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非モテの僕がたまたまチョコをもらったら幼馴染が嫉妬に狂いました。

「あ〜あ、、、誰かチョコくれねぇかな〜。」

『お前に渡す奴なんていねぇよ。笑』

「うっざ。笑」


隣を歩いている同級生の男子二人組がそんなことをブツブツと話していた。

二人ともなんか余裕ぶってるけど声が震えてますよ。

まあ仕方ないか、今日は2月14日。
言わずと知れたバレンタインデーってやつだから。


〇〇(俺からしたらいつもと変わらんわ。)


高校2年になる今まで、幼馴染からの1つしか、、、、、いや母親と妹を含めたら3つだ、訂正します。

そんな身内からしかもらえない僕にとったらバレンタインデーだろうが仏滅の日だろうがほとんど一緒だ。


〇〇「はぁ、、、、、」


毎年恒例の強がりを一通り終えたところで白い息を吐く。

やっぱり他の人からもチョコが欲しいし、モテたいってのも男のプライドとして、、、


??「やっほ〜♪
   ハッピーバレンタインッ!」ドンッ

〇〇「うおっ!?」


すると後ろからドンッと勢いよく背中を押された、ていうか叩かれた。

朝からこんな元気なのは俺の中で一人だけ。


〇〇「いてて、、、おはよ天ちゃん。」

山﨑「おはよっ!」

この眩しくハジける笑顔の女の子が幼馴染の山﨑天ちゃん。

唯一の幼馴染ってことでずーっと一緒にいる。


どれくらい一緒にいるかというと、、、そうだな。

僕のアルバムをめくると、生まれた頃から高校入学まで、ほとんどの写真に天ちゃんとセットで写ってる。

なんならたまに天ちゃんソロの写真も混ざってるから誰のアルバムかよく分からなくなってくるんだよな。笑


山﨑「今年の〇〇くんはいくつのチョコレートを
   貰えるのかな〜♪」

〇〇「おいこら、非モテ男子には優しくしろって。」

山﨑「あははっ!」


このように彼女からはイジられてイジられて、、、、、

まあ10何年もこんなことやってるから慣れたものだけど。


山﨑「それじゃ学校いこっ!」

〇〇「はいはい、、、笑」


櫻坂高校。


〇〇「、、、、、、」ガチャッ


靴箱、机の中、ロッカーの中、、、

一応は可能性のある場所を色々と探してみる、一応ね。

まあ無いけど?


山﨑「〇〇くん、、、
   無いものは探しても無いんだよ、、、」ポンッ

すると後ろから天ちゃんが肩に手を置いて同情気味に話しかけてくる。


〇〇「いや勝手に虚しくさせんな。
   次の授業の準備してるだけだから!」

山﨑「その言い訳さっき聞いた、2回目。」

〇〇「、、、、、、ちょっと泣いていい?」

山﨑「はーい!」


、、、人が悲しんでるのになんでそんな元気に返事すんだ。

僕はより一層、悲しみを大きくして授業に臨んだ。


昼休み。


〇〇「ちょっと購買行ってくる。」

山﨑「おっけ!それまで待ってようか?」

〇〇「いや、職員室にも行かなきゃだから。」

山﨑「そっか、、、、、ひかるー!ご飯食べよ!」


天ちゃんは、身長の問題で1番前の席になってしまった森田ひかるの方へお弁当を持って行った。

さてと、今日は菓子パンでも食べて、先生に課題出して、、、、、


〇〇(地味に忙しいな。)


廊下に出て軽いスケジュールを組んでいると、、、


〇〇「それじゃあ最初に課題出した方が」

??「あっ、、、あのっ!!」


ん?なんか後ろの方から声をかけられた。


〇〇「はい、、、え?」


おかしい、声を掛けられたというのに姿が見えない。


〇〇「あれ〜、気のせいかな?

