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23歳、人生の岐路と 夏

 どうも、こぐまです。私はいま漫画喫茶にいて、遣る瀬のなくなった気持ちと一緒に楽しくデート中です。閑話休題。

 ツイートでも呟いたのだけど、ストレスがやばいと味が鈍くなるものですね。ラーメンを夕方食べたんだけど、醤油を軽くふた回しして、お酢をひと回しして美味しく感じた。食べ終わって一息ついて、冷えたスープを飲むと塩っ辛くて、味が戻った嬉しさと悲しさとで少し悲喜こもごもとはこういうことかとなりました。

 今日はいつも聞いている自分の人生のバイブルみたいになってる『33歳の夏休み』のことを絡めてなにか書きたくなったので書いています。

 私が初めてこの曲に出会ったのは、確か19歳でちょうど浪人をしていたとき。高校を卒業して、大学を受験して、確か全部落ちて浪人をした。言い訳をすると、高校では父親に"理系に行かなきゃ学費を出してやらないからな‼️"と言われて、元々文系科目が好きなのに理系で数3や生化と戦って卒業に必死だった。父親曰く"お前は社会で上手くやっていけないから皮膚科医にでもなっておじいちゃんとか老人の話し相手の方が向いてる。金も稼げる"なんて理由だったか。

 でも、浪人した理屈はなんだってよくて、私は当時初めて無職を体験した。職場や学校法人といった居場所がすなわち、社会的身分を証明してくれるものであって、それは心理的にもくるものなんだと。いや、本当は某3大予備校に夏まで通っていたんだけど、辞めた。

 辞めたのは、結局は甘えたくなかったから。塾や先生というものに縛られずに自分1人でどこまでやれるのかなって。そして、落ちた時に責任転嫁をしたくなかったから。でも、学生証みたいなものを返却する際はかなしかった。あゝこれで私の身分を証明してくれるものはまた一つ減ったんだなって。

 それで確か冬に人伝にこの曲に出会った。最初は神聖かまってちゃんってバンドはメンヘラ御用達という悪い噂しか知らなかった。けど初めてこのMVに出会ってずっと泣いてたんだ。

"空浮かぶ君の雲 寂しげ夏
案外慣れてっちゃうんだ人生
クソな暮らしも
きっとこの先は飼い猫だって
いなくなる時が 失っていくんだもっと
僕は色々と"

"甘酸っぱい可能性をまだ秘めている
きっとこの先は酒に酔って 目が覚めた時
失っていくんだもっと 僕は色々と
空浮かぶ僕の雲 寂しげ夏
33才さ人生にただ疲れてる
きっとこの先は叫んだって
君との夏はいつか終わるんだって
消えていこう水色の街中へ
カンカンと枯れて カンカンと枯れて"

わけもなく泣いていた。なんでかは思い出せない。けど、人生ってそんなもんだよねって否定せずに諦めたようでいて、それでも前を向くその力強さに、多分きっと、わけもなく泣いたんだ。そんな気がする。

 大学受験に落ちた時、"お前は高校受験に失敗してまた失敗したんだな"と父親に否定をされた気がする。それは浪人して、それなりの大学に受からなかった時もそうだった。けど、そうやって人の人生を失敗と決めつける父親が本当に嫌いだ。それは多分ずっと変わらない。

 浪人して、今は漸く大学の四年生だ。中高の同期は、大体はもう就職して一年めの歳で、給料初飲みとかいうよさげなインスタのストーリを見かけたりもしたが、私はまだ学生だ。大学院に進もうとしているからそれはまだ変わらない。けれども、色々と沢山得るものもあった。友人だったり、友達との飲みだったり、人に怒られたり、謝ったり、旅に出かけたり、だ。

 私はずっと学校と家にしか居場所がなかったけども、そんな事はなくて、自分は自由だとも思った。けれども、もうすぐ卒業を迎えようとしてる今となっては、得たものも沢山あるけど、失ったものもそれなりにある。

"きっとこの先は酒に酔って 目が覚めた時
失っていくんだもっと 僕は色々と"

辛くてどうしようもない時に酔って、寝て、気分を落ち着かせて初めて失ったことをわかる。感情に揺さぶられてるときは感情に酔うが、失ったとわかるのは、酔いが覚めた後だ。人生はそんなもんで、案外慣れていくんだろう。きっと

 私は今、大学4年生でこの先の人生の岐路に立っている。大学院に受からないかもしれないし、就職もよくわからない。最後はくたばるのも仕方ないと思っているが、それはそうとして、まだ諦めきれない。どんだけ枯れても、前へと進む意志だけは諦めきれない。そんな自分のよくわからないちっぽけな誇りみたいなところを、この曲はずっと支えてくれている。

 そんな、青臭いのもがまだまだ私の中にあって、それがいつまでも、老獪になろうとも何処かで残っていますように。

春過ぎて夏来るらし今年もと
こもれびふらせ青き夏なら

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