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お仕事インタビュー#1 for sibyl ノドカ


まえがき

こんにちは!good;です。
前回はgood;の自己紹介をしました。

これからしばらくお仕事についてインタビューした記事を載せていきたいと思っています。


この企画はメンバーの三浦が知人の仕事の話を聞くことが好きということを起点として、幅広い職業の方々にインタビューする企画です。


職業そのものについて紹介されているメディアは沢山あるので、この企画では職業<人にフォーカスすることにしました。


毎度その人が抱える葛藤や悩み、クォーターライフクライシス(25歳前後で訪れる、思い描いていた人生を送れていないことに戸惑い、焦燥感によって幸福感が低迷する状態)にフォーカスし、質問しています。


記念すべき第一回は、札幌を中心にバンド活動しているfor sibylのノドカにお話を聞きました。


for sibylとは

北海道大学軽音楽研究会で2020年に結成されたスリーピースバンド。
今年2024年に1st Album 「Don't laugh at omens」が発売され、現在全国ツアー中。

現在はメンバーのノドカ(Gt./Vo.)が、サポートメンバーを都度揃えてライブ等に参加している。


結成のきっかけ〜活動内容

三浦美帆(聞き手 以後三浦表記) 「まずfor sibyl結成のきっかけは?」

ノドカ 「オリジナルメンバーの2人とは最初は普通に友達で、サークル繋がりで出会った。たまたま3ピースバンド組める編成だったから、やろう!ってノリで。

でもその1ヶ月後にコロナ禍になって、大学3.4年まるっと活動できなかったから、このまま大学卒業してスパッとバンドやめるのも嫌だなって続けてて、そしたらどんどん楽しくなって収拾つかなくなった…って感じ!」


三浦 「最近結構遠征しているイメージだけど、どのくらいの頻度で行ってる?」

ノドカ 「今年の5月に1stアルバムを出したから、やっぱり全国ツアーはやりたくって、来年の1月まで予定が入ってる。その間に、別で誘われた関東のライブとか札幌でのライブを入れてて、大体月2以上やれたら嬉しいかなって。」

三浦 「ライブやる場所ってどうやって決まるの?誘われて?」

ノドカ 「うん、誘われることもあるし、今回は組んでくださいって自分でお願いした人が多い。友達に『あそこライブしに行きなよ』って紹介してもらえることもかったり、アルバム聴いた他県の人から『来ませんか』って言われることもある。」

三浦 「すごい!」

ノドカ 「音源が全国流通して、思ったよりも色んな人が聞いてくれてるのが嬉しい。」

三浦 「この前出たアルバムの『hugging crocodiles』という曲の歌詞で『正しく労働向いてなかったな』とあって、共感しまくりだったんだけど、あれはどういう思いで書いたの?」

ノドカ 「自分が大学の卒業した先輩とかに『正社員で働きながらも別にバンドなんかできるから』って言われて育ったんだけど、いざやってみたら全然キャパオーバーになっちゃって、『私は無理です』って思って書いた笑

勉強して、大学行って、正社員で終身雇用っていう、社会で当たり前に求められることに食らいついて生きてきたけど、一回狂っちゃったら正規ルートに戻れなくなった。

体調崩した時に頼れる公的な機関はたくさんあるけど、調べて正しくアクセスするだけで大変だし、手続きのハードルも高いし……もう無理はしたくないなっていう。」

三浦 それはすごいわかる!!!!

