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総合内科専門医試験対策 コラム (Up to date問題の取り扱い)
先生方、日々の勉強本当にお疲れ様です。
総合内科専門医試験の勉強をしていて、どうしても気になってしまうことの一つに、「up to date問題の存在」があります。今回はそのお話です。
Up to date問題とは、「教科書にはまだ載っていない最新の知識」「新しく出たばかりの治療薬」「直近で改訂されたガイドラインの詳細」などをイメージされると思います。
例えば、「超メジャー疾患の第一選択薬が今までなかった完全に新しい治療薬に変更された」「これがNEJMに載って、ガイドラインが激変した」などの革新的な変化があったとします。これくらいインパクトが大きなことであれば、他科のことであっても早い段階で知っておくべきというのはわかりますし、興味もあります。
しかし、全科全疾患のガイドラインのマイナーチェンジまではさすがに追いかけられないのが現実です。内科全体ではガイドラインは無数にあるわけです。そのため、「up to dateの対策をするのは難しい」という苦手意識が出てしまいます。
ただ、医学界に衝撃を与えるような大きな変化ならともかく、新しすぎるマイナーチェンジまでが果たして出題されるのでしょうか。
答えは「No」です。
ここからは私の個人的見解です。
私は予備校の講師のように何十年も試験問題を研究し尽くして、それを本業としているわけではありません。ただ、2022年試験を受ける上では、かなり勉強をしましたし、直前には過去の問題も含めてかなり傾向の分析をしたつもりです。試験後もこのnoteを書いているので総合内科専門医試験や内科専門医試験の問題は把握しています。
そこで感じたことです。「新しすぎることは出題されない」。
そもそも毎年9月に行われている総合内科専門医試験はいつ作られているのか。こんなことは私を含めた受験生がわかるはずもないことですが、最低数ヶ月前でしょう。そして、その時点で、直近に変わったばかりのガイドラインを試験問題にするということはないと思います。
これは過去問を見ていればわかります。直近すぎるup to dateに関する問題は全く出題されていません。数ヶ月どころか、1-2年程度であったとしても出題されていないと思います。超メジャー疾患の超重要な変更点くらいは出題されてもおかしくはなさそうですが、それすら未確認です。全然出ていない。
むしろ、直近すぎる内容は、混乱を回避するために出題を避けることすらあるように思います。つまり、直近に改訂があった分野では、そこをつつくような問題はあえて出さずに、その年は病態などの本質的な知識を問う問題にしておく。そして、改訂されて最低でも1年、実際には2-3年くらい経って、「もうそろそろ知っておいた方がいい」と共通認識されるようになってから出題されている印象です(実際にはそれすらも少ないですが)。
このくらいの時間が経てば、勉強していて、ちょこちょこ調べたりしていれば十分に知ることができます。year noteなどでも更新されます。ですので、up to date問題とは、しっかり勉強していれば拾える「比較的新しめの知識程度」のものであり、過剰に反応する必要はないと思います。
ちなみに、最近ではup to dateに該当する問題は0問という現象も起きています。
試験後には、内科学会から試験結果が郵送されてきます。そこには各科の自分の得点、平均点が記載されているのですが、さらには、一般問題、臨床問題、up to date問題の3つそれぞれの得点率も記載されています。
2019年、2022年、2023年(2020年と2021年はコロナ禍で中止)の結果表には、なんとup to date問題はそもそも0問だったと記載されています。実際に過去問や自分が受験した年度の問題を見ても、直近にガイドラインが変更されて、それを知らないと正解できない問題はないように思います。
免疫チェックポイント阻害薬やirAEなどの知識を問う問題はありますが、これもすでに保険適用されてから10年近くたっています。免疫チェックポイント阻害薬でも、本当に直近と言える事項に関する問題は出ていません。
また、以前からup to dateに分類されるような問題の比重はかなり低いと分析されてきた先生もおられます。私も受験時代だけでなく、受験後も過去問を見ていますが同じ意見です。
いろいろ書きましたが、いわゆる「up to date問題」という言葉に過度の苦手意識を持つ必要はありません。「up to date問題の対策をしなければならない」というように、過度に振り回されないようにしてください。
総合内科専門医試験で大事なことは、up to dateばかりを詰め込む空中戦でありません。いかに疾患を深く理解できているかの普遍的で土台の知識です。根っこを深く張り巡らせているかという根幹を問う問題が大部分です。それを意識しながら、知らないことがあれば適宜調べたりする、そこで知った新しめのことを知識として覚えておく。このような勉強をしていれば、自ずとup to date問題と言われる部分までも十分にケアできると思います。
引き続き、ハードな毎日が続くと思いますが、頑張ってください。
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