株を買うということはその会社に出資するということ
〇 掲題のようなことを言われて長い間すごく違和感がありました。市場で株を購入しただけで会社設立の際資本金を拠出していないのだから、なんでこんなことを言うのだろうかと。自分なりに腑に落ちるよう簡単にまとめてみましたのでご参考にしてください。
〇 会社を設立をするとき会社の基礎となるものを作り上げるため資本金を集めます。資本金を出資した人を出資者と言い株式会社の場合は株主と言います。銀行借入や債券と違って資本金は返却する必要のないお金になります。これによって会社はリスクのある設備投資や研究開発を進めることができます。他方株主はその持ち分を株式という証券として売買することが可能です。上場会社の株式の場合、株価が資本金と同額またはそれ以上であればれば株主資本は株式を売却することで資本金をいつでも回収できるという構図になっています。
〇 また、毎年の利益の内配当や自社株買いに充当されたものを除く部分は利益剰余金として資本(株主資本)に追加されます。株主から見るとこれは追加の出資と事実上同じ(※)意味を持ちます。
(※厳密言うと利益剰余金は配当や自己株式の取得という形で株主に還元 (返却)可能です。返却できない資本金とは違います。)
〇 株式市場で株式を購入した人は直接その会社に資本金を出資してはいま せんが、株式を購入することで当初資本金を出資した人の立場を「継承(引き継ぐこと)」しています。投資家は株式を購入することで「出資者」の立場を引き継ぐこととなります。お分かりになったでしょうか。これが「株を買うということはその会社に出資するということ」となります。
〇 誤解される方が多いのですが、株主は市場で「株」を購入しているので あって「株価」を購入している訳ではありません。
蛇足
〇 多く(全部ではない)の会社で株主総会の場で配当金のことが議題にのぼります。1つの目安として配当性向がでることがあります。よく考えていただきたいのですが、例えば配当性向が30%の場合残りの70%は株主資本として会社に追加出資されるということになります。ROEが10%程度ある会社であればそれも悪くありませんが、ROEが8%未満しかない上、株価がPBR1倍に満たない状況が長年に亘って続くような会社の場合、株主は異議を唱えるべきと考えています。