ある兄妹が日本1のアイドルになるまで。EP1
2008/08/10
母「お誕生日おめでとう〜!」
〇〇「おめでとう!」
飛鳥「お母さん!お兄ちゃん!ありがと〜!」
今日で妹の飛鳥は9歳の誕生日。
あんなに小さかった妹がもうこんな、、、
いや、今も小さいままではあるか。
ゲシッ
〇〇「いって!!」
飛鳥「、、、お兄ちゃんが変な事考えてる顔してる。」
〇〇「、、、考えてないよ?」
飛鳥「うそだー!9歳になってもまだまだ
ちびっ子だなとか考えてたでしょ!」
〇〇「、、、なんで分かるの?」
飛鳥「こらーー!!」
僕たちには父親がいない。
飛鳥が生まれてすぐに亡くなってしまった。
父さんと死別する直前、僕は父さんに頼み事をされた。
父「、、、〇〇、、、母さんと飛鳥のこと、、、頼むぞ?」
活発だった父から発せられた、力のない言葉。
しかし、力強く刺さる目線はしっかりと僕を捉えていた。
〇〇「、、、うん!僕が2人を守るから、、、!!」
もう9年前にはなるが今でも鮮明に覚えている。
〇〇「あっそうだ!誕プレ誕プレ〜、、、はい!」
飛鳥「わっ!ありがと〜!!」
僕は1枚のCDを飛鳥に渡した。
飛鳥がずっと鼻歌を歌ってた曲。
いま大人気のアイドルグループの曲だ。
飛鳥「ダンス部で踊ってる曲がこれなんだ〜!」
母「良かったね、飛鳥!」
飛鳥「、、、2人に相談したいことがあるんだ。」
〇〇「相談?」
飛鳥「、、、アイドルになってみたいの。」
母「、、、なんでかな?」
飛鳥「私ね。この曲ですごい励まされたの!
私もこの人たちみたいになりたい、、、
それに、、、それに、、、」
母「いいわよ!」
〇〇「いいんじゃない?」
飛鳥「、、、え?」
母「飛鳥だったら何にでもなれるわよ!」
〇〇「応援してるから!」
飛鳥「、、、だめって言わないの?」
〇〇「言わないよ。」
母「飛鳥が自分からやりたい事を言うなんて初め
てだからね。応援するに決まってるでしょ!」
飛鳥「、、、お母さん、、、お兄ちゃん、、、」
飛鳥はあまり主張をしない子だった。
おそらく僕たちを困らせないため。
そんな飛鳥が初めてした主張。
それを僕らが否定するわけなんてない。
飛鳥「ありがとう、、、!!」グスッ
飛鳥は泣きながら感謝の言葉を述べた。
飛鳥の誕生日会が終わり、僕は自分の部屋へ。
〇〇「、、、今日もやるかー。」
僕は部屋の片隅の置いてある1本のギターを手に取り、パソコンを開く。
〇〇「今日は、、、1時間くらいやるか。」
開いたのはYouTube。
僕の顔が映らないちょうどの位置にカメラを置き、ライブ配信を始める。
〇〇「みなさんこんばんは。今日は1時間くらいの
配信にしようと思います。リクエストとか
あったらコメントにお願いします!」
瞬く間にコメントが書き込まれていく。
きたー!!
待ってました!!
1時間?いつもより長いね?
などなど、、、
〇〇「今日はいい事があったから長めに、、、ね。」
僕は先ほどの飛鳥を思い浮かべていた。
〇〇「、、、よし!今日はここまでかな。
ありがとうございました!」
カチッ
〇〇「、、、ふぅ。」
僕は1時間の配信を終え、自分のチャンネルページを見た。
チャンネル登録者60万人。
週2くらいのペースで弾き語りのライブ配信をするだけのチャンネル。
僕が2年くらい前から始めたチャンネル。
少しずつ視聴者が増え、今や60万人の登録者だ。
〇〇「父さんも見てるかな、、、」
このギターは父さんの形見だ。
父さんが趣味で弾いていたギター。
僕はそれを横から眺めているだけだった。
だけど父さんが僕に弾き方を教えてくれた為、たいていの曲は聞けば弾けるくらいになった。
飛鳥はアイドルかぁ、、、
僕もこのギターと一緒に、、、
翌朝。
飛鳥「おはよー、、、ふわぁ、、、」
〇〇「おはよ。なんか眠そうだね?」
飛鳥「私の好きな配信してる人がいつもより長く
配信したんだぁ、、、ふわぁ、、、」
〇〇「、、、どんな人?」
飛鳥「えーっと、、、この人!」
飛鳥は僕にスマホの画面を見せる。
僕のチャンネルだ、、、
EP1 end.
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