某上場子会社向け株主総会事前質問状
2024年6月吉日
某上場子会社
取締役・監査役等役員の皆様
個人株主 サマンコー
株主総会事前質問状
2024年6月25日開催の株主総会にて質問・意見する事項を予め送付いたします。(中略)当日お目にかかれることを楽しみにしております。
<預け金・CMSについて>
〇 「添付資料1」は過去8年分の「預け金」推移です。預け金の額は4半期に1度しか明らかになりませんが年間を通じてほぼ同額が預けられていると考えて宜しいでしょうか。大きく異なるようであれば昨年度1日平均で幾ら位のお金を預けていたのか教えて下さい。
〇 一昨年の有価証券報告書を見ると預け金の対価として金利を受け取っているようです。これは預け先である某親会社(以降親会社と言う)が何らかの形でそのお金を運用(本来借り入れする金額を減額し支払い利息を削減すること等を含む(※))し、その一部を某上場子会社(以降我が社と言う)に返しているという理解で良いか教えて下さい。
親会社で預け金がどのように運用されているか分かりませんが、預け金の金利を上回る運用利回りで運用がなされた場合は、差分が親会社の物となっていると理解していますがそれで良いでしょうか。
(※ 一昨年の某親会社の有価証券報告書P140に短期借入金の平均利率が4.16%とあります。預け金があれば親会社は資金を借りずとも済みます。結果親会社は我が社が受け取る金利と短期借入金の金利との差をベネフィットとして享受することが可能となります。当然他の株主はそれを得ることはできません。)
〇 我が社は上場会社であると同時に親会社の連結対象子会社になります。親会社のB/S上我が社の資産は全て親会社の物と整理されている筈ですが、それはあくまでも連結会計上のものであり、我が社の資産は一般株主を含めた我が社株主の共有財産であるという理解でよいでしょうか。
<資本コストを意識した経営について>
2024年2月1日付で東証より発表された 投資者の視点を踏まえた「資本コストや株価を意識した経営」のポイントと実例(以降東証資料と言う)を基本に質問いたします。
〇 利益剰余金を現金(預け金)として貯め続けてきたことについての点検・評価
東証資料P12に「バランスシートが効率的な状態になっているか点検する」とあります。具体例として日本瓦斯では「不必要な株主資本を持たない方針」、テクノスマートでは「事業運営に必要な現預金の水準を検討」と出ています。翻って我が社は利益剰余金を現金(預け金を含む)として、資本コストに逆ザヤかつ直近のインフレ率(添付資料2「2020年基準消費者物価指数」)をも下回る形で運用してきています。これをどのように点検・評価されているのかをご説明ください。
<社外取締役 ○○○〇氏への質問>
「添付資料3」は金融庁、経済産業省および東京証券取引所連盟で発信された「社外取締役のことはじめ」です。その中に社外取締役の5つの心得が書かれています。心得5には「会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督」とあります。我が社は上場企業でありかつ親子上場の子会社です。社外取締役には親会社である支配株主と一般株主との間で利益相反が無いかしっかり監督していただけなければならないと考えています。
さて少し古いですが「添付資料4」は投資家が預け金の問題点について指摘した日経ビジネスの記事となります。預け金を問題視している投資家は私だけではありません。ご承知の通り多くの投資家が上場子会社の親会社に対する預け金について問題点を指摘しています。最近ではそれを意識したのか「添付資料5」の通り東証プライム上場の企業がCMSの預け金を銀行預金に振り替えた例もあります。
昨年○○取締役にCMSの事を質問させていただいたところ、CMSは確立された合理的資金運用方法であるとの回答を頂戴した記憶が鮮明に残っています。親会社から見たら余剰資金を抱えている子会社の資金をプールして活用するのは極めて合理的です。しかしながら子会社の一般株主から見たら会社の事業に投資するわけでもなく、全く関係のないところでインフレ率に逆鞘で運用されそのメリットを享受することもできない制度は非合理極まりないものと考えます。
〇 親会社株主だけが会社の余剰資金を運用できるのが本当に公平なのか、コーポレートガバナンス・コード基本原則1「・・・・株主の実質的平等性を確保すべきである。」に照らし合わせて問題ないか、再度検証していただけないでしょうか。またその結果が分かるようIRにて公開していただけないでしょうか。
〇 また、〇〇取締役からはM&Aをする際、資金が緊急に入用となるかもしれないので現金として保有する必要があるとの発言があったことも記憶しております。結果論でしかないかもしれませんが、私が株主になってからM&Aは1件もありません。現金を保有するなと申し上げるつもりはありませんが、銀行とコミットメントラインを契約すれば緊急の資金確保は出来る筈です。手持ち現金を潤沢にしておきたいなら債券の発行(※)だって出来る筈です。上場している大きな目的は株の発行による資金調達の筈です。そうしたことが出来ないのか検証されたのでしょうか。もしされていないまま利益剰余金の大半を現金(預け金)としてインフレに目減りさせ続けていたらこれは問題です。〇〇取締役からご意見を頂戴したいと思います。
(※債券の発行等他人資本の活用は利息をコストとして計上可能なため株主資本よりコストは安くなります。念のため)
<株主様向け会社説明会について>
一昨年の株主向け会社説明会は会場で実施されオンラインでも視聴できる形になっていましたが、本年開催されました株主向け説明会はオンラインのみでした。ご承知の通りコーポレートガバナンス・コード基本原則5には「・・株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。」となっています。オンラインの場合、会社側から回答があった際その回答に即質問を返すことが非常にやりにくくなります。質問と回答のキャッチボールが「対話」である筈です。会社側からの回答が一方通行だと「対話」になりません。次回からの説明会では是非会場+オンラインという方式に変えていただけないでしょうか。
<終わりに>
ご承知の通りコーポレートガバナンス・コード原則5に「株主総会以外の場においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。」とある通り、株主総会は株主との建設的な対話の場です。効率的に総会を進めることは尊重しますが「簡潔に」とか「1人1問」等制約を設けず、株主からの発言が自由にできるよう十分ご配慮いただけたら幸いです。
また、ご承知の通り私は頭の悪い人間です。誤字脱字などはご容赦下さい。下手な文章ですが行間を良く読み取っていただくようお願いする次第です。
以 上
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