??「、、、りーのこと馬鹿にしてます?」

〇〇「、、、、、、してないよ?理子お姉さん。」

瞳月「してますー!
   いっつもそんな意地悪してくるもんっ!」

目線を下げてようやく見つけたのはサッカー部のマネージャー、1年生の遠藤理子。

妹にしたくなる1年生ランキングの第1位(〇〇調べ)です。

だからこんな感じに意地悪したくなるし、子犬みたいに頭をわしゃわしゃしたくなる、、、笑


〇〇「で、なんか用事あった?」

遠藤「あっ、、、えっと、、、、、///」

〇〇「あっ!部活のこと?
   それだったら今日のミーティングの時に」

遠藤「そっ、そうじゃなくてっ!!」


そう言いながら後ろで組んだ手をぎこちなく前に出す。

なんだ?部活の便りとか、、、


遠藤「これっ!先輩に食べて欲しくて、、、///」

差し出したのはレースのリボンで可愛らしく飾り付けられたピンク色の袋

、、、、、、、、、えっ?


遠藤「、、、なんか言ってくださいよ!」

〇〇「えっ、あっ、、、ありがと、、、///」

遠藤「えと、、、中にもお手紙があるので!
   それじゃあまた部活でっ!!」


僕はこの日、初めて身内以外からのバレンタインチョコを貰いました。


ちょっと前の教室。


山﨑「、、、、、、///」

森田「天ちゃ〜ん。」

山﨑「そうだ!やっぱりさ!
   ひかるが代わりに渡すってのは?」

森田「そんなわけなかろ〜?」

山﨑「ぶぅ、、、、、」

はぁ、、、私、山﨑天はとても悩んでいます。

ていうかこの時期になると決まってこうなっちゃう、、、///


森田「毎年渡してるんでしょ?
   なんでまだ緊張しちゃうのか、、、、」

山﨑「しっ、、、仕方ないじゃんっ!!」


普段通りに接せれたらどれだけ楽か、、、

バレンタインってなんかあれじゃん!特別じゃん!

去年はバッグに無理やり、一昨年は〇〇のお母さんに頼んで渡してもらって、、、///


森田「もう高校生だし、そろそろ進展したら?
   幼馴染から恋人にレベルアップ!」

山﨑「ポケモンじゃないから〜!」


机の上に置いた特別なチョコレート。

クラスの男子へ適当に渡すものとは全く違う想いを込めたもの。

いつも先週からどんな形にしようか、〇〇は苦めが好きだから砂糖は少なめ、少食だから数は少なめに、、、、、


ガラガラッ


『あれ〇〇〜、何持ってんの?』

〇〇「ん、ちょっとね〜」


山﨑「えっ?!」

森田「あっ、早くチョコ隠して!」


時計を見ればもう授業が始まる10分前。

〇〇のことを考えてたら時間があっという間だ。

私は彼に見られないよう、カバンに〇〇へのチョコを大切にしまった。


森田「ほらほら、愛しの彼がきましたよ。」

山﨑「うるさいー!」

森田「話しかけには?」

山﨑「、、、、、、行く。」

私はなんの話題もないけど〇〇に絡みに行くのが大好き。

みんなに『彼は私のものですよ〜』とか『こんなふうに話しかけれないだろ〜』とか思ったり。


山﨑「〇〇〜、ちゃんと課題出してきた〜?」

〇〇「当たり前だろ。笑」

山﨑「えぇ!私まだ写してないよ?」

〇〇「自分でやれって!」


はぁ、、、やっぱ落ち着く、、、、、

なんていうのかな、この気を使わない感じを出せるのは私にとっては彼だけだ。

、、、、、、あれ?


