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総合内科専門医試験 コラム(セルフトレーニング問題の位置付け)

先生方、日々の勉強本当にお疲れ様です。

今回は、総合内科専門医試験対策の定番の教材であるセルフトレーニング問題について書かせていただきます。

内科学会から公式に出されているセルフトレーニング問題。
略して「セルトレ」。ご存知ない先生はいないでしょう。

内科学会のHPには、「専門医の診療実績・診療能力をセルフトレーニング問題の合格をもって証明とする」と記載されています。専門医の質の維持を担保するという意味合いで実施しているのだと思います。実際にセルトレを受講すると確かにそれなりに勉強になります。ただ現実的には、これを受講しなければ総合内科専門医試験を受験することもできないし、その後の資格更新もできない。いわば、半強制的に課せられている企画と言ってもいいと思います。

さて、セルトレには本来の「生涯学習・生涯教育」という目的以外での出番があります。それは、この記事をご覧になっている先生はよくご存知の通り、総合内科専門医試験の定番の教材になっているということです。

セルトレは過去問ではないですし、総合内科専門医試験と直接は関係のないものです。そもそも趣旨がちがいます。また、セルトレは調べてもいいことを前提に作られている(むしろ即答できたら意味がなく、学習として調べさせる機会を作っている)点も異なります。実際の本試験の問題とセルトレの問題では雰囲気は異質です。しかし、セルトレは内科学会から公式に出されている数少ない教材であるため、総合内科専門医試験の対策としては必須の教材とされているのです。

もちろん、私も試験勉強としてセルトレはやりました。そして、試験に合格してからも、やはりセルトレは必要だったと感じます。ただ、個人的感想としては、「セルトレは勉強になるというよりも、やらざるを得ない」という感覚でした。

こんな感じで、今回はセルトレの試験対策としての役割について書かせていただこうと思います。

まず、セルトレは、他の問題集で勉強するのとは少し意味がちがうように感じます。総合内科専門医試験の対策としてセルトレをやる意味は、「基礎や総合的な学力を築き上げる」というよりは、「内科学会の最近の動向を把握する」という要素があると思います。つまり、セルトレ自体を軸として学力を築いていくというよりは、各科のトピックになっている疾患を把握しながら勉強していく教材です。

まだ勉強も序盤で基礎や土台ができていないのであれば、セルトレで総合的な知識、学力の底上げをしていくのは効率が良くないように感じます。セルトレには、断片的な知識を問う問題や、解説も微妙な問題も含まれています。また、セルトレは各科の全疾患を網羅しているわけではありません。セルトレ集は、新作問題も含まれますが、毎年の50問を寄せ集めたものが中心になっているからです。

そのため、クエスチョンバンクなどの問題集のように、試験勉強を目的として「全疾患を網羅し、作り込まれた問題とうまくまとめられた解説や図表から、疾患自体、周辺知識、さらには他の疾患と関連させながら学んでいく」というものとは少し異なります。問題集などで基礎や土台をしっかり勉強したあとに、セルトレで「最近の内科学会の傾向を見つつ、問題を解きながら知識を肉付けしていくもの」だと個人的には思います。

試験勉強もだいぶ仕上がってくるとわかるのですが、やはり総合内科専門医試験には、出やすい疾患、問われやすいポイントというものがあります。セルトレはベースを固めていく教材というよりは、ベースができた上で、試験に直結するかもしれない情報を取りに行くために必要な教材だと思います。

そんなマストではあるセルトレですが、自分はセルトレをやっている時間が他の問題集をしている時よりも苦痛でした。要は、セルトレが嫌いでした。それは、セルトレには一定数の悪問が含まれているためです。これによって混乱させられたり、結構なストレスがかかります。

①問題が練られておらず、答えありきで作成されている問題
問題文からはどうとでも解釈できるのに、解説では正答ありきの1本釣り、他の選択肢が誤りであることをきちんと説明できていない。こうゆうのは出題者が問題を作るのが下手クソすぎるパターンですが、他の選択肢が不正解とも言い切れずしっくりきません。公式な解説を読んでも納得できません。勉強すればするほど、もやもやする。割れ問もこれに該当します。

②悪い意味でマニアックすぎる問題
専門科の先生でもこんな知識は絶対にいらないと言っているような問題。「貴重な1問になぜこれを出す?」という感じです。なんのためにこの問題を出しているのか苦慮するし、他の教材では全く見たこともないマニアックすぎる断片的な知識を問う設問があったりします。実際に試験にも出ません。しかし、「これはいらない」とさっさと割り切れるようになるまでに時間がかかります。

③漢方や英語の意味を問うどうでもいい問題
これは本試験対策としては不要です。すぐに次に行きましょう。(生涯学習という点ではどうでもよくないことは強調しておきます)

セルトレは、あくまで生涯学習の教材ですし、調べながら解いてもいいものです。セルトレ自体も全問正解を要求しているわけではありません。そもそも総合内科専門医試験の勉強用として作られているわけでもありません。そのため、マニアックすぎたり、試験には絶対に出ない問題が紛れ込んでいます。こんな問題は躊躇なく切り捨てていいのですが、「セルトレにあったから、もしかしたら出るかもしれない」と思ってしまうわけで、このような問題に遭遇するたびに振り回されたり、結構なストレスがかかるのです。
試験勉強としては、一部は「これは不要、試験には出ない」と見切りをつけいく必要があります。この判断を問題ごとに自分でしていく必要があることが厄介であり、私がセルトレが嫌いな理由でした。

もちろん、セルトレにはいい問題も多いです。
1年分で50問です。各分野ごとに分けると、わずか数問ずつです。各科の先生が、わざわざ1年に1回の数問しか出題できない中にこの問題を入れてきた、ということは、「受講される先生にここを勉強して欲しい」というメッセージも込められているのだと思います。そして、このセルトレを5年分ほどしっかりこなすことで、最近の内科学会がどのようなことを勉強させようとしているのかという傾向を捉えることができます。

全く同じ問題は出ないですが、セルトレで扱われていた比較的めずらしい疾患も出題されていたりしますので、セルトレは外せません。ただ、個人的には、学力の基礎を築いていくには向いていない教材だと思います。個人的には、「やりたくないけどやるしかない」という感じでした。

セルトレに関しては、他のコラムでも続きを書かせていただきます。

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