「PBR1倍未満」とは株を売却しても過去に投資した株主資本を回収できない状態を指す。
〇 PBR(株価純資産倍率)は、株価を1株あたりの純資産(BPS)で割って
求めます。
計算式は次の通りです。
PBR = 株価 ÷ BPS(1株あたりの純資産)
BPSは、Book-value Per Shareの頭文字を取ったもので、会社の資産
から負債を差し引いた純資産を発行済み株式数で割ったものです。
式は次のように変更可能です。
PBR=時価総額(株価*発行株式数)÷純資産(BPS*発行株式数)
〇 PBRが1を切るということは、時価総額が純資産を下回ることを言い
ます。式で表すと次のようになります。
時価総額<純資産
〇 純資産は貸借対照表の右側(下部)に出ています。純資産の内訳は大
きく「株主資本」と「その他包括利益累計額」に分けられます。
〇 上の不等式「時価総額<純資産」左右両辺から「その他包括利益累計
額」を引いても不等式の向きは変わりません。式は次のように変形さ
れます。
時価総額ーその他包括利益累計額<株主資本
〇 この式は、結局PBR1倍未満だと株主は株式を売却しても株主資本
(=過去出資分(資本金+利益剰余金))を回収できないということ
を意味します。
〇 過去出資分を回収できないということは投資家から見ると元本割れに
なっているということになります。株価はいろいろな要因で変動する
ので短期的にPBR1倍を下回ることは十分ありうる話です。でも長期に
それが続いた場合、何かがおかしいことになるはずです。
〇 資本金は原則(減資を除く)返却されません。ところが利益剰余金は
株主に返却(配当や自社株買い)することも可能です。PBR<1が長
期に続いているような場合、なぜ利益剰余金として資金を内部留保と
して会社に残す必要があるのか、株主は経営に対しこれを問い、合理
的な説明を求める権利があります(会社法314条 株主総会における
取締役の説明責任)。
〇 PBR<1倍だと解散価値を下回るという説明、そろそろ見直す必要が
あるように思っています。