みんなの上に数字が見えるんだけど、、、
AM6:30、坂道アパート。
〇〇「ふわぁ、、、ねっむ、、、」
僕はこの時間になると勝手に目が覚める。
今日も僕の体内時計は正確に動いているらしい。
ベッドから起き上がる気力をなんとか振り絞って立ち上がり、無意識のうちにキッチンへ向かう。
このアパートに住んで早くも4年が経ち、朝起きてからキッチンへ向かう動作は体に染み付いてしまったようだ。
さて、これから2つ下の妹を含めた2人分の朝食を作らなければいけない。
あ、僕たちに両親はいません。
妹が小さい頃に他界してしまったので。
だからその分、僕が妹の面倒を見ていかないと!
??「おはよぉ、、、」
朝食を作り始めて約15分、妹が起きて来たようだ。
僕は妹の方を振り向かずに答える。
〇〇「おはよ。もうすぐで朝ごはんできるから
座って待っててね、さくら。」
さくら「うん!」
妹である遠藤さくら、高校1年生。
小さい頃から甘えん坊で、いつも僕の後ろにくっついていた。
そして臆病な性格でもあり、寝る時は僕と一緒に寝ようとしてくる時が多い。
〇〇「よしっ。
さくらー!ご飯できた、、、よ、、、?」
さくら「どうかした?」
あれ?
さくらの頭の上に数字が見えるんだけど、、、?
〇〇「いや、、、さくらの頭になんか見える、、、」
さくら「あたま?」
部屋に置いてある全身鏡に向かうさくら。
さくら「あーっ!!」
良かった、、、
どうやら妹にも変な数字が見えているようだ!
さくら「寝ぐせ立ってる、、、///」
〇〇「え?」
さくら「教えてくれてありがと!
ちょっと直してくるねー!」
そういつまで洗面台に向かうさくら。
いや寝ぐせもあったけど数字は見えてないの?
さくら「よし!見て見てお兄ちゃん!
もう寝ぐせ立ってないよね!」
僕の前でクルクルと回って見せるさくら。
、、、、、、数字と一緒に。
〇〇「あっ、、、あのさ!
頭の上になんか数字見えない?」
さくら「数字?そんなの見えないけど、、、
とりあえず朝ごはん食べよーよ!」
〇〇「うっ、、、うん、、、」
朝ごはんを食べている時もずっと数字は消えなかった。
87ってなんの数字なんだよ、、、
さくら「あぁ、、、美味しかったぁ〜♪」
僕が考えてるうちに、さくらは朝ごはんを食べ終えてしまったようだ。
さくら「あっ!今日は部活の朝練があるから
もう行くね!」
さくらは食べ終えた食器を食洗機に入れ、クラリネットの入ったケースと鞄を持って出かける準備をする。
僕と同じ高校に通っているさくらだが、いつもは一緒に登校している。
さくら「パパ、ママ!行ってくるね!」
部屋の角に置かれた仏壇に向かってさくらは言う。両親の遺影が置かれている。
さくら「じゃあお兄ちゃんも!」
僕に向かって手を振って別れを告げる。
玄関のドアを勢いよく開けて学校へ向かっていった。
〇〇「マジでなんなんだよ、、、」
通学路。
普段はさくらと一緒に歩いている高校への通学路。
しかし今日は悩み事を抱えながら1人で歩く。
〇〇「何で急に見えるように、、、」
僕はさくらの数字のことを考えていた。
まぁ考えたところで何もわからないのだが。
僕が頭を悩ませている時、誰かに後ろから背中を叩かれた。
??「なーにくらい顔してるの!」ドンッ
僕はその拍子に少し躓き、地面に手をついてしまった。
〇〇「、、、なにすんだよ美月!」
美月「そんな驚くとは思わないじゃん笑。」
〇〇「ったく、、、」
美月「はいはい!早く立ち上がる!」
僕は服についた土埃をはらい、美月の方に向き直る。
〇〇「、、、お前もかよ。」
美月「??」
美月「おーい〇〇ー?」
さくらは87で美月は76か、、、
美月「かわいい幼馴染が隣にいるぞー!」
誕生日か?
でも、さくらは10月3日だから103になるはずだし、、、
美月「〇〇のばーか!」
さっきからすれ違う知らない人たちは「0」って言う数字が見えてんだよなー。
美月「、、、反応しなきゃチューするぞー!」
〇〇「さっきからなに騒いでんの?」
美月「だって〇〇が何にも反応しないんだもん!」
〇〇「あれ?」
美月「え?」
さっきまで76だったのに71に減ってる、、、?
〇〇「なぁ美月。いまなんかした?」
美月「〇〇にプチギレ中だけど?」
〇〇「プチギレかぁ、、、」
僕にマイナスな感情だったら数字が下がるとか?
