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内科専門医試験について②(難易度と合格のしやすさ)

先生方、日々の勉強本当にお疲れ様です。

今回は内科専門医試験の難易度について書かせていただきます。

受験される先生は、「内科専門医試験はどれくらいの難易度の問題が出るのか」という点は、当然気になるところだと思います。むしろ、知らないままでは必要十分な勉強や対策ができません。

合格率については前回の記事で書きましたが、試験問題の難易度についても内科学会が表明してくれています。内科専門医試験の難易度は「認定内科医試験と総合内科専門医試験の中間のイメージ」とされています。「イメージ」とは、やけにざっくりとした口語的な表現ですが、内科学会の公式HPに実際に記載されています。

内科学会のHPより

このように、難易度についてはっきり公表してくれているのはありがたいですが、受験生にとっては実感しにくいという側面もあります。本試験を受験される先生は、そもそも認定内科医試験も総合内科専門医試験もどちらも受験したことがないわけです。その中間のイメージと言われてもわからないはずです。

私はどちらも受験しましたので、今回はこの点について書きたいと思います。

まず、大前提です。この大前提をサラッと読み流さないでください。特に試験勉強をまだ開始されていない先生はよくよく頭に叩き込んでください。この3つの試験の大前提は「試験範囲=内科すべて」ということです。

内科専門医試験は全部で10の専門分野から構成されています。

1. 消化器、2. 循環器、3. 内分泌・代謝、4. 腎臓、5. 呼吸器、6. 血液、7. 神経、8. アレルギー・膠原病、9. 感染症、10. 総合内科

これは試験後に送られてくる成績用紙に実際に書かれているので、「内科学会公式の分類」です(成績表には、合否結果と一緒に、各分野の自分の得点率と全体の平均得点率が記載されています)。

例えば、自分が●●内科であったとすれば、あとの9分野は専門外です。例え一般的な教科書レベルの問題であっても、他科もすべてが試験範囲に含まれるというのがどれだけ大変なことかは容易に想像がつくと思います。試験範囲が広すぎるので、しっかり準備をしていただく必要があります。

さて、内科専門医試験は、「得点率60%以上で合格となる絶対評価の試験」とされています。絶対評価の試験とは、「自分が基準点以上を取れたかどうか」のみで合否が決まりますので、試験問題の難易度はそのまま合格の難易度に直結します。

実は、総合内科専門医試験も、「得点率60%以上で合格となる絶対評価の試験」という点で同じです。つまり、総合内科専門医試験はめちゃくちゃ難しいので、得点率60%以上がなかなか取れないため合格率が低い。内科専門医試験はそれよりも難易度は高くないので、得点率60%以上がまだ取りやすく、結果的に合格率が高い。このように思っていただけるとわかりやすいと思います。

それでは、「認定内科医試験と総合内科専門医試験の中間のイメージ」とはどのようなものか。両方の試験を受けた時の私の体感を書いてみます。

認定内科医試験の勉強は率直に大変でした。確かに、医師国家試験の延長のような感じでもありました。国試の時にまとめた資料なんかを取り出してきて、他科のほぼ忘れていることを思い出していく。ただ、医師国家試験よりは難しいので、思い出すだけでなく、問題集をどんどん解きながら上乗せして知識を詰め込んでいく。とにかく試験範囲が内科全科と広いのが大変でした。当時は試験を分析をするという発想がなく、ただ問題集をひたすら解いて覚えていったという感じでした。QBなどの問題集を何周かして、year noteを覚えて、という国試の延長のような勉強の仕方でした。若手時代なので仕事が忙しく、勉強できる時間は夜しかありませんでした。仕事のあとに勉強していた記憶があります。ただ、飲み会などの遊びの約束なんかもあったりして、完全に勉強しかしていないというわけではありませんでした。それでも、なんとか時間を作って、2-3ヶ月は勉強したと思います。

一方で、総合内科専門医試験は超超絶大変でした。各科の専門医試験に出るような非常に専門性の高い問題が当たり前のように出題されます。教科書レベルの一般的知識は、もはや当たり前すぎて問われることがないほどです。疾患についてそれなりに知識を身につけたとしても、「そんな細かいところまでは知らんよ、、」というものすごい知識をガンガン問われます。「自分の科だから分けるけど、他科の先生にここまでの知識を要求するのはアカンでしょ」と思うレベルです。内科医が数ヶ月かけて勉強しても3-4割は不合格になるえげつない試験で、試験問題の傾向などの分析も徹底的に行いました。4-5ヶ月は本気でひたすら勉強しました。わずかなスキマ時間も惜しんで、あらゆる空き時間を勉強に注ぎました。

感覚的には、この中間ということです。もちろん、上に書いたのは私個人の体験談に過ぎません。ただ、内科専門医試験の過去問も見ていますが、確かに問題の難易度や受験生のレベルを考慮した総合的な合格のしやすさは、その中間という印象です。

では、実際に、内科専門医試験を受験する先生はどれくらい勉強すればいいのでしょうか。内科専門医試験は合格率が高い(合格者が多い)ので、必要な勉強量や勉強時間は一概には言えません。つまり、しっかり対策をして余裕を持って合格した上位層の先生と、ギリギリで合格できた先生では、その勉強量や知識量、情報量は全く異なります。私としては、ギリギリの勉強は推奨できず、しっかり対策していただきたいと考えています。このあたりの細かいところについては、また記事に書きたいと思います。

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