俺の彼女は人との距離が近すぎる、、、
〇〇「、、、、、、、、」
みなさんこんにちは、櫻坂高校2年生の井上〇〇です。
突然ですが、今は教室の中で手を組みながら最愛の彼女の様子を観察しています。
あっ、キモイとか言わないでくださいね?
菅原「にゃぎ〜♪」ギュッ
井上「やめてよさっちゃん、、、」
菅原「クールなにゃぎもかわちいね〜!」
井上「もぉ〜!」
僕の彼女はクラスメイトである菅原咲月。
たった今、これもまたクラスメイトの井上和にダル絡みをしている最中です。
腕を組んだりほっぺをつついたり、、、
菅原「うへへっ♪」プニプニ
井上「にゃめろ〜!」
菅原「あははっ!可愛すぎるよ〜!!」
側から見ればJKの一般的なじゃれ合いなんです。
でも咲月に関しては、、、
キーンコーンカーンコーン、、、キーンコーンカーンコーン、、、
井上「ほらほら、授業始まっちゃうよ〜。」
菅原「ちぇっ、、、」
授業開始の合図をする学校のチャイムが鳴り響いた。
先生はまだ来てないからと、皆はゆっくりと席につき始めます。
咲月もようやく井上から離れ始めたところ。
ちなみに僕と咲月は幸運なことに隣同士です!
咲月「〇〇〜、次の授業なんだっけ?」
〇〇「英語だけど?」
咲月「ほんと!?間違えて数学の準備してた〜!」
そそっかしい動きで廊下のロッカーへ本当の教材を取りにいく咲月。
〇〇(少し鈍臭い所も咲月の可愛い所なんだよな〜)
、、、、、、じゃなくて。
これから起こるであろう出来事をよく見といてください。
咲月「ふぅ!
まだ先生来てないから助かっちゃった〜♪」
教室の扉を静かに開け、ルンルン気分で英語の教科書とノートを持ってきた咲月。
すると、、、、
菅原「きゃっ!」ドンッッ
「うおっ!」ドンッッ
やっぱり、、、咲月の肩とクラスメイトの男子の肩がぶつかってしまいました。
その拍子に2人が持っていた教科書とかを落としてしまったようで。
菅原「あちゃ〜、、、」
「悪い!ちょっとよそ見してた!」
菅原「ううん、私もごめんね!」
「えっと、、、これが菅原のか」
菅原「ありがと!」
ここだけ見れば普通の学校の風景でしょう?
だけど問題はここから。
菅原「あっ!制服が汚れちゃったね、、、」
「ん?あぁ、屈んだ時に膝ついたからかな」
菅原「ちょっと待ってね!」
パンッ!パンッ!
菅原「よし!取れた取れた!」
「おぉ、、、ありがとな、、、、、///」
菅原「こちらこそありがと!
それじゃあ英語がんばろうね〜!」
はい、ご覧いただけたでしょうか。
咲月がわざわざ男子が着てる制服の汚れを手で払ってあげていましたよね?
しかも膝ですよ?膝?
彼氏でもない野郎の汚れた膝をはたこうとしますか?
菅原「でも英語苦手なんだよなぁ、、、、、」
「おっ、、、俺が教えようか?!」
菅原「えっ!英語得意なの!」
「まぁね!」
菅原「それじゃあ今度お願いしよっかな〜?」
「おう!任せとけよ!」
おいこら待てお前。
なに僕の咲月と一緒に勉強しようとしてんだ。
いくら付き合ってることを隠しているとはいえ僕以外の男子と2人っきりというのはしんど過ぎるぞ。
菅原「よいしょ〜」
〇〇「おかえり、、、」
菅原「ただいま!なんか顔色悪いね?」
〇〇「いやまあ、寝不足かな?」
菅原「あっ!授業中は寝ちゃだめだよ?
〇〇が寝たら誰が私に英語を教えるの!」ユサユサ
〇〇「あのなぁ、、、」
菅原「おーねーがーいー!」
〇〇「分かったから!」
菅原「ひひっ!やった〜♪」
ほらほら!こういうの!!
