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【展覧会感想 】『アートの冬音 四人展2024』超絶技巧とこだわりの、見たことないアート群

アートの冬音 四人展
会場 有楽町 東京交通会館B1FシルバーサロンB
会期 2024/12/8(日)〜14(土)

有楽町駅前の本屋があるビル、東京交通会館には、いくつもギャラリーがあります。絵画サークルのグループ展が多く、私は絵が好きなので、近くに来た際は気になる展覧会があると立ち寄っています。

この『アートの冬音 四人展』は、小さいギャラリーで開催しているのを見かけました。しかし、外から見ても、何らかのアート作品であることは分かるのですが、これらが何を使った、どういう種類のアートなのかが、ひと目では分からない。

とりあえず入ってみることにしました。

展覧会ハガキ

超絶技巧と気が遠くなるようなこだわりを持つ四人の作家

中に入ってもしばらくは気がつかなかったのですが、この展覧会は四人の作家さんによる展覧会でした。

シャドウアート 岩瀬早苗さん

立体華曼荼羅アート

これは、シャドーボックスという手工芸アート。
雑貨屋などでたまに、絵画や絵本が立体的に浮き出ている置き物を見たことがある方もいるかもしれません。それの超絶凄いバージョン、のようです…

斜めから撮った写真

綺麗なお花が何層も重ねられ、絵画では表現できないような独自の美しさが感じられます。

接写

凄まじい多層構造。CGで言うレイヤーのように、部分によって層の厚さを変え、複雑で幻想的な美しさを生み出しています。

私はこの実物を見ても、素材が何でできているのかが分かりませんでした。

在廊されていた方に教えていただいたところ、信じられないことに、これらはトレーシングペーパーによる切り絵(!)だそうです。

切り絵のデザイン

会場では各作家さんの手造りアクセサリーも販売していました。私はブローチ集めが趣味なので、かわいいお花のブローチを購入しました。

お花のブローチ

パーチメントアート 教誓由香子さん

パーチメントアート

レースで表現された美しすぎるお花?のように見えました。こんなアート作品も見たことがありません。一体何なのでしょうか?

接写

やはり、レース生地のようにも見えますが…?

教誓さんの作品についても、丁寧に教えていただけました。なんと、このパーチメントアートというアートも、トレーシングペーパーによる作品とのこと(!)。説明を聞いても、凄すぎて信じられません…

別のパーチメントアート
会場には何作も展示されています
接写。これが、紙…!?

このパーチメントアート(クラフト)というアートは、トレーシングペーパーを、エンボスペン、専用の針、極細のハサミによって一つ一つ穴を開け、少しずつカットして作るそうです。

その工程を聞いているだけで、無限の手順と時間がかかることが想像できます。しかし、教誓さんは手の早い作家さんとのこと。確かに、小さい会場の中には沢山の作品が展示されていました。超人…

切り絵 佐藤純子さん

Bloom / 2022年

こちらは切り絵の作家さん。ですが、普通切り絵と聞いて想像する影絵のようなものと比べて、非常に微細。元絵のタッチまで伝わり、このまま絵本にできてしまいそうな作品です。

この〈 Bloom〉は、夢で見たイメージを瞬時にスケッチした作品とのこと。私もそのような夢が見られるような心構えでいたいものです。

華渦 /  2021年

こちらも様々な種類のお花があるのが分かる繊細さ。これは裏が黒い紙に絵を描き、切ったものを裏返して作っているそうです。

メタルアート 黒江黒絵さん

ペーパー系の作家さんが3人続きましたが、黒江さんの作品は金属素材によるアート。今回在廊されていて丁寧に説明していただいた方が黒絵さんでした。

打掛〈狐の嫁入り 〉

この着物が金属製とは、信じられません。
様々な金属の板を熱して加工し、作っていくそうです。

裏側

着物の裏の赤は銅の色をそのまま活かしているそうです。

接写

この花柄は、真鍮で小さな額縁を作り、そこにピッタリはまる形に銅のチップを切り出し、独自の手法で色を作ったものを一枚一枚接着して制作しているとのこと…。その工程とこだわりを想像すると、意識を失いそうになりました。

紐に見えますが…?

この紐も、金属のワイヤー製。
何でもプラスチックで表現するプラモデルの世界にも通じるこだわりを感じました。

クジャクの扉

美しい黄金の扉。クジャクの頭部などの青は陶磁器のようにも見えますが、これも金属に色をつける手法で表現しているそうです。

黄金のドラゴン。この作品も、金属の板を加工して制作しているとのこと(!)

お顔を接写

ヒゲも歯も非常に細かい部分まで作り込まれています。これがプラモデルだとしても、作るのはかなり難しそうです。ですが、金属の板から作っているのです…

捕まえるにゃ

かわいいレリーフ。黒江さんは「ビーズ屋黒猫」というワイヤーとジュエリー材料のお店をやっており、そのマークの猫だそうです。


この展覧会は、東京交通会館のギャラリーの中でも小さい部屋にあたるギャラリーで開催されています。ですが、それぞれの作家さんの超絶技巧とこだわりに圧倒される作品が沢山展示されており、いくらでも観賞できる展覧会でした。どの作家さんも、TVチャンピオン 手先が器用選手権 的な番組に出場されていいレベルです。

見たことがないタイプのアートが見たい方におススメです。

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