ノドカ 「それを受容して、私は私が健康でいられる生き方をしようと思った。”ちゃんとしないと”っていうたくさんの呪縛から解き放たれたら、それはそれで道はあるなと。」


三浦 「今はサポートメンバー呼びながら活動してるけど、逆にサポートメンバーとしてどこかのバンドに入ることはあるの?」

ノドカ 「それはあんまりないんだけど、for sibyl手伝ってくれた子の物販のデザインするとか、アー写撮ってあげるとか、金銭的なやりとりじゃないところで恩返ししようとしてる。
今の私にできることは全力でやりますよ的な。そうやって色んなところに『私がこれをやってますよ』というのを転がしていて、舞い込んでくるチャンスを逃さないって感じで生きてて……全力すぎて、激躁状態!」

三浦 「反動怖いね」

ノドカ 「ちょこちょこ反動はきてる。でも楽しい予定を入れ続けて生き延びてるな。今までもそうやって乗り越えてきたし。直近しんどくても、丸一年先まで考え続けてると死なないみたいな。」

三浦 「先を考えることで辛くなったりはしないの?」

ノドカ 「ないかも。ちゃんと未来の希望はある系なんだよね。ちゃんと続けてった先に、全てが楽しくなる予感はしている。」


楽しい未来って?

三浦 「ノドカにとって楽しい未来ってどういうもの?」

ノドカ 「今の自分よりもっとすげーことができてるかもとか、今の自分だけじゃできないことが誰かと力を合わせたらできるかも、みたいなのが良い未来かな。もっとやりたいことに忠実でありたい。

今より健康面や金銭面で辛くなくなって、しがらみがなくなっていって、純粋に楽しいことをやれていたらいいな。」

三浦 「すげーことってどんなこと?」

ノドカ 「もっとすげー音源を作って道内も道外も回りたいし、海外ツアーにも行きたい!思いついたことを全部やりたくて、できるかも?をできた!に変えていくのが幸せ。
『あ!私ってもしかしたら一生音楽できるかもしれない。諦めなくて良いのかもしれない』って思えていて、それが人生の中で一番の希望かも。

今までのメンバーとは、生活の中でバンドをやることの優先順位が違って、悩みながら上手く続けようとしてたけど……今は1人だし、一回アクセルベタ踏みでもいいのかもって気持ち。それでついてきてくれる人がいたら最高だし。」


悩み

三浦 「今の悩みってある?」

ノドカ 「やりたいこととか試したいことが多すぎるけど今すぐ全部はできなくて、足踏みしてる感覚が焦れったい!

『早くメンバー見つけなよ』とか『あの日のライブ越えてないよ』みたいな言葉に、あーわかってます!って気持ちになる。時間はかかるけど、私まだまだやるつもりなんで!って。焦んなよ、も言ってもらえるけど、やっぱ1回はちゃんと歯痒い。

でもタイミング的に仕方なくて、その間バンドを動かすこと以外にも、手を動かして常にワクワクし続けてる。

三浦 「じゃあ、その状況を解決策があるとしたら、”待つ”、”ワクワクすることをし続ける”って感じ?」

ノドカ 「うん。ハードルを上げまくって、本気を常に出し続けて、完璧な状態で機を待つみたいな。」


三浦 「今のfor sibylを知っている人が、5年後10年後のfor sibylを見たら湧きそうだよね。」

ノドカ 「湧きそう。そういう、全部ひっくり返して希望に変えてくれる奴とバンド組めたら最高だね。」


バンドメンバーを選ぶ基準

三浦 「バンドメンバーを選ぶ基準ってあるの?」

ノドカ 「今までは女3人で速いビートをやることに意味があるって思ってた。男性は女性である私達を一段低く扱ってくるけど、違うから、まず対等な音楽家として扱えよっていうカウンターパンチとして。

あとコーラスできるかどうかと、見た目のオーラ。オーラで選んでるのは今も変わってないかな。
美醜とかじゃなく、良い面してるかどうかっていう。

今は何より、自分以上の好奇心とモチベーションで音楽やりたいメンバーを探してる。欲を言うなら、私が落ちている時でも引っ張られず、『大丈夫っしょ』みたいに言ってくれる奴だったらいいな。」


三浦 カウンターパンチの話で言うと、私はノドカから『舐めんじゃねえよ』という気概をよく感じていて、『disgusted!!!』という曲の歌詞を最初聞いたときもびっくりしたんだよね。これ言っていいんだ!みたいな。」