咲月は生粋の陽キャで誰とでも仲良くするし、誰にでもこんな態度をとっているんです。
女友達よりかは控えめだけど、男にだって肩を叩いたりさっきみたいに汚れを落としてあげたり、、、、
菅原「でも先生来ないね〜」プラプラ
それに加えて口を尖らせながら足をプラプラとさせる仕草は『可愛い』以外の形容詞が思い浮かばない。
『可愛い顔』+『可愛い仕草』+『さりげないボディータッチ』=『恋』
この方程式が完璧に当てはまってしまうのが咲月なんです!!
僕に限らず全ての男子を落とす咲月についたあだ名は「ガチ恋製造機」。
〇〇「はぁ、、、、、」
改めて咲月の魅力を分析していたらため息が出る。
そうしていると咲月が俺に話しかけてきた。
菅原「あっ、帰りに図書館行こ?」
〇〇「何しに?」
菅原「勉強する!来週って英語の試験あるでしょ?」
〇〇「あいつは?さっきぶつかってた」
菅原「まあ気持ちは嬉しいけど2人っきりは〇〇が嫌な気持ちになるかな〜って笑」
〇〇「すっ、、、、、そっか」
菅原「うんっ!」ニコッ
あっぶな!
『好き』って口から飛び出す所だった。
こうやって僕に気を遣ってくれる所もあるけど、さっきみたいなのを沢山やられたら僕のメンタルが持たない、、、
どうしたものかな〜。
翌日。
中西「そこでさ、なんで私が出てくんの?」
〇〇「いや相談できるのアルぐらいだもん」
中西「まあいいけど、、、笑」
僕は咲月のことを同クラの中西アルノに相談していました。
彼女は咲月の繋がりで知り合った女友達。
アンダーグラウンドな雰囲気がどこかクセになる人だ。
〇〇「そんでさ、なんか良い対策法ない?」
中西「えぇ〜、、、」
〇〇「ほらさ!咲月が他の人にボディータッチ
しなくなるだけでも良いんだよ!」
中西「そんなもん分かんない、、、あっ」
アルがいたずらっ子のような笑顔を浮かべながら話し始める。
なんか嫌な予感しかしない。
中西「〇〇が他の女とイチャつけばいいんだよ笑」
〇〇「はぁっ?」
中西「咲月がそうしたようにさ?
〇〇もそうしたら態度を改めるんじゃね?」
〇〇「いや誰とイチャつけって、、、」
ケラケラと笑いながらよく分からない理屈を並べているアル。
こいつ、この状況を楽しんでんな?
中西「和は?」
〇〇「咲月がずっとくっついてる」
中西「奈央は?」
〇〇「あんま話したことない」
中西「じゃあ瑛紗は?」
〇〇「仲良いけどクラス違うじゃん」
中西「めんどくさ、、、あと誰いたっけ?」
あとここに名前が出てない女子で仲良いクラスメイトと言えばアルくらいだけど、、、あっ。
〇〇「アルがいるわ」
中西「は?嫌なんだけど」
〇〇「立案者だろ?
ちょっとくらい協力してくれよ!頼む!」
中西「嫌だってー!」
またまた翌日、昼休みにて。
中西「ねぇ、マジでやんの?」
〇〇「だからアルが言ったんだろ?
こうなったら最後まで協力してよ」
中西「はぁ、、、分かった分かった!」
腹を括ったようなアルと一緒に教室に入り、普段は咲月が座ってる席にアルが座る。
えっと咲月は今なにをしているんだ?
菅原「あーや!匂い嗅がせてもらっても良い?!」
小川「やだっ!」
菅原「赤ちゃんみたいでかわいいね〜♪
和もそう思わない?」
井上「彩に関してはさっちゃんと同じかな?笑」
小川「もぉ!赤ちゃん扱いしないで!」
今は小川彩、井上和と一緒にわちゃわちゃと。
菅原はいつものように2人へダル絡みしているようだ。
〇〇「ふぅ、、、行くよ?」
中西「はいはい、、、」
菅原「ねぇ2人とも構ってよ〜!」
井上「週末のテスト勉強で忙しいでーす」
小川「えっと彩は、、、彩は、、、なんかダメ!」
菅原「いや酷すぎない?!」
もぉ!なんで2人とも構ってくれないんだろうな〜。
でも私の絡み方がめんどくさいっていうのが顔に書いてあるからしょうがないか、、、
井上「そんな構って欲しいなら〇〇くんは?」
小川「そーだそーだ!」
菅原「ちょっ!声が大きいってー!」
井上「いやさっちゃんが1番大きいよ、、、」
危ない危ないっ!
