はじめて見た有名人
祖父と祖母の家は、のどかな山間の小さな村にあった。
ちいさいころ、休みなればよく遊びに行ったものだ。
そんな小さな村では、小さなお祭りが毎年やっていたのだが、祖母がおもちゃを買ってくれるので、毎年楽しみにしていた。
ある年のお祭りを前に、大人たちが騒いでいた。
「ぴんくのでんわ」が来るというのだ。
小さい村にとっては、有名人が来るというのは大事件だった。
幼いわたしは、そんなテレビの中の人なんて知らないので、
"ピンク色の電話が見れるくらいで、なんでそんなに嬉しいんだろう"
と思っていた。
が、大人たちが騒ぐくらいなので、
"きっとものすごく豪勢で、きらびやかなピンク色の電話なのだろう"
と、そわそわしていた。
それが人間だとわかったときの衝撃といったら。
内容は覚えていないが、とても笑った記憶がある。
というわけで、私の「はじめて見た有名人」は、その日「ピンクの電話」になったのである。
今はあまりお見かけしないので知らない人も多いかもしれないが、その後、時々テレビで見かけたときには、知り合いが出ているようで、鼻高々になったものだ。
ちなみに最近見た有名人は、某家電量販店に営業に来ていたピン芸人のAMEMIYAさん、冷やし中華~はじめました~、の。
一度見たことがある有名人を、知り合いのようにあつかっちゃうのなんでだろう。
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