、、、いやいや笑。
そんな漫画みたいな事あるわけないだろ笑。
、、、一応は検証してみよっかな。
〇〇「なぁ美月。」
美月「なんですかー?」
〇〇「いつも思ってたけどさ。
美月ってほんとに美人だよな。」
美月「なっ、、、そんな事ないよ〜///」
、、、ガチじゃん。
学校。
どうやら僕に見えるこの数字は所謂"好感度メーター"的なやつだと言うことがわかった。
仲のいいやつの数字は高くて、そんなに関わったことがない人は低い。
でもその数字の幅がすごいんだよな、、、
僕と仲がいい男友達は60〜70くらいで、女友達でもそのくらいだ。
だから美月の84とかさくらの87ってやばい数字なんじゃね?
美月「なんか今日さ、ずーっと怖い顔してるね?」
〇〇「まぁ、、、僕しか見えない問題だからね。」
美月「なんかあったら私も頼ってよ?
その、、、幼馴染なんだし、、、///」
〇〇「ん、ありがと。」
なんだか美月の顔が赤い気もするが、気にしないでおこう。
しっかし好感度メーターかぁ、、、
僕には一つの心配なことがあった。
これまで見た人の中で1桁とか10番代の数字の人はいなかったから安心していた。
だけど、確実に1人だけ僕に対しての好感度が低い人がいるんだよなぁ。
それはこの学校のアイドル、齋藤飛鳥さんだ。
飛鳥さんはなぁ、、、
僕に対しての当たりがめちゃくちゃ強いんだよ、、、
他の人に対してもツンデレな態度を取ることがあるけど、僕に対してはその4倍くらい。
教室の中を見渡してみると飛鳥さんはまだいないようだ。
それだけで少しほっとしてしまう。
〇〇「はぁ、、、」
美月「ほんとに大丈夫?」
〇〇「まぁ大丈夫。
それより飛鳥さんはまだ来ないよね?」
美月「飛鳥さんはまだ来てないけど、、、」
〇〇「良かった、、、」
美月「えー!
何で急に飛鳥さんが気になってんのー!」
〇〇「いやそんなでかい声出すなって、、、」
美月「だって普段はそんなこと言わないじゃん!」
〇〇「いろいろ理由があんの!」
??「どうかした?」
〇〇「いや美月が、、、え?」
??「なに?人の顔みて驚いちゃって、、、」
美月「あっ、飛鳥さんおはよ!」
飛鳥「ん、おはよ。」
〇〇「いや、、、そんなわけないだろ、、、、、、」
飛鳥「さっきからなにブツブツ言ってんの?」
〇〇「だって飛鳥さんの数字、、、」
飛鳥「数字?」
なんだ96って!!
飛鳥さんに限ってそんなことあるわけないだろ!!
ちょっと試してみるか、、、
〇〇「飛鳥さん!」
飛鳥「なによ?」
〇〇「なんか今日の髪型かわいいですね!
いつもと違う感じで新鮮です!」
飛鳥「は?急にそんなこと言わないでくれる?
なんか気持ち悪いんだけど、、、」
うっ、、、
やっぱり飛鳥さんの毒舌は心に来る、、、
でも、こんな口だったら絶対に数字は減ってるはず!
、、、、、、、、、121??
なんでだよ!
言動と数字が一致してねぇよ!!
〇〇「もうわけわかんねぇ、、、」
飛鳥「なにウジウジしてんの?
、、、そんな事よりもっと言えよ。」ボソッ
〇〇「え?」
飛鳥「なんでもない!じゃあね!」
〇〇「あっ、、、はい、、、」
飛鳥さんは小走りでどこかへ走り去ってしまった。顔もなんだか赤かったような、、、
〇〇「なぁ美月。」
美月「、、、なによ。」
なんで美月の数字が減ってんだよ。
、、、もしかして飛鳥さんを褒めたからか?
美月「私にはそんなこと言ってくれないくせに、、、」
確定やん。
めちゃくちゃ独り言デカいやんこいつ。
〇〇「そういや美月の髪の毛も普段と違うね。
かわいいよ。」
美月「そーでしょ!〇〇が前に好きだって
言ってた髪型にしてみちゃった〜♪」
こいつはもっと耐性つけた方がいいな。
昼休み。
美月「今日は委員会の仕事が入っちゃってるから
〇〇は1人ご飯かぁ、、、」
〇〇「なんだその残念な感じ。
僕にだってご飯を食べる友達くらい、、、」
美月「いないよね?」
〇〇「、、、ご名答。」
いや友達はいるけどあいつらみんな別のクラスに行ってんだよ。
僕はそこの輪に入れないだけ、、、それだけ。
美月「やっぱ〇〇には私しかいないかぁ♪」
〇〇「何で嬉しそうなんだよ、、、」
美月「なんでも〜♪
それじゃあ行ってくるね〜♪」
〇〇「はいはい。」
それじゃあ今日はどこで食おっかな〜。
屋上でも行ってみようか。
でもあそこってカップル多いんだよなー。
そこで1人でご飯食べるって居た堪れなくなるな、、、
飛鳥「おい〇〇。」
〇〇「なんですか?」
飛鳥「わっ、、、わたしと一緒にご飯食べろ!」
〇〇「え?いいですけど、、、」
飛鳥「よしっ!それじゃあ早く行くぞ〜♪」
142って。
これ飛鳥さんだけ数値バグってない?