クラス中に私と〇〇が付き合ってるのがバレちゃうところだったじゃん!
菅原「みんなの前はバレちゃうでしょ〜?」
小川「でもほら〇〇くんも暇して、、、る、、、、、」
菅原「え?あーや?」
なんだかあーやが急に固まってしまった。
怖い化け物でも見たような、、、いや衝撃的な映像を見た時の方がしっくりくるかな。
菅原「どうしたの?何見てるの?」
小川「みっ!見ちゃだめっ!!」
菅原「えっ?なんでなんで?」
小川「とにかくダメなのー!」
両手をブンブンと振りながら可愛らしく抗議してくる。
本当に赤ちゃんみたいでかわいい、、、!
井上「あの2人何してるんだろ?」
菅原「どの2人?」
井上「アルノと〇〇く、、、、あっ。」
小川「なぎー!」
井上「ごっ、ごめん、、、」
2人がなにやらごちゃごちゃと話している。
私は若干、状況が読めない中で〇〇が座っている机の方に目線を向ける。
菅原「もぉ〜笑。2人とも何言ってんの!
〇〇がアルノとなにをして、、、る、、、、、」
私は生まれて初めて暗い気分になった気がした。
〇〇「あっ、、、アルぅ〜?」
中西「芝居下手すぎ、、、」ボソッ
〇〇「こっ、このお菓子食べる〜?」
中西「えっ!それめっちゃ美味いやつじゃん!
私もよく食べてる!」ピトッ
〇〇「うおっ!」
中西「いやビビんなって。
もうちょっと近づくからね?」グイッ
アルノが〇〇の肩に手を置いた。
そして磁石のようにぐいっと近づき、2人の距離を縮めていく。
菅原「なにあれ、、、」
小川「あれだよあれ!ね!」
井上「そうそう!あれだよ!」
2人からフワフワした励ましを受けつつ、私は自分の心がどんどんと黒く染まっていくのを感じていた。
どうして、、、私が〇〇の彼女なのに、、、、、?
私はゆっくりと、おぼつかない足で2人のところへ歩いて行く。
〇〇「ちょっと近いって、、、」
中西「我慢してよ!私だって我慢してんだから!」
〇〇「分かってるけどなんか気まずいんだよ!」
菅原「、、、、、、〇〇?」
仲が良さそう、それはとても。
普段から私が〇〇にくっついてる時みたい。
〇〇「咲月!」
中西「おっ、どした?」
菅原「なにしてるの、、、?」
私が来た途端に距離を取り始める2人。
なぜかホッとしたような顔をしているアルノと少し気まずそうな顔をしている〇〇。
〇〇「いやこれはあの、、、」
中西「ここで挙動不審にならないでよ!
ほら、はっきり言っちゃえば良いの!」
〇〇「そうだよな、、、」
何を言おうとしているのかは漠然とだけど分かっていた。
たぶん『ごめん咲月、僕はアルノのことが好きなんだ!』とか言われちゃうのかな、、、
そう考えると目の端から涙がこぼれそうになる。
菅原「、、、、、、、、、」グスッ
〇〇「咲月?」
菅原「ごめん、、、今は1人にして、、、、、」
〇〇「えっ?ちょっと待ってよ!」
私は教室を飛び出し、廊下を走っていた。
周りの人に見られないよう顔を下に向けて。
図書室。
咲月「良かった、、、図書室なら誰もいない、、、、」
私が走った先は図書室だった。
この時間帯は誰もいないという勘が当たり、中にはカウンターの内側にいる司書さん以外の人はいなかった。
司書さんに軽い会釈を1つ、そしていくつかの本棚をくぐり抜けて図書室の1番奥へ。
菅原「よいしょ、、、はぁ、、、、、」
この図書室の壁際には生徒が1人で勉強に集中できるよう、パーテーションのついた机がいくつか並んでいる。
あまり使ってる人は見たことないけど。
菅原(どんな顔して教室戻れば良いんだろ、、、)
声は荒げなかったけど、〇〇やアルノには泣き顔を見られてしまった。
あーやも和にも余計な心配をかけちゃったかな、、、?
