宇宙へ 株式投資【三菱重工】021 三菱重工技報より② 宇宙用マイクロプロセッサ
著名投資家であるウォーレンバフェット氏の教え「その会社の社長になりたいと思えるような企業に投資せよ」・・・これに従い私も社長になりたいような会社を探しています。
私は小学生の頃からの憧れ・・・「宇宙」に関連した日本の株式会社「三菱重工」を会社四季報の中から見つけ出しました。この会社の社長になりたいくらい「三菱重工」という会社が大好きです。
もっと詳しくなりたいので、いろいろと調べ物をすることにしました。 今回のシリーズは次のような資料に基づいて情報収集を行っています。
・会社四季報(東洋経済)
・公式ホームページ(三菱重工)
・有価証券報告書(三菱重工)
・中期経営計画書(三菱重工)
・日本経済新聞
ちなみに猫の写真は内容と無関係です。私が猫好きなので選びました。
三菱重工の公式HP内に「三菱重工技報」の記載があるのを見つけました。ここには製品・技術に関するレポートがあります。そのうち「航空宇宙特集」というテーマが6件ありましたので、少しづつアップしてみたいと思います。
(021)三菱重工技報より② 宇宙用マイクロプロセッサ
Vol. 58 No. 4 (2021) 航空宇宙特集
次世代宇宙用マイクロプロセッサの開発
マイクロプロセッサとは,演算や制御等の機能を1つの半導体チップに実装したものを指し,近年はCPUやメモリ,通信機能等を1チップに搭載したものがスマートフォンや自動車,電化製品等で広く使用されている。
宇宙機においてもマイクロプロセッサは必要不可欠な部品であり,競争力を担う戦略部品である。JAXAは,宇宙用マイクロプロセッサを宇宙産業の基幹的部品と位置付け開発を進めてきた。
"次世代宇宙用マイクロプロセッサ(次世代MPU)"は,JAXAが開発した現行マイクロプロセッサの後継機に位置付けられており,三菱重工が開発した宇宙用マイクロプロセッサ(SOI-SOC2)の実績と耐放射線強化に関する技術·特許を保有することが評価され,三菱重工がJAXAから次世代MPUの開発取りまとめメーカとして選定を受け開発を進めるものである。
2021年度時点,試作品の開発を完了し,フライトモデルの設計·製造を進めている状況である。
1. 特徴
次世代 MPU の特徴
1.1 低消費電力と高エネルギー効率 民生の先端 SOI(Silicon on Insulator)技術を利用し,単位消費電力あたりの処理性能で世界ト ップレベルを実現する。
1.2 多彩な通信機能と SoC(System on a Chip)
多彩な通信機能を内蔵し,適用先は宇宙分野だけでなく,デュアルユースも検討する。
また,通信機能を含めた複数の機能やメモリ等を1つのチップに搭載する SoC 設計技術により, システム全体の部品点数削減によるコストダウンや電子基板設計の簡略化に寄与する。
通信機能,内部メモリ容量等の開発仕様に関して,従来の部品開発以上にユーザニーズとの 整合を重視し,開発初期から次世代 MPU の将来ユーザを想定したユーザ会を JAXA とともに設 置し,意見収集,及び,仕様策定を実施した。
1.3 セキュリティ機能
衛星コンステレーションによる通信ビジネス等で,今後より重要になると考えられる宇宙機シス テム等に対するセキュリティ機能への要求に対応すべく,以下の機能を実装する。
(1) 暗号処理 各種暗号アルゴリズムを活用し,データの難読化,データ(プログラム含む)の出自証明を実 現する。
(2) アクセス管理 価値の高いデータや秘密情報等の保護すべき情報への意図しないアクセス(不正アクセス を含む)を,ハードウェア的に禁止する機能を実装する。
1.4 耐放射線性能
これまでの宇宙用マイクロプロセッサ(SOI-SOC2 他)開発で三菱重工が習得した耐放射線設計技 術を元に,宇宙用マイクロプロセッサとして必要な耐放射線性能(Total Ionizing Dose,Single Event Error)を実現する。
1.5 Operating system(OS)
ITRON仕様のリアルタイム OS をハードウェアと並行して開発し,ソフトウェア開発を容易に する。
1.6 開発環境
顧客の初期導入を支援するため,評価基板を用意する。また,統合開発環境として, ルネサスエレクトロニクス社製の e² studio を利用可能とする。これにより,すぐに使えて,評価でき る開発環境を提供する。
2. 仕様(省略)
3. 今後の展開
三菱重工は,これまでに試作品(エンジニアリングモデル)を開発し,電気的機能・性能評価,及 び,耐放射線性能評価,信頼性評価を実施した。
今後,2022 年度打ち上げ予定の革新的衛星 技術実証3号機で,エンジニアリングモデルを使用した軌道上実証を予定している。また, フライトモデルの設計にも着手しており,製品化に向けて確実に開発を進めていく。
製品の供給 時期について,エンジニアリングモデル・開発環境(評価基板を含む)は 2021 年 10 月時点で供 給可能,フライトモデル・OS は 2022 年度末頃を予定している。 フライトモデルの開発が完了したのち,JAXA 衛星等の政府系宇宙機を中心に搭載されること を見込んでいるが,将来的には民間宇宙やデュアルユースへの展開も視野に入れている。
展開 策の1つとして,廉価版パッケージの要素技術の基礎検証を実施している。また,マイクロプロセ ッサ単体の販売だけでなく,製品を使用した衛星搭載用電子機器等の開発も検討を進めている。
宇宙用マイクロプロセッサは,日本の宇宙機の競争力を担う基幹的部品である。三菱重工は,次世代 MPU を安定供給することで,日本の宇宙科学・宇宙産業の発展に貢 献していく。
私にとって難解な内容です。「宇宙用」のマイクロプロセッサが必要であることと、三菱重工はこの分野でJAXAから評価されていることは理解しました。単に高性能であるだけでなく、放射線に強いことが重要のようです。
宇宙で使用することを前提に様々な製品を開発し、それを地球上でも使用すれば、超高性能な余裕のある製品を私たちは保有することになります。常に過酷な状況はイノベーションを引き起こすもののようですね。