陰陽座 特別公演2023”捲土重来” @東京に参加して
大分暖かくなってきた4月14日の金曜日。
約3年ぶりに復活した陰陽座の特別公演に参加してきたので、簡単に感想を綴っておこうと思う。
妖怪ヘヴィメタルバンドを称する陰陽座は、2020年の20周年ツアー中(ダイヤモンドプリセンスが来てコロナが蔓延する直前)に、
Voの黒猫が突発性難聴を発症したため、ツアーを中断、活動休止を余儀なくされた。
その後、表立った情報はあまり出ず、コロナ期間中はリリースが少しあっただけで、ほとんど活動が止まっていた。
リーダー瞬火のサービス精神からすれば、こういう時こそ何かしら動き方を考えそうなものだが、動き出しの気配がないところを見ると、黒猫の病状はかなり深刻なのかなと予想していた。
今年に入ってから発売された音楽誌のインタビューによれば、事態はもっと深刻で、突発性難聴をきっかけに、発声に関してジストニアを発症。
歌うことが出来ず、歌手生命の危機となる状態ですらあったようだ。
そんな状態であったにも関わらず、2023年になってリリースされた久々のアルバム「龍凰童子」は、そんなことを微塵も感じさせない、過去作に劣らない傑作であり、陰陽座とは何たるかを示した作品となっている。
そして、陰陽座としてもライブを再開させていくということで「特別公演」という形で今回の東名阪のライブが告知されたというところだ。
今回参戦した東京公演の会場はTOKYO DOME CITY HOLE。
東京ドームがある敷地内にあるコンサートホールである。
陰陽座の覇王明王ツアーのファイナルはここで行われており、私もギチギチのアリーナスタンディングで参加した。
通常であれば1階のスタンディングと2階以上の指定席での構成でライブが行われることが多いが、今回はまだコロナ禍が終わりきっていないからか、
また黒猫の体調への配慮もあってか、オール指定席でのライブとなった。
昨今のライブ運営の制限緩和の流れを受け、今回の公演はマスク着用で声出しはOK。
ちなみにこの日、グッズ販売に関してえらいことになっていたことに触れておく。
15:00~17:00までの先行販売の時点で異常な人の列が出来てしまい、時間内に捌けなかったらしく、残りの列をそのまま17:30からの入場列として優先的に入れ、グッズ販売に行ってもらうという目論見で運営を進めたようだ。
ただ、先行販売の残党+後から来た人達でもとんでもない人数の列が会場内に出来てしまっていたため、17:30開場の18:30開演までの1時間では到底間に合わない状態だった。
そして開始5分前に「定刻で開始するので席行け」という会場運営からのコール。
陰陽座ライブはライブで使う扇子の販売などもあるため、ファンとしてやはり最新グッズを手にライブに臨みたい人もいただろうに、これは可哀想だったと思う。
せめて定刻で開始することくらいもう10分早く言えただろうに。。。
かく言う私は後から来た組で、開始5分前になんとかグッズを購入してダッシュで下の階の席まで移動した。
着席してすぐ開演になったのでギリギリもいいところである。
売り場を見た感じ、クレジットカード決済の端末が全会計窓口分無いのにクレジットカード決済の人が多かったことが原因と予想される。(実際に私の前の人が、他の会計窓口の端末が空くまで全然会計されずにかなり待たされていた)
運営が言っていた通り18:30定刻キッチリにスタート。
メンバーは黒猫、瞬火、招鬼、狩姦のバンド4名に加え、これまたいつもの土橋誠、阿部雅宏の磐石の布陣。
セトリは次の通り。
焔之鳥〜鳳翼天翔
百の鬼が夜を行く
桜花ノ理
彷徨える
月に叢雲花に風
ひょうすべ
烏天狗
塗り壁
陰陽師
鬼斬忍法帖
蒼き独眼
甲賀忍法帖
組曲「義経」〜悪忌判官
羅刹
春爛漫に式の舞う也
(EN)
夢幻
邪魅の抱擁
卍
わいら
悪路王
喰らいあう
陰陽座といえば、過去一度として同じセトリがないと言われているほど多彩なセトリで、その会場でしか聴けない意表をつく曲が差し込まれることもよくあるバンドだ。
ただ今日は、ファンからすれば比較的代表的な陰陽座曲で固めたセトリだったように思う。
瞬火曰く、
「ニューアルバムも引っ提げず、我々がただやりたい曲」だったそうだw。
途中気づいたのだが、
黒猫のファルセットが多い曲が意図的に選ばれていたように思う。
インタビューでもあった内容だが、
ジストニアから復活するにあたっての端緒は、まずファルセットを出し始めるところからだった模様。その内容を受けてのことかな、なんて思ったり。
もしそうなら、意図としては黒猫の声に配慮して、と言うよりは、
「強化された黒猫のファルセットを存分に喰らえ!」
と言うところなんだろうけど。月に叢雲花に風なんかはファルセットなのに分厚いと感じた。
(まあ陰陽座でファルセット使う曲が少ないわけではないのだが。。。)
陰陽座を知っている人なら、
「陰陽座のアンコールが1回だけだと・・・?」と思ったと予想するが、
そこは流石に黒猫の体調と、あと平日のライブだったと言うことを配慮したということなんだろうということで、仕方がない。
「アンコール回数が極楽地獄」はまたに取っておこう。
ただ黒猫については、3年間大変な状態だったことを微塵も感じさせない充実ぶり。
ステージを縦横無尽に走り回り、客に拳を煽り、寝っ転がり、飛び跳ねる。
やっていなかったのはヘドバンぐらいか?(いや、やってたかもw)
まごう事なき黒猫のフルパフォーマンスがされていた。
楽器隊も土橋、阿部両名も含めとにかく素晴らしかった。
(もう最近はこの6名で陰陽座だって言い切ってますね。)
リーダー瞬火のプロ意識からすれば、黒猫の状態、演奏両面で、客前に出して問題のない状態だからこその今回のライブなんだろうが、流石としか言いようがない。
このバンドにブランクなんて言葉は無い。
紛れもなく、陰陽座の帰還だった。
曲単体では、「ひょうすべ」をやってくれたのは何気に嬉しくて。
個人的には多分、2010年の横浜BLITZ公演以来に生で聴けたかな。
あと「悪路王」が楽し過ぎたw。
「逆行!」で自分の声潰してやりましたよ、はい。
とにもかくにも、3年かけて不死鳥の如く蘇った陰陽座に感謝しかない、そんな最高