチン注射とそれ以外では間隔をあける必要はないからです。

しかし、なんと、「接種間隔をあける必要はない」という正解選択肢がないのです。明らかな不適切問題でした。

試験中、この問題を見た瞬間、「内科学会やりやがったな」と怒りがふつふつと湧いてきました。

実は、このワクチンの接種間隔は2020年10月に厚生労働省がこれまでの規定から改訂しているのです。以前は生ワクチン注射後はそれぞれどのくらい接種間隔をあけるという細かい分類があったのですが、この改訂で「生ワクチン注射とそれ以外では間隔をあける必要はない」と変更になりました。

時系列を見てみます。

1回目の延期となった2020年試験は、2020年9月に予定されていました。
そうすると、2020年試験の時点ではこの改訂以前であるため、この問題は成立しているのです。

しかし、2年の延期があり、2022年の段階ではすでに改訂済みの状態です。
そのため、正解選択肢がない。

これは、2020年試験に用意した問題をそのまま2年後の2022年に流用したことを示唆する大きな証拠だと思います。
2022年用に新しく問題を作り直していたとすれば、こんな正解選択肢がない問題は作り得ないからです。さらに、使い回したとしても、しっかりチェックがされていれば、そのまま出題されずに問題を変更したり削除しているのではないでしょうか。

すべての問題が2020年用をそのまま流用したかはわかりませんが、少なくともこの問題はそうなのではないでしょうか。つまり、「2022年試験では、2020年、2021年の問題をお蔵入りにして、2022年試験用に全て新作問題を作り直した」わけではなかったのかもしれません。

これが何を意味しているのか。
少し長くなりそうなので、今回はここまでにします。
次回に続きます。

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