見出し画像

宇宙へ 株式投資【三菱重工】023 三菱重工技報より④ 宇宙太陽発電システム

 著名投資家であるウォーレンバフェット氏の教え「その会社の社長になりたいと思えるような企業に投資せよ」・・・これに従い私も社長になりたいような会社を探しています。

 私は小学生の頃からの憧れ・・・「宇宙」に関連した日本の株式会社「三菱重工」を会社四季報の中から見つけ出しました。この会社の社長になりたいくらい「三菱重工」という会社が大好きです。
 
 もっと詳しくなりたいので、いろいろと調べ物をすることにしました。 今回のシリーズは次のような資料に基づいて情報収集を行っています。

・会社四季報(東洋経済)   
・公式ホームページ(三菱重工)
・有価証券報告書(三菱重工) 
・中期経営計画書(三菱重工)
・日本経済新聞 

ちなみに猫の写真は内容と無関係です。私が猫好きなので選びました。


 三菱重工の公式HP内に「三菱重工技報」の記載があるのを見つけました。ここには製品・技術に関するレポートがあります。そのうち「航空宇宙特集」というテーマが6件ありましたので、少しづつアップしてみたいと思います。

(023)三菱重工技報より④ 宇宙太陽発電システム

Vol. 45 No. 4 (2008)   航空宇宙特集
宇宙太陽発電システムと無線電力伝送技術

※この論文を以下のようにまとめてみました。

宇宙太陽光発電システム(SSPS)研究開発状況報告について
 SSPSとは、宇宙空間の太陽光発電衛星で発電した電力を、マイクロ波やレーザーといった無線技術を用いて地上へ伝送し、電気エネルギーとして利用するシステムです。

SSPSのメリット
 クリーンで安全なエネルギー: 二酸化炭素排出量がゼロで、地球環境への
負荷が少ない。
 安定的な発電: 天候や昼夜の影響を受けず、安定的に発電が可能。
 大規模な電力供給: 大量の電力を遠隔地へ送電できる。

SSPSの実現に向けた取り組み
 国の研究機関や大学との共同研究: 当社は、SSPSの実用化に向けて、国の研究機関や大学と連携し、技術開発を進めています。
技術開発の現状と成果: 本報告では、これまでの研究開発の状況や、得られた成果について詳しく説明します。

SSPSの将来性
 SSPSは、将来のエネルギー問題や地球温暖化問題を解決する可能性を秘めた画期的な技術です。

宇宙太陽光発電システムの概要
 宇宙太陽光発電システムは、地球の上空約3万6千キロメートルの静止軌道上に設置された多数の太陽電池パネルで発電を行い、その電力をマイクロ波またはレーザーに変換して地上へ送るシステムです。

システムの仕組み

・発電: 静止軌道上では、昼夜や天候に関係なく常に太陽光が当たるため、効率よく安定した発電が可能です。

・電波への変換: 発電された電力は、マイクロ波またはレーザーに変換されます。

・地上への送電: 変換された電波は、ビームとして地上に設置された受電設備に向けて正確に照射されます。

・受電と電力変換: 地上の受電設備で電波を受信し、再び電力に変換して商用電力の系統に接続します。

安全対策
 ビーム制御: マイクロ波やレーザーのビーム方向を厳密に制御することで、受電設備以外の場所への照射を防ぎます。
冗長化: 万が一、太陽電池パネルに故障が発生した場合でも、他のパネルや制御システムによって、ビームが安全な方向に制御されるようになっています。
立入・飛行規制: 受電設備周辺や上空は、安全確保のために立入や飛行が制限される区域となります。

目標
 発電規模: 火力発電所1基分(約400メガワット)程度の電力を供給することを目指しています。
 電力価格: 一般的な電力と変わらない価格で供給することを目指しています。
 商用化: 2030年頃の実用化を目指して開発が進められています。
このシステムの最大のメリットは、宇宙空間で安定した発電が可能で、地球環境への負荷が少ないクリーンエネルギーであるということです。

宇宙太陽光発電システムの技術開発における主な成果
システム技術
 課題: 大規模な宇宙構造物の面精度確保が難しい。
 解決策: テザー(ワイヤー)を用いた構造制御。
 成果: シミュレーションと実験により、テザー制御がパネルの振動を大幅
 に抑制できることを実証。大型柔軟構造の制御に有効であることを確認。

マイクロ波送受電技術
 課題: 高効率な電力変換と高精度のビーム制御。
高効率化
 半導体アンプの解析モデルを用いた回路最適化。
試作システムで無線電力伝送効率を従来の30%から45%に向上。
今後はGaN半導体アンプとの組み合わせで75%以上の効率を目指す。
 高精度ビーム制御
パイロット信号を用いたビーム制御に加え、受電設備での位置ずれを補正するクローズドループ方式を導入。
要素試験でビーム制御精度を従来の5度から0.6度以下に改善。
宇宙太陽発電システムに換算すると、0.0001度以下の高精度が期待できる。

大型宇宙構造体技術
 課題: 宇宙空間での展開と硬化。
 解決策: 複合材を用いたインフレータブル展開構造。
 成果: 試作トラス構造で展開実験に成功。二次元トラス展開試験では、拡
 大率20倍以上を達成。

地上実証実験
概要
 三菱重工は宇宙太陽光発電システムで開発した無線電力伝送技術(マイクロ波とレーザー)の実用化に向け、地上での実証実験を計画・実施してきました。特に、レーザーによる地上エネルギー伝送実験は、2007年にJAXAとの共同研究で実施されました。この実験では、500メートルの距離でレーザー光によるエネルギー伝送を行い、技術の基礎的な検証と課題の抽出を行いました。

目的
 無線電力伝送技術の検証: マイクロ波とレーザーのどちらの技術が、宇宙太陽光発電システムに適しているのかを評価するため。
技術課題の抽出: 実験を通じて、実際の運用における課題や改善点を明らかにするため。
実験内容(レーザーの場合)
伝送距離: 500メートル
目的: レーザー光によるエネルギー伝送の実現性と、その際の課題を明らかにすること。

今後の展望
 今回の地上実証実験の結果を踏まえ、より大規模な実験や、宇宙空間での実証実験へと繋げていく予定です。

技術波及
 宇宙太陽光発電システムで開発された無線電力伝送技術は、他の分野でも応用が期待されています。その一例として、電気自動車向けの無線充電システムが挙げられます。

電気自動車向け無線充電システム
 仕組み: 駐車場に設置された送電装置からマイクロ波を放射し、電気自動車の下面に取り付けられた受電装置で受信して充電します。
安全性: 送電装置と受電装置の間は完全に遮蔽されているため、人体や他の物体に影響を与えることはありません。
 利便性: ユーザは、車両を駐車するだけで自動で充電できるため、ケーブル接続などの手間が省けます。
 高効率: 宇宙太陽光発電システムで培った技術を活用し、90%の高効率な電力転送を目指しています。


この論文から以下のことがわかりました。

・人工衛星で発電した電力を宇宙から地上に伝送するシステムであり、まだ
 実用化されていない。

・二酸化炭素排出量が0。将来のエネルギー問題や地球温暖化問題を解決で
 きる。

・電気自動車向けの無線充電システムに応用できる。

 実現したら、とても人類にメリットのあるものですね。期待してしまいます。

いいなと思ったら応援しよう!