山﨑「手に持ってるのって何?」

〇〇「あぁ、これは、、、」

山﨑「、、、チョコ?」


透明なビニール部分からクランベリーソースでコーティングされたチョコレートが見えた。

〇〇がお母さんや妹ちゃんのチョコを学校まで持ってくるわけないし。

でも〇〇にチョコあげるなんて私以外に、、、


〇〇「これは部活のマネージャーからね。
   たぶん義理チョコってやつだと思う。笑」

山﨑「そっ、そっか、、、」




違う。

女の子が義理チョコでそんな手の凝ったものを渡すわけがない。

信じたくはないけど確実に、、、本命だ。


〇〇「でも天ちゃん以外からチョコを貰うのって
   経験ないから嬉しいかな〜、、、なんて。笑」

山﨑「そう、、、」


あっけらかんと話している〇〇とは対照的にどんどん暗くなっていく私の表情。

それから私は、〇〇の話が頭に入ってこなかった。


4限が終わり、休み時間。


森田「、、、、、、ねぇ。」

〇〇「、、、、、、なに。」

森田「あれどうしたの?」

〇〇「僕もそれ聞きたい」


山﨑「、、、なんでよ、、、、、私だけじゃ、、、」

僕と森田が見つめる先には机に伏せたまま何かを呪文のように唱え続けている天ちゃんの姿。

根明の天ちゃんがそんな姿をしてるなんて生まれてこの方、初めて見た。


森田「天ちゃんがあんなになるんて今までないし、、、
   確実に〇〇くんが原因でしょ。」

〇〇「いや僕ごときであれにはならないでしょ。」

森田「、、、天ちゃんも苦労するなぁ。」


さっきから微動だにしない天ちゃん。

クラスメイトからもかなり怪しい目で見られているし、何とかしてあげたいけど、、、


森田「とにかく優しくしてあげてね?」

〇〇「分かってるけど、、、」


山﨑「いつそんな、、、、、私だけ、、、」


放課後。


いつもは天ちゃんがチャイム鳴った瞬間に僕の席に走ってきて強制連行。

最近できたお店や有名なスイーツ、2駅先のデパートで服を選ばされたこともあったな。


山﨑「、、、、、、、、、」

森田「、、、、、、」クイッ


森田から『早く来い』との指示が出された。

よし、、、僕も腹を括ろうか、、、、、


〇〇「てっ、、、天ちゃん??」

山﨑「、、、帰る。」

〇〇「え?」


僕の方を一瞥もせずにスタスタと教室から出て行ってしまう。


森田「ほら早く追いかけて!」

〇〇「あっ、うん!」


軽く手を上げて森田に挨拶、そして廊下を虚げに歩く彼女の後を追いかけた。


通学路。


〇〇、山﨑「「、、、、、、、、、」」


〇〇(いや気まずっ?!)