ノドカ 「言わなきゃ伝わんないと思って。for sibylのSNSフォローしてくれた人のアカウントに飛んで、なまら右翼だったり、ミソジニストだったりすることがあって。『はっきり言わなきゃわかんねーか』とブチギレて作った歌。

私の歌を聴いて何を想像してもいいけど、ミソジニーに繋がることは全部違うからっていう。私の真逆だけは潰しておきたくて。」

三浦 「私は大学の時にフェミニズムについて勉強してから『舐めんじゃねえよ』っていう感情が芽生えたんだよね。
ノドカは政治についても思うことがあると思うけど、それは昔から?」

ノドカ 「私も大学入ってからかな。自分が辛いのは全部自分のせいだと思っていた節があって、大学でフェミニズムの授業とってから、『これって構造によるものだったのか』って気づいた。

母親との折り合いの悪さとか、大学入ってからの対人関係とか、色んなことが繋がってきて。同時に、それって自分だけの話じゃないってことにも気づいて。

困難や苦痛を抱えている人がいて、それを個人の問題と捉えてしまったら私にできることは何もなくなってしまうけど……既存の社会のシステム自体を変えることで、あの友達のことも救えるじゃん!みたいのが全部希望になった。

そこから政治に興味を持ち出したかな。持病がある人の生き方や女性の生き方について、もっと語られてほしいし、柔軟な選択肢がある世界であってほしい。」

三浦 「私もそういうことに気づいた時の怒りやばかった。『今までの人生何?』って頭かきむしった笑」

ノドカ 「そうそう。だからずっと怒ってるし、怒りを示す歌を書いたりしてその気持ちを発信することが無力感を打ち消してる。
でもさ、こんなに体ボロボロなのに生き抜いているってことがまず抵抗だからね笑

社会の言う正規ルートには乗れなかったけど、それでも道を見つけてサバイブしているってだけで上出来っしょっていう。

こういう人が1人生きてて、それを知った友達が『がんばりすぎなくていいかも』って思ってくれたらめっちゃ嬉しい。」

三浦 「それはすごいわかる!!!!ほんとに。文章書くのもそれが言いたくて書いてるなー。」


クォーターライフクライシスについて

三浦 「クォーターライフクライシスについて思うことはある?」

ノドカ 「そんなに結婚出産にこだわってなくて、タイミングが合えばすればいいし、合わなくても別の幸せあるしって昔から思っているほうだったから、人生設計に対する不安はそんなにないかな。

新卒で入った会社はキャリアとか妊娠出産、あと転勤ないからバンドしやすいなとか色々考えて選んだけど、そこから辞めてからは色々吹っ切れたかな。
何歳になっても好きなこと初めていいんだって思わせてくれる友達がたくさんいるから、大丈夫かも。

親はもちろん失望したり心配したりするけど、私が体調崩してから、ちょっと温度感変わって、元気かい?がまずくるようになった。

子供がいる人生ってどんなだろうって想像するけど、想像するだけかなあ。…いやぁもっかい波(悩む時期)くるか?」

三浦 「28、9あたりで来そうだよね〜」

ノドカ 「いいのかな?でも、これからも音楽ずっとやれてたらいいな。あとは生きてればいいかな」


あとがき

もがきながらも自分の居場所やできることを探すのって、時間もかかるし苦しいけど、それをやめないノドカはとてもカッコいいと思いました。

こういう人が1人いて、それを知った友達が「がんばりすぎなくていいかも」って思ってくれたらめっちゃ嬉しい。

と言っていたのが印象的で、自分も誰かのロールモデルの1人になっていきたいと痛感。


そんなカッコいいノドカの作った1st Albumは以下のリンクから聞けます!


ライブ映像(Instagram)


ライブ映像(YouTube)

インタビュー話し手:for sibyl ノドカ
インタビュー聞き手:good;  三浦美帆
執筆:good;  三浦美帆
推敲:for sibyl ノドカ

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