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母のそばで♡あと何回キレイな夕陽を見れるか篇
95歳の母が私の家で暮らすようになって3か月目。
緩和ケアの訪問診療と訪問看護を受けている。
危ない時期もあり、皆に集まってもらったこともある。
しかし、最近は調子が上向きになってきた。
病気が良くなることはないのだけれど。
肺ガンの末期。
だけど先生も驚く生命力を発揮している。
調子が良いからドライブに連れ出す。
夕食後、夕陽を見に。
「キレーい!!」と母は叫ぶ。
あと何回こうやって夕陽を見れるだろうか?
晴れの日の確率
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「晴れ」「曇り」は空全体に対する雲の割合で区別する。
雲が1割以下を「快晴」
2割から8割が「晴れ」
9割以上が「曇り」という。
知らなかった!
考えたこともなかった!
気象衛星からの情報で晴れ/曇りを判別しているそうだ。
時間と共に変わるだろうから、気象庁も大変だな。
ざっくり言うと一年の約7割が「晴れ」なんだそう。
晴れの日なら夕陽が必ずきれいに見えるとも言えないけど。
「快晴」なら見れる確率は高そうだ。
気象庁のデータを見ていたら、頭が痛くなってきた。
おもしろいけどね。
母が以前お世話になっていた病院の先生からは
「長く見積もってあと半年」
と言われている。母の余命の話。
それからずいぶん時間が経っているので、あと5か月と想像してみよう。
150日…くらい?
具体的に数字にするとコワイーーー
150日の70%は?
といっても6月は梅雨だしな。
念のため「6月晴れの日割合」と検索する。
33%、つまり10日くらい。
年間の晴れの日は全国平均で217日。
だから月平均は18日。
まぁ、この平均に意味があるかどうか?
しかも「晴れ」というだけでは夕陽は見れるか
どうかわからない。
先日も晴れだったけど、夕陽の沈む場所に雲が
あったから雲の中に沈む夕陽を見た。
自然現象は不思議でおもしろい。
夕陽と訪問診療に感動する
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母は夕陽を見て感動する。
確かに、夕陽が沈む姿はどこでも見えるわけではない。
いつでも見えるわけではない。
つまり、いくつかの条件が合ったとき
見ることができる。
そしてその条件はなかなか合わないものだ。
お日様が沈むとき、母は
「また明日~」なんて言っている。
曇りや雨の日は当然、見えない。
ここでハタと考えた。
私たちに見えようと見えまいと
お日様は毎日昇り、そして沈んでいる。
世の中の大騒動に関係なく、粛々と
日は昇り、日は沈む。
なんだか、意味深だなあ。
というか、人間はいろんなところに意味を見出したがる。
夕陽は一日の終わりだ。
また、次の日が来る、お日様が雲で隠れていようと。
でも生き物には必ず終わりがあって、
次の日が来ないことが必ずある。
それがいつか、わからないから不安だし
わからないから生きていられる。
母の身体が動く限り、きれいな夕陽を見に行こう。
「また明日~」と言い続けよう。
こんなことができるのも
訪問診療と訪問看護のおかげだ。
息をすることさえ苦しくて、
今にも死にそうだったのに
酸素ボンベを車に積んで
夕陽を見に行く元気が出てきた。
医療って可能性を広げてくれるんだなあ!
生きている喜びを感じさせてくれるんだなあ!
月を見て喜ぶ
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寝る前に洗濯物をサンルームに干す。
母は調子が良いとき、一緒に干す。
そこから月が見える時がある。
仰ぎ見て「わぁ!きれい!!」と
母はため息交じりに言う。
先日は雲が多かった。
風があるのか、雲の動きが速い。
明るい月を隠してしまった。
眺めていると、雲が流れて月が顔を出した。
ぱああああーーーー
さっきより一層、明るい。
また、雲が隠した。
じっと見つめているとまた
ぱああああああーーーーーー
さらに月が明るい。
首が痛くなるまで一緒に眺めた。
きっと、母が居なかったらこんなに長い時間
月を眺めることはなかっただろう。
どうということもない、日々のできごと。
一緒に夕陽を見たね
一緒にお月様を眺めたね
ただそれだけのこと。
でもそれが嬉しい。
改めてお月様
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月と海と人間の関係は興味深い。
満ち潮の時、人は生まれ
引き潮の時、人は死ぬという。
人間の体は60~70%が水分。
もともと海から上がって進化した。
人間も自然の一部だから、影響を受けるのは
当たり前。
満ち潮と引き潮について改めて調べてみる。
地球で月に近い方の海は月に引き寄せられて
満ち潮になり
反対側は引き寄せられる力が弱いから
海水が取り残されて満ち潮になる。
その中間は海水が減るので引き潮になる…。
太陽も引力があるから、月の引力との関係で
大潮になったりする。
不思議過ぎて、よくわからないけど
子どもを産んだときは確かに「満ちてくる」感じがあった。
体調も月の満ち欠けが関係するらしい。
母のことから、月や太陽と地球のことに思い至った。
それだけヒマということか?
今は緊急事態ではないから。
いつ来るかわからない緊急事態に備えて
ゆっくりしておこう。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪
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