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幼馴染の懐っこい犬とそっけない猫が求愛行動を始めた日。
2/6 (火) AM 6:21
〇〇「すぅ、、、んんっ、、、、、、」
肺に送り込まれる冷たい空気にを無意識的に感じる。
あっ、、、朝のクソ冷たい空気に俺の大切な左足が晒されてるな、、、
少しズレた掛け布団をノールックで直し、、、、、布団が横になってるやんけ。
〇〇「ったく、、、、、めんどくさ、、、」
無理やり上半身を起こして、掛け布団の向きを気怠く直す。
これだったら柴田が言ってたウエイトブランケットでも買った方がいいのかな、、、今日聞いてみよ。
〇〇「よいしょっ、、、30分はいけるな。」
そうして綺麗な二度寝を決め込もうとした時、廊下のほうから騒がしく階段を駆け上がってくる音がした。
ドタドタドタドタッッ、、、、、ガチャッ‼︎
??「〇〇っ!おはよっ!」
ドアが開いたのと同時に、見慣れた学校の制服がふわりとなびいた。
まだ薄暗い部屋に太陽のように明るい笑顔と声色が現れたことで、明度がちょっと上がった気がする。
俺はベッドに入ったままだらしない声で"彼女"に言う。
〇〇「、、、、、、30分経ったらまた来て、美玖。」
金村「幼馴染を目覚ましがわりにしないで〜!
ほら早く起きてご飯食べよ!」
〇〇「後で適当に食うから、、、」
金村「だーめ!
今日は特別に私が作ってあげるから〜!」
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この朝からやたら元気に話しかけてきているのが幼馴染の金村美玖。
超絶朝方人間である美玖は、俺がまだ寝ているのにも関わらずカーテンを勢いよく開けた。
そしてまだ深夜じゃないかって程に暗い空を見せつけてくる。
〇〇「うわっ、、、マジで眠いんだって、、、」
金村「じゃあステーキでも食べる?」
〇〇「その"じゃあ"って何にも繋がってないよ?
朝からステーキって胃がバカになるわ、、、」
金村「朝からガツンと食べた方が目が覚めるよ!
お肉なら私が持ってきてあげる!」
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俺の目の前にちょこんと座り、両手をベッドの淵へ小さくのせる。
そして尻尾をブンブンと振って散歩をねだる子犬のように顔を覗き込んでくる。
〇〇「はぁ、、、分かったから待ってて?」
金村「分かった!じゃあステーキ焼い」
〇〇「それはいいからお茶飲んで待ってて。」
金村「はーい、、、」
あっ、尻尾が下にだらーんってなった。
こんな感じに美玖は昔から考えてる事が顔に出ちゃう性格なんだよな、、、笑
〇〇「ふふっ、、、変わんないな、、、笑」
俺は廊下に出た美空に聞こえないように小さく笑い、ハンガーラックにかかっている制服に手をかけた。
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AM6:38
金村「ズズズッ、、、、、おいひぃ、、、!」
〇〇「俺にもお茶淹れてもらっていい?」
金村「は〜い!緑茶でいい?」
〇〇「うん、あんがとね。」
美玖が待っているリビングのドアを開けると、彼女がすでに電気ストーブを点けておいてくれたおかげでリビングはもう暖かかった。
そんでソファに座ってお茶を啜ってる美玖に俺の分のも頼んだあと、ネクタイをダイニングテーブルに放り投げ、ブレザーを椅子の背もたれにかけた。
金村「〇〇〜、お茶入ったよ!」
〇〇「ん、ありがと。」
金村「いいえ!それでご飯はどうするの?」
〇〇「まあ適当に済まそうかな、、、納豆とかあるし。」
今日は両親が医者である俺は、親が夜勤とかの理由で家にいないことに慣れていた。
困ったことは特にないけど、強いて言うならまともな飯が食えないってことくらい。
俺が冷蔵庫から適当なものを出そうと腰を上げると、美玖が慌ただしく椅子から立ち上がった。
金村「あっ!朝ごはんは私が作るっ!」
〇〇「だからステーキはいらないってば、、、」
金村「ステーキじゃなくてシンプルなご飯!
ちゃんと〇〇が好きなお魚持って来てるから!」エッヘン
誇らしげに胸を張った美玖は、通学用カバンの隣に置いてあったエコバッグから包装された鮭の切り身を取り出した。
っていうかなんで持って来てんだよ、、、
金村「〇〇は昔からお肉よりお魚派だからね〜、、、
あっ!どうせだったらお寿司に」
〇〇「普通に焼けって。」
金村「はぁい、、、」
また尻尾が垂れ下がった美玖が寂しそうにキッチンに立った。
はぁ、、、しょうがないな、、、、、
〇〇「今度の休みさ、一緒に回転寿司にでも行く?」
金村「ほんとっ!絶対に行くっ!」
〇〇「はいはい、、、笑」
朝から機嫌が二転三転して忙しい美玖。
今度はニコニコの笑顔で魚焼きグリルへ鮭の切り身を並べている。
多分だけど美玖の前世は懐っこい子犬だな。
金村「そうだ、お味噌汁も飲むー?」
〇〇「もらうー。」
金村「はーい!」
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PM 7:34
美玖の手料理を食べ終え、雑に置いた制服にも袖を通した。
後は歯を磨いて教材あるか確かめて、、、
ピンポーン、、、
〇〇「ん?」
金村「誰だろ、、、って1人しかいないか。笑」
〇〇「だな。笑」
ガチャッ、、、
??「、、、お邪魔します。」
俺たちがインターホンに答える前に玄関扉が開いた。
今日は珍しく向こうから俺の家に来たんだな。
〇〇「おはよ、今日は珍しいじゃん。」
金村「ねっ!菜緒が自分からここに来るのって!」
小坂「そんなの菜緒の勝手やろ〜?
