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訪問診療と訪問看護と配薬さんに助けられて

母の介護生活では驚くこと、感動することがたくさんあった。今まで見たことも聞いたこともないことが私の家で繰り広げられた!


訪問診療で!

95歳の母は肺ガンの末期だ。私の家で療養することを決心し、私も在宅で母の介護をする決心をした。それまでお世話になった病院から紹介状を頂いてわが家の近くの病院へ。

担当の先生とまだ会っていないのに、直接電話を頂いたことが私たちと先生の出会いだった。
酸素を吸う機械を設置する必要があるので了解を得る内容だった。
もちろん「ハイ、お願いします!」と答える。その日の夕方、酸素の会社の方が見えて、設置をして使い方など教えてくださった。

酸素を吸うと母は「楽になった~」と言って少し眠った。
私は先生の手際の良さに驚き、感謝した。

次の日、先生と看護師さんがわが家にやって来た。早速、肺をエコーで見る。胸水がたっぷり溜まっているのを確認すると、今から「抜く」と言う。

えっ、ここで⁉
驚いた。エコー検査を家でするだけでも驚いているのに!
先生と看護師さんは慣れた手つきで、ドラマの手術室で見るようなシートを母の身体に被せる。患部の所だけ丸く穴が開いている。

手際よく手袋をすると、消毒をして麻酔を1本打つ。表面に効くヤツらしい。もう1本、身体の内部というか奥に打つ。優しく話しかけながら怖がらないようにしているのがわかる。しかし、これはかなり痛いようだ。母は「ウーーっ!!」とうめいてベッドの手すりにしがみつく。私と妹は母の手をさすり、励ましの言葉をかける。

先生は優しく、明るく話しかける。何でもないことだと言わんばかりの雰囲気だ。私も怖さが薄れていく。

チューブを伝って胸水がバケツ(?)に溜まる。ベッド上の母と、足元のバケツの高低差で水が流れて落ちる。1リットル抜いたところでストップした。

先生は笑顔で「見てみますか?」と聞く。母は疲れてそれどころではなかった。私と妹が確認。これだけの水が溜まっていたなんて、おそろしい!重いだろうし、息もしにくいわけだ。

「呼吸が楽になった!」と母は喜ぶ。今までの苦しさがウソのようだ。こうして母は訪問診療の先生が大好きになった。

先生が帰った後、妹と「ドラマみたいだったね!」「すごいね!」と驚き合った。

訪問看護もスゴイ!

母の調子が良い時は、訪問看護ではお話をしたり軽い運動をした。酸素ボンベのキャリーバッグを引いて散歩にも出かけた。看護師さんが付いているのだから、母はすごく安心して動けた。

母がわが家で療養を始めたのは2月初旬。胸水を抜いたのと酸素を吸うことで調子が良い時間が続いた。私と毎日一緒にお風呂に入り、思い出話などをしてリラックスする。しかし、数か月すると入浴で苦しくなり、息が上がるようになった。

そこで訪問看護師さんにシャワーとシャンプーをしてもらうことにした。母の調子が良い時は風呂場でシャワーとシャンプーを、調子が良くない時はベッド上でしてもらう。

これが私にはかなりの驚きだった!!

ベッドの上で⁉

看護師さんはいつも2人体制だ。1人は枕を外してビニールを敷き、大きな紙おむつを広げる。その間にもう1人はバケツとペットボトル3本にお湯を入れる。500㏄ボトルの蓋に穴を開けてシャワーのように使う。

母の頭に適温のお湯をかけてシャンプーをする。常に笑顔で母に話しかける。「かゆい所はありませんか?」と聞くあたり、美容室みたい。母も笑顔で「気持ち良いでーす」と言う。

アワアワの頭をタオルでふき取る。そして、ペットボトルのお湯をかけて泡を流す。またふき取る、を何度か繰り返す。

枕周りは全く濡れない!! なんという技!!

たっぷりお湯を吸った紙おむつを外して、ドライヤーをする。身体も同じような要領でシャワー!ベッド上で!

母はよほど気持ちが良いのだろう。看護師さんたちが帰った後も、満足そうに髪を撫でている。

そして嬉しそうに感想を述べる。
「たったあれだけのお湯でどうするのかな、と思ったけど髪がサラサラになって気持ち良い♡今までどれだけ無駄にお湯を使ってたのかな、って思った。」

同感だ。すごい!

実は、介護生活に入る前に母のために電動ベッドを買っていた。しかしケアマネージャーさんのアドバイスに従って介護用ベッドをレンタルすることに。なるほど、介護用ベッドはベッド自体の高さを調整できる。だからケアする人に負担がない。ケアする人が腰をかがめる必要がないのだ。

しかも、組み立てや解体を一人でもできるような仕組みになっている。普通の電動ベッドはこうはいかない。

なるほど!感じ入ってしまう。

配薬さんにお世話になる

先生が処方箋を出すと、薬局が配薬するサービスがあると聞いてお願いした。待たなくて良いし、家を開けなくて良い。

母に付きっきりの必要もまだ感じていなかったけど「買い物に行ってくるね」「30分くらいで戻るね」と言って出かけても、私の姿を探している、と夫が言う。だからできるだけ傍に居ようと思った。不安になると身体の調子もおかしくなる。

そういうわけで、配薬さんにずいぶんお世話になった。
届けるだけでなく、身体や心の調子を聞いたり薬の効果や残っている薬の確認をする。

酸素濃縮器の会社の人

機械を設置に来た時から「優しいなあ」と思っていた。気遣いがすごい。この会社の方には台風の前や、停電した時などさまざまにお世話になった。ここまで心配してもらえるのかと、嬉しかった。

私にとっては全てが初めてのことで、驚きと感動の連続だった。
母は介護生活7か月で旅立って行ったけど、満足してくれていたら嬉しい。

たくさんの人たちの志高い仕事に助けられて私の介護生活はあっけなく終わった・・・。


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