屋上。
周りには同級生や上級生のカップルが隣に並んで弁当を食べている。
そんな中、、、
飛鳥「ほら〇〇、これ食え。」
さっきから飛鳥さんが僕の口に食べ物を突っ込んでくる。
〇〇「いやちょっ」
否定する前にどんどん突っ込んでくる。
〇〇「飛鳥さん!ちょっと待ってください!」
飛鳥「、、、ふふっ。」
いやおかしいだろ!
なんで人が苦しがってる姿を見て数字上がってんのよ!
飛鳥「〇〇の苦しがってる顔は可愛くて
好きだぞ笑。」
〇〇「悪魔っすか、、、」
飛鳥「まぁいつもの顔も好きだけど。」
〇〇「、、、、え?」
飛鳥「冗談だよバーカ笑。」
〇〇「はは、、、ですよね、、、」
そうして僕と飛鳥さんは2人でご飯を食べ終え、午後の授業を受ける。
そして5時間目の数学の時、、、
美月「ねーねー。」
美月「結局お昼ごはんは1人で食べたの?」
〇〇「いや、飛鳥さんと。」
美月「えっ!」
突然に大きな声を出した美月にクラス全員が注目した。
先生「おーい山下、集中しろよー。」
美月「ごめんなさい、、、」
〇〇「急にどうしたん?」
美月「えー、、、だって悔しいから、、、」
〇〇「なんだそれ笑。」
美月「もぉ!今日は一緒に帰るよ!」
〇〇「はいはい。」
飛鳥「むぅ、、、」
帰り道。
〇〇「、、、あのさ。」
美月「なに〜♪」
〇〇「何で腕組んでんの?」
美月「幼馴染だから〜♪」
なんか今日の美月は甘えん坊モード。
よくわかんないけど数字も100越えだし。
〇〇「今日の美月は甘えん坊だな笑。」
美月「、、、〇〇のせいじゃん。」
〇〇「え?」
美月「飛鳥さんにデレデレしてるから!
私の〇〇なのにー!!」
〇〇「なに言ってんの、、、」
美月「本気のやつだよ!
本気と書いてマジってやつだよ!」
僕の右手をブンブンと引っ張りながら抗議をする美月。
そんな言い合いをしていると、、、
飛鳥「こんなところで2人ともなにやってんの。」
そこに相変わらず数字が大きい飛鳥さんがやってきた。
いやもうインフレが凄過ぎじゃない?
〇〇「あれ?
飛鳥さんの家ってこっちの方角だっけ?」
飛鳥「んー。まぁ散歩みたいなもんだよ。」
美月「、、、そうなんですね!
でも私と〇〇はデート中なんで!」
〇〇、飛鳥「「え?」」
美月「ほら!この組まれた腕を見てください!」
飛鳥「そっ、、、そんな、、、」
〇〇「いや美月が勝手に組んできただけでしょ。
っていうかそろそろ離れてくんない?」
美月「やだ!!」
飛鳥「、、、、、、じゃあ私も!」
〇〇、美月「「はい?」」
そう言って飛鳥さんは僕の左手に腕を絡ませてきた。
美月「ちょっと飛鳥さん!!
この〇〇は私の〇〇なんですよー!!」
飛鳥「えへへ、、、〇〇の腕だぁ、、、///」
しっかりと僕の両腕を固定しながら口論する2人。
もうどうにでもなれ、、、
翌日。
あれから何とか2人に解放してもらい、家に帰ってきた。
はぁ、、、、、、
今日もまたあの数字に振り回されるのかな、、、
さくら「お兄ちゃんおはよ!」
〇〇「おはよさくら、、、、、、あれ?」
さくら「ん?」
昨日まで見えてた数字が見えないんだけど!!
よっしゃー!!
なんかいろいろ考えすぎて疲れるんだよな、、、
これで自由に生活できる〜♪
学校。
〇〇「、、、、、、」
美月「いや〇〇は私の方が大好きですよ?
唯一の幼馴染ですし!」
飛鳥「やまなんかよりマドンナの私の方が
いいでしょ!」
美月「なんかって何ですか!!
この超絶可愛い美月ちゃんに向かって!!」
飛鳥「なっ、、、
超絶可愛いのは飛鳥ちゃんだって、、、///」
もう数字関係なくアタックを仕掛け始めた2人でした、、、
〈後日談〉
あれ?
そういえば、さくらの数字も「87」ってめちゃくちゃ高かったよな、、、
〇〇「なぁ、さくら。」
さくら「な〜に?」
〇〇「僕のこと好き?」
さくら「ええっ!どうしたの急に、、、///」
〇〇「いやちょっと気になって。」
さくら「、、、、、、大好きに決まってるじゃん!」
〇〇「そっか笑。
俺もさくらのこと大好きだよ!」
さくら「私の方が大好きだもん!
優しいところも料理が上手なところも
お兄ちゃんの全部が大好き!」
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