たまには〇〇のお家に行こうかなって、、、///」
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たった今、俺の家に入って来たのはもう1人の幼馴染である小坂菜緒。
とにかくマイペース、あとはすごい落ち着いてる。
両親が関西出身の影響で可愛らしい関西弁を使っている。
小坂「よいしょっ、、、今日はちょっと寒いわ、、、」
美玖とは対照的なタイプではあるけど2人は仲良しだし、昔っから3人でずっといる。
たまにクラスメイトから冷やかされるのが怠いけどそんなに苦じゃない。
小坂「っていうかなんで美玖がおるん、、、」
金村「〇〇は朝弱いから私が起こしてあげないと!
菜緒は早起き苦手だからな〜♪」ポンポンッ
小坂「むむっ、、、」
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美玖が勝ち誇ったかのように菜緒の方を2回叩いた。
何やってんだか、、、、そう思っていたら菜緒が早足で俺の方に近づいて来ました。
小坂「〇〇、ネクタイ曲がってんで?」
〇〇「え?」
ほんとだ、さっき適当に巻いたからな、、、
まあネクタイ結ぶのそんなに得意じゃないから雑でもいいんだけど。
小坂「しゃあないな、、、菜緒が直したる。」クイッ
〇〇「おぉ、さんきゅ。」
金村「なっ、、、!!」
首から垂れているだらしないネクタイを優しく掴み、慣れた手つきで綺麗な形に結び直していく。
菜緒は昔っから器用だから憧れるところはあるんだよな〜。
小坂「、、、よっ!できたで!」
〇〇「ありがとな。」
小坂「、、、、、、///」
〇〇「ん?どうかしたの?」
ネクタイを結び直してくれた菜緒が顔を赤らめたまま動かない。
まだなんか変なところがあるのかな?
小坂「いやなんか、、、
菜緒たち新婚さんみたいやなって、、、///」
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〇〇「なんだそれ。笑
菜緒はそういうのに憧れてんの?」
小坂「うるさいっ!
ちょっと思っただけやん、、、///」
そう顔を赤らめた菜緒がぶっきらぼうに言う。
そして首に巻いていたマフラーで口元を隠し、俺から視線を逸らす。
美玖の前世が犬だったら菜緒の前世はそっけないけど可愛い猫、、、って感じかな。
小坂「ほっ、、、ほら!はよ行かな遅刻するで!」
〇〇「まじで?
もうそんな時間か、、、ほら美玖も行くぞ?」
金村「むむっ、、、」
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PM7:40
いつもより少し遅めに家を出た俺らは歩き慣れた通学路を急ぎ足で踏み締める。
うぅ、、、ちょっと寒いな、、、、、
マフラーとか手袋を持ってくれば良かったと家を出て初めて後悔する現象に陥ってしまった。
金村「〇〇?さっきからすごい震えてるけど、、、」
小坂「もしかして寒いん?」
早速、両隣の2人が心配してくれた。
まぁ、、、ここで女子に頼るのはなんかダサいという男子高校生のプライドが登場。
〇〇「まぁ、、、こんくらいなら平気、、、」
金村「そんなわけないでしょ!」
小坂「そんなわけないやろ!」
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小坂「顔もちょっと白なってるし、、、、」ピトッ
金村「手先なんて氷みたくなってるよ!」ギュッ
〇〇「あっ、、、あの2人とも、、、、、///」
俺を心配してくれるのは嬉しいんだけどさ。
菜緒は俺のほっぺに柔らかい手を当てて、美玖も俺の手をギュッと握ってて中々に恥ずかしい、、、///
〇〇「だから平気なんだ」
小坂「ほら!菜緒のカイロ貸したる!
これで身体もあったかくなるやろ?」
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菜緒が問答無用でブレザーのポケットに暖かいカイロを突っ込んでくる。
おかげでどこかへ旅立って行った俺の体温が戻って来たような気がする。
〇〇「ありがと、、、///」
小坂「どういたしまして。
次からはちゃんとあったかい格好しいや?」
すると間髪入れずに美玖が手をポンっと叩いて、、、
金村「じゃあ私は手でも繋いでよっかな!」ギュッ
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〇〇、小坂「「はぁっ?!」」
金村「ほら!この方があったかいでしょ?」
嬉しそうに俺と繋いだ右手をプラプラと見せびらかす美玖、、、、、主に菜緒に向かって。
そして何事もなかったかのようにまた歩き出そうとすると、、、
小坂「あっ、、、そんなのアカンよっ!
他の人にも見られたらどうするんっ!」
金村「そしたら『私たちは付き合ってるの!』って
言っちゃおうかな〜♪」
〇〇「おいおい、、、何言ってんだよ、、、///」
俺が恥ずかしさの限界を迎え、繋いでる美玖の手を振り払おうとした時だ。
隣でワナワナと震えていた菜緒が大声で叫んだ。
小坂「なら菜緒だって繋いだるっ!!」ギュッ
〇〇「は?」 金村「なっ!」
小坂「そんで『菜緒が正妻や!』って言うもん!」
金村「、、、そんなのずるいじゃんっ!」
小坂「そもそも美玖が始めたんやろっ!」
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〇〇「あの、、、2人ともそろそろ、、、///」
小坂「〇〇はどっちと付き合うん!」
金村「私と菜緒、どっちがいいのっ!」
2人に両手を揺さぶられながら、自分の顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。
あぁ、、、今日は3人仲良く遅刻だな、、、、、
小坂「菜緒やろっ!」 金村「いや私でしょっ!」
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