逃げ場所
「こんな、こんなこと有り得ない。何本もの長い腕をもった人間なんて」
「だったら惚けたまま捕まって餌食にされなさいよ」
「信じられない、こんな怪物がげんじつにいるのか」
「目の前はどうだと思うのかな、あんたの思いと関係ないんじゃないかな」
「これは心にもぐりこんだ真実味のある幻影だ」
「そう思うならおとなしく捕らえられてしまいなさいよ」
「現実だとしてもあいつに捕まってしまうだろうな」
「どっちにしても捕らえられてしまうのかね、お気の毒さま」
「整合性がないぞ」
「そんなこと現実には関係ないし気にもかけないわ」
「わかった、これは仮想現実なんだ」
「夢から覚めるような落ちだったらどんなにステキかしらね」