菅原(このまま今日は図書室にいよっかな。
でもサボるのは先生に悪いし、、、)
トントンッ
私の肩を叩く感触が2回。
たぶん勉強道具も本も持っていない私を不思議に思った司書さんだろうか。
菅原「はい、、、って〇〇!?」
〇〇「ちょっ!静かにっ!」
振り返ると、さっき私が振り切ったはずの〇〇が息を弾ませていた。
思わず大きな声を出してしまい、両手で口を押さえる。
「んんっ。」
菅原「すっ、、、すみません、、、、、」
奥から司書さんの軽い咳払いが聞こえた。
私が小さく謝ると〇〇が隣の椅子を静かに引き、静かに座った。
〇〇「あの、、、ごめんね。」
菅原「、、、なんでアルノとイチャイチャしてたの?」
〇〇「まあその、、、情けないんけど。
僕が咲月に嫉妬してたからかな?」
菅原「嫉妬?」
それから〇〇は『咲月が他の男子にもボディータッチをする』や『天然人たらし』とか『もっと美人で可愛いってことを自覚しろ』とか、、、、、
後半はほとんど褒め言葉すぎてニヤけるのを抑えるので必死だった。
菅原「なんか、、、ありがと、、、、///」
〇〇「なんでありがとうなの、、、
まあいいや、そこでちょっと提案なんだけど」
菅原「なになに?」
教室。
中西「はぁ、、、、、」
私と〇〇がバカみたいな作戦をしたおかげで咲月を泣かせてしまった。
授業があと数分で始まるというのに咲月も、追いかけて行った〇〇も帰ってこない。
井上「どうりでアルノがあんなことをね〜。
随分らしくないなって笑」
小川「本当にびっくりしたよね笑」
中西「でも咲月に悪いことした、、、
もう授業始まるのに2人とも戻ってこないし」
ガラガラガラ
その時、教師の扉が勢いよく開いた。
私の不安とは裏腹に、ニッコニコな咲月と赤面してる〇〇の2人がそこにはいた。
井上「おっ、帰ってきたよ?」
菅原「ただいま〜!」ギュッ
〇〇「みんな騒がしくしてごめんな、、、///」
元気よくクラス中へアピールするように振る舞う咲月。
彼女の右腕は〇〇の左腕にしっかりと巻き付かれている。
雰囲気的に仲直りはしたと思うんだけど、、、
中西「あの、、、咲月、、、?」
菅原「ん?どうかした?」
中西「いやさっきのを謝りたくて、、、」
菅原「あー!そんなのいいよ!
私たちのためにやってくれたんでしょ?」
数十分前まで泣いていたやつとは思えないほど明るい口調と笑顔で喋っている。
なにがあったの、、、?
菅原「あのね!私たちは付き合ってることをみんなに
隠さないことにしました!」
「「「「 ええええぇぇっ?!」」」」
クラス中から教室にヒビが入るのかと思うほどの絶叫が響いた。
他クラスの人も何人か覗きにくるほど。
「マジかよ!〇〇すげぇな!!」
「俺の菅原さんが、、、」
「はいはい、彼女に優しくされたら惚れるよな」
賞賛の声、感嘆の声、落胆の声、慰めの声、、、、、
いろんな人のいろんな声が教室中に飛び交っていた。
菅原「だからこれから教室でもイチャイチャするから
みんなよろしくっ!」
〇〇「はぁっ!?
僕はそこまでを提案したわけじゃ」
菅原「私を泣かせたのだーれだ?」
〇〇「うっ、、、、、」
中西「ぐはっ、、、」
井上「アルノもダメージ受けちゃってる、、、」
小川「ちょっと面白いかも笑」
菅原「それじゃあ〇〇!もっかいギューしよ!」ギュッ
〇〇「ちょっ!咲月、、、///」
菅原「えへへ〜、、、幸せだぁ、、、///」
それから先生が来るまで2人の抱擁が続き、授業中も手を繋いだりほっぺつついたり。
クラス中のみんなが呆れるくらいにイチャイチャと。
でもまあ2人が幸せそうだからいっか。
菅原「〇〇〜!大好き〜!」ギュッ
〇〇「僕も好きだから!
学校でもうちょい落ち着けよ、、、///」
菅原「好きすぎるから無理!」
〇〇「はぁ、、、、///」
菅原「えへへ〜♪」
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