見出し画像

コンサルスキルを学ぶ#1〜コンサルマインドの王道「仮説思考」はなぜなかなか身につかないのか?

こんにちは、DATA_TRAPのKenです。
コンサルの王道スキルである「仮説思考」。
仮説思考は身につければ何も難しくないのですが、これが身につくかどうかでコンサルタントとして生きていけるかが分かれる、極めて重要なスキルです。
コンサル面接でも新卒/中途問わず確実にこの「仮説思考のセンス」は見られています。
今日はぼくたちコンサルタントが身につけるべきベーススキルであるそんな「仮説思考」について、現場の観点を添えて説明していきたいと思います。

仮説思考とは

コンサルティングへの関心や、ロジカルシンキングを学んだことのある方であれば一度は耳にしたことのある言葉かなと思いますが、まず簡単に仮説思考について解説します。

「仮説思考」とは、ひとことで言えば、「その時点で考えうる最もあり得そうな答え(仮説)を立て、仮説を検証するように思考を進めること」です。
つまり、限られた情報から結論を先に決め、その結論が合っているかどうかを確かめるように調査・思考を進めていくことになります。
この仮説思考が、限られた時間で最大のパフォーマンスを出すための大きな武器になるのです。
ちなみに、ぼくが事業会社から転職して初めに感じたのはこのスピード感の違いでした。コンサルティング会社は感覚的に5倍くらいのスピードで仕事を進めている印象を受けました。

仮説思考はコンサルティング業界の重鎮をはじめ数多くの方々が解説されているので詳細はそちらをご覧ください。




仮説思考の難しさ

仮説思考はすっかり大衆化した考えなので、「そんなの知ってるよ」と思われる方も多いかもしれません。
でもちょっと待ってください。仮説思考を普段から使いこなせている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
本当に仮説思考を身につけている方は一握りに過ぎないというのがぼくのコンサルティング会社での体感です。
(事業会社に少ないだけでなく、コンサルティング会社でも正しく実践出来る人ばかりでないというのが実態だと思います)

では、なぜここまでワードとしては一般化した仮説思考が社会実装されていかないのでしょうか?
今日はその理由について考えてみたいと思います。

1.頭の使い方が明らかに不自然

例えばある通信会社で”新規事業として旅行事業への参入”を検討しているとします。
参入是非を検討するために皆さんなら何から検討を始めますか?

通常だと、”旅行事業なんて全然わからないからまずは調査から始めよう”と、市場規模やプレーヤーなどを調査することから始めるのではないでしょうか。

でも仮説思考では違います。

まず初めに、自分の今ある情報から例えば「旅行事業に参入すべきである」と先に結論づけてしまいます。
そして、その理由が説明できるかどうかを調査していくのです。
たとえば3C分析で「自社の強みが活きる」、「競合の参入は少ない」、「顧客の需要は高まっている」などの説明が出来ないか、それをデータで裏付けることに集中します。(実際はこんなに単純ではありません)
こうすることで情報の海に溺れることなく、短期間で結論を出していくことが出来ます。もちろん、データの裏付けが取れなければ仮説を変更する必要がありますが、それでも仮説のないよりは随分スピード感を持って仕事を進めることが出来ます。

いかがでしょうか。
情報がほとんどない中で何かを決めることは、かなり大胆な決断が必要で勇気のいることです。
「そんなこと調べてみないとわからない」と言いたくなる気持ちを抑えて結論を出しにいかなければならない。これって普通の頭の使い方では中々出来ることじゃないんです。だから、何度も反復練習して体に染み付かせるしかありません。

2.脳に大きなストレスがかかる

「仮説思考」のように結論から考えることは、同時に「自分の頭で考える」ことを強制されます。
受動的にインプットを集めようとする姿勢では結論は出せないからです。
また、その結論を裏付けるために何が必要か、これも非常に頭に汗をかく作業になります。
人間は極力脳にストレスをかけたくないので、こうした高い思考力を必要とするプロセスを本能的に嫌います。
だから、考えるよりも情報収集を優先してしまうのです。
そして、情報の海に溺れ、集めた情報から何が言えるのかを考え、結論が出せなかったり、部分最適な結論を導いてしまいます
(これは事業会社や駆け出しコンサルタントで本当によく見る光景です)

3.自分自身で仮説思考が出来ていないことに気づけない

個人的にはこれが仮説思考が社会実装されない一番の問題だと思っています。
コンサルティング会社では、資料作成やPJの進め方に関してSVのレビューが必ず入ります。
そこで仮説思考が出来ていないと必ず指摘が入ります。
ぼくも入社したての頃は何度も同じ指摘を受けていました。そこで指摘を受けて、初めて自分の思考が間違っていることに気付かされます。

この気づきが非常に重要です。
経験談ですが、仮説思考ができていない人は、実は自分が仮説思考ができていないことにほぼ100%気づいていません。
それほど不自然で脳にストレスのかかる思考だということです。

そして、SVに何度も指摘されるうちに、いつしか自然にこの思考プロセスを辿る感覚を掴む日がやってきます(残念ながら掴めなかった人はパフォームすることなく去っていきます)。

しかし事業会社では、コンサル出身者やMBAホルダーなどの一部の方々を除き、そもそもこの仮説思考がインストールされている上司が圧倒的に少ないです。
このため、仮説思考型の頭に軌道修正することが中々出来ません。
これが、コンサルティング会社と事業会社で仮説思考が身に付くかどうかを分けています。

いかがだったでしょうか?
コンサルティング会社に入社しても学ぶことは正直書店に行けば書いてることばかりです。コンサル会社に入ったからといってスキルが劇的に身に付く秘伝のタレも近道もありません。
書店に行けば書いてあるような「当たり前」のことを正しく理解し愚直に実行できるかどうかに、大きな差があるのです。

仮説思考はパフォーマンス最大化に極めて重要なスキルであることは間違いありません。本気で学びたい方は研修やメンターを見つけ、ご自身の思考の癖を取り払っていくのが良いと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?