向き合う感謝と哀悼

「地震樹が根をのばすたびに地殻が割れるんだよ」
「それが地面を揺るがし恐怖をあたえる地震になるのね」
「樹にとって生きるための当然のおこないだからな」
「他者にたいし不安をあたえる行為だと遠慮しないのかしら」

「生き続けるのに他者を気遣うことができるのだろうか」
「そうしなければいつかは犠牲にされてしまうでしょう」
「それで自分が犠牲になるとしてもかな」
「だれかの犠牲は必要よ。でなければ生き残れない」

「犠牲者に心からの多大な感謝だな」
「命を長らえさせてもらえて、とてもありがたいわ」
「素直に思っているのは、本当のところ弱肉強食なんだけど」
「命あるものは綺麗ごとだけではすまされないのね」