普段だったらこんな沈黙を産む前に天ちゃんが喋り出すのに。

やっぱり何かただならないものが、、、


山﨑「、、、ねぇ。」

〇〇「なっ!なんでしょう!!」


歩き出して結構経った時、天ちゃんが口を開いた。

いつものような明るい声色ではなく、低音ボイスで。


山﨑「あのチョコ、美味しかった?」

〇〇「えっ?昼にもらったやつのこと?」

山﨑「美味しかったか聞いてるの、答えて。」

なんかいつもより凄く圧が強い、、、

彼女の整った顔により圧力が一層増している。


〇〇「まだ食べてないけど、、、」

山﨑「食べるの?」


彼女の目の奥が黒い、、、

雰囲気に飲まれているせいか僕たちの周りだけ夜みたいに暗いように思える。


〇〇「それは、、、
   人から貰ったものだし理子ちゃんにも悪い」


僕がそこまで言葉を放った時、天ちゃんから怒号にも近い声が聞こえた。


山﨑「嫌だっ!!!」

〇〇「てっ、、、天ちゃん、、、、、?」


山﨑「〇〇の好みも!甘いのが苦手なのも!!
   私の方がもっともっと知ってるの!!」



目尻に涙を浮かべながら苦しそうに話し続けてくる。

すると急いで自分のカバンから綺麗に飾り付けられた小袋を出す。



山﨑「これ、、、私の作ったチョコ、、、、、
   〇〇も美味しく食べれるようにしたの!」

確かに天ちゃんが毎年くれるチョコレートは食べやすい。

『甘いのが得意じゃないんだよね』なんて会話をしたのは何年前かな。

そんなのを未だに覚えてくれてるなんて、、、



山﨑「、、、〇〇のことなら誰にも負けないから。
   だから、、、、、その、、、」



少しの沈黙、冷えた空気が2人の間に流れた。



山﨑「〇〇を私だけのものに、、、したい、、、、、///」


〇〇「えっ、、、?」


山﨑「だからっ!
   〇〇の隣は私じゃなきゃ嫌なのっ!!」ギュッ



涙を浮かべたまま僕の胸に飛び込んでくる天ちゃん。

すぐに背中に手を回し、服をらシワになるくらいに強く握りしめる。


山﨑「私にして、、、、、お願いだから、、、」


悲しいくらいに弱々しい彼女の声が耳を通じて心まで。

針のように鋭く突き刺さる。


〇〇(僕は最低だな、、、)


天ちゃんの背中に手を回し、優しく距離を近づける。

僕は彼女にここまでしてもらわないと、自らの本心すら見えなかったみたいだ。


山﨑「〇〇、、、、、?」


〇〇「大好きだよ、天ちゃん。」


自分の手を彼女の背中から頭へ。

ゆったりとしたリズムで撫でながら彼女と体温を分け合った。


山﨑「えぇっ!
   今、、、私のこと大好きって、、、、///」


〇〇「言ったよ?」


山﨑「ほっ、、、ほんとに?」


〇〇「そんなの何回でも言うよ。
   僕は山﨑天のことが大好きです。」


山﨑「ふにゃっ、、、///」


あっ、天ちゃんが腑抜けた声を出して俺の方に倒れ込んできた。

昔から思ってたけど、感情の振り幅が忙しいやつだな、、、


〇〇「帰ろっか。」

山﨑「ふにゅゅ、、、、、、///」


翌日。


森田「あの2人大丈夫だったかな〜、、、」


あっ、どうも。
いつもより早く登校した森田なんですけども。

なんか〇〇くんと天ちゃんのことが気になっちゃって、、、



ガラガラッ‼︎



森田「おっ、きたきた、、、、、、え?」


山﨑「んふふっ💕
   もっとくっついてよ〜💕」

〇〇「だから学校じゃバレないようにって言った」

山﨑「え?私といるの嫌なの?」

森田「うわぁ、、、、、」


前から天ちゃんにはメンヘラ気質があると思ってたけどここまでに育ってしまうとは、、、

これは〇〇くんもお手上げなんじゃないかな?


〇〇「嫌なわけないじゃん。
   でも1日我慢した方が放課後にさ、、、ね?」

山﨑「、、、じゃあ我慢するっ!」

〇〇「はい、おりこうさんだね〜」ナデナデ

山﨑「えへへ、、、///」


森田「すごい手慣れてるね、、、」


〇〇「おっ、昨日はありがとね?」

森田「いや天ちゃんを乗りこなすのも相当むずか」

山﨑「えっ?なにひかると話してるの?」


いやそこにも突っかかってくるんかい!

これはメンヘラもメンヘラ、、、スーパーメンヘラだ。


〇〇「ごめんね、天ちゃんのこと話してた。
   昨日はこんな可愛いところがあったよって。」

山﨑「、、、照れるじゃ〜ん!」ニヤニヤ


森田「すっご、、、」


さすがは長年の幼馴染だ。

天ちゃんの乗りこなし方なんてのは熟知済みか、色んな意味で。


森田「ん?天ちゃん?」

山﨑「なにー?」

森田「首元、怪我しちゃったの?」


私は天ちゃんの首に貼ってある絆創膏に気がついた。

しかも今にも取れてしまいそうだけど、、、


ペラッ、、、


森田「あーほら、取れちゃっ、、、、、、あっ。」


〇〇「はい、新しいの。」

山﨑「ありがと、、、///」


森田「いやその跡ってもしかしてキスマー」


〇〇「シーっ、、、ね?」


森田「はい、、、」

山﨑「もぉ、、、///」

なんか、、、色んな意味でお似合いのカップルかな、、、

山﨑「大好き〜💕」ギュッ

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