心のうち
7月、息子くんは1週間半日の日本語での体操のキャンプ、そして今週、〇一日の英語の「科学」をテーマにしたキャンプに参加している。
「怖いから一緒に来て」
案の定、初日はなんだかんだと私から見るとゴネて、父ちゃんを連れ出さないと家から出発することができなかった。父ちゃんの始業が9時半でほんとによかった。
「怖い」とちゃんと伝えられることができたことは、すごい。私ならきっと無理をしていきたくなかったとしても、「(働いてる)お母さんが困るから」と参加してたかもしれない。
私は仕事をしているわけではないし、このキャンプも本人といろいろと相談したうえで参加することに決めたのだが、なにせ、申し込みは3月だった。そのころと気持ちが変わっていたとしても責められない。
それでも大好きな「太陽系」のTシャツを着てるお兄さんを見かけ(たぶん、ユースリーダープログラムに参加してる高校生)、ちゃんと父ちゃんにバイバイできた月曜日。
そして今日は、玄関で父ちゃんにバイバイし、会場についてちょっと物おじしつつも、入っていくことができた息子君。成長したな、と思う。
唐突に日本語
娘ちゃんに夜しっかり眠ってもらうためにも、息子君のキャンプが終わる時間よりも少し早めに会場であるコミュニティセンターに行き、そこにある公園で遊ばせていた。
そしたら息子のキャンプのユースリーダーの一人に、突然「大変ですね」と日本語で話しかけられた。予測してない事態に正直ビビった私である。聞けば日系2世で、お母さんが日本人なのだそうだ。
で、息子がキャンプに参加してる話をしたら、
「あぁ、お子さん今日ちょっとパニくってました。公園で遊んでるときにフリスビーをぶつけられて、”ホームシックになった。帰りたい”って怒ってたんです。でも、その後は落ち着いたんですけど」
と、報告してくれた後に
「パニックになったけど大したことないです。彼はいい子ですよ」
とフォローまでしてくれた。私の感情を読み取っているのかと思うくらい、ごく自然に。今までのキャンプでは、こういうことがあるたびに呼び出され、息子くんを迎えに行っていたのだ。
大人数のキャンプではあるものの、ユースリーダーに加え、プリティーンの年齢のグループと合同で活動することも多く、1対多数だけでなく、個々に対応できるシステムができているようだ。
ロールモデルの存在
息子と同じように、日系で日本語がある程度分かるお兄さんの存在は、とてもありがたい。このユースリーダーの子も、息子同様に、「日本語を聞くことはできても英語のほうが堪能」だった。
ただ、友達が一人も参加していないキャンプのなかに、共通点を持っている人が存在することは、息子君にとっては大きな安心材料だったんではないかと思う。
1週間とはいえ、一日6時間以上の時間を一緒に過ごす。その中で、話を聞いてくれる似通った境遇の良い先輩がいたことは、少なくとも私にとってはありがたかった。
友達の作り方
そして改めて感じた友達を作る難しさである。私もなかなか話のきっかけを作ることができないし、新しい人間関係を構築していくことは苦手だ。バンクーバーは日系コミュニティが大きいので助けられた。
息子君は、学校に行ってる間は、「学校」という強制的に一緒にいる環境でクラスメイトとそれなりに交友することができていたが、夏休みになり、それがなくなった。
参加するメンバーが常にバラバラになりやすいサマーキャンプ。案の定、このキャンプでも息子の知り合いはいなかった。それでも文句言わずに通っていることはすごいと思う。
そして今日、こういうロールモデルのお兄さんがいて、良かったなとほっと胸をなでおろした。
ただ、その後、公園で遊んでいるときに、息子が一生懸命何か話しかけているのに、まるっきり無視されている姿を見て、やはり私は胸が痛かった。息子がそれを気にしているのかどうかはわからない。
こういう経験を積みながら、どうやって他人の注意を引くのか、自分に興味をもってもらえるように動くのかを学ぶのかもしれない。
それでも、我が子が無視される姿を見せつけられるのは辛かった。
あと3日。息子君はここでどれだけのことを学ぶのだろうか。8月はとにかく一緒に息子君のやりたいことをできるだけやっていこうと思う。だって一生に一度の彼の5歳の夏休みなんだから。