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ヒーローになる時、それは今


ヒーローと出会ったのは11月の夜…
それはTikTokで海外ニキが上げた動画によるものだった。

学校もロクに行かず、怠惰の極みで閲覧するTikTok。

オススメに流れたのは男女のプロレス試合だ。





竹串が刺さっとる!!!


いや…それだけじゃないぞ…

画鋲も刺さっとる!!!!!

私は仰天した。な…なんだよ…なんだよコレ…死んじゃうよ……

胸の動悸を抑え、YouTubeにて詳細を調べた。

【ハイパーミサヲvs.勝俣瞬馬のハードコアマッチ】

ドナルドのfakeグロ動画も見れない私にとって、本当に衝撃的な動画だった。

でも見終わった時、凄く…凄く感動を覚えた。

特にあの女性…マスクを着用した選手…。布団の中で考える。夢に出る程の衝撃だ。

頭には竹串、背中には無数の画鋲が刺さり、もう見るに耐えない絵面。

でも言葉では言い表せない魅力、美しさがある

その晩、私の弱くて卑屈な気持ちがミサヲさんの力で殺された気がした。


普通ヒーローというものは正々堂々と悪と戦って、絶対にズルなんかしない方法で悪を倒して市民を守るじゃ無いですか

でもさ、例えばほら、アンパンマンとかバイキンマンと戦って、あまりにも正々堂々としすぎて負けて市民を守れない時だってあるじゃない

私が市民だったら、ズルをしても悪役より非道な手段でも本気で守って欲しいと思うよね。
そんな事してでも守ってくれるヒーローについて行きたいと思うのね。

だからあのハイパーミサヲさんの不正をしまくるパフォーマンスに凄い惹かれたのかもしれません。不正も本気の印。嘘も本気の印。命を感じる事が出来る印。


あぁ…試合に行ってみたい。ハイパーミサヲさんをこの目で焼き付けたい。

そんな事を思っていた冬の中、Twitterにて心優しいお方が1.4のチケットを譲ってくれる事になり、私は人生で初めてプロレスを見に行く事になった。

【一歩踏み出せなかった自分にバイバイ♪】

同じく東京女子プロレス所属の渡辺未詩さんのソロ曲のワンフレーズを思い出し、引きこもっていた家から私は東京へ向かった…!

東京駅に着くまでの新幹線。友人がくれたハイパミさんの缶バッジをお守りに席につく。

ふと見たスマホのニュースで次乗る予定の電車内で切りつけ事件が起こった事を知り、電車内でゲリラデスマッチが開催されないか心配で心配で堪らなかった。

あとついでに人身事故起きてた。

トラブル続きの電車旅を終えて、後楽園ホールに着いた。

長蛇の列に並ぶ。あと少しであのハイパーミサヲさんを目にする事が出来ると思うと本気で緊張してしまい、列に並んでる最中に抗不安薬を飲んだ。でも全く効かなかった。これがハイパミさんの力なのね……

遂に列が動き始め、私は人の流れるまま階段を登った。プロレスラーの落書きだらけの異様な階段。田舎者の私にはこれだけで刺激が強い。

私は普段ろくに動かない為、階段を登り切った時は心臓がもうバクバクを通り越しボコボコになっていた。

とにかく心臓がヤバいぐらい終始バクバクしてたので、試合途中で死ぬんじゃねぇかと思ってた。

ヘロヘロになって席に腰掛ける私。グッズの購入を計画していたがもうHPが0になった私を察して同行してくれた身内がアクキーを買ってきてくれた。ウキウキしながら開けてみた。

渡辺未詩ちゃんがでた。かわいい。

1時間後、遂に始まる。
この時は東京女子プロレスの事をまだよく知らず、知識の浅いまま試合を閲覧したのだがめちゃくちゃ楽しかった。隅から隅まで魅力のある3時間だった。

素晴らしい選手達が次々と試合を終え、遂に…遂にハイパーミサヲさんと中島翔子さんの試合が始まった。

入場曲 HERO(ヒーローになる時、それは今)が流れる。

大きいちびっ子達の協力の下作られたDD号に乗った女神が、今、私の前を通り過ぎる。

15分という短く儚い時間だったが、本当に…本当に濃く焼き付く試合だった。

夢の様な時間を過ごして、しばらく余韻に浸っていた。こんなに幸せな気分になったのはいつぶりだろうか

(あぁ…また試合絶対行くんだ…。アニキコール流れた時最初何言ってるか分かんなくて
「駄力!駄力!」って言ってんのかと思ってたし、伊藤麻希さんの「世界一可愛いのは〜?」のフリに皆で「微糖ぢゃぁ〜ん‼︎」って答えてんのかと思ってたし、東京女子プロレスをもっと調べてから来るべきだったぜ…。又吉のネタみたいになってたからね。)

本当に行ってよかったと思った。そして、生ハイパミさんを見れて本当に嬉しかった。

全ての試合が終了した後、3時間ぶっ通しで座っていた私の尻と背中も同時に試合終了していた。次からは座布団を持参しようと思う。

緊張で朝から何も食べていなかったので、屋台のケバブを貪った。オイシィ…


この試合を機に、どんどんハイパミさんが好きになっていった。私は語彙力が皆無なので愛の伝え方が全くわからんポン。だけど、この上ない愛の気持ちがある事をここに残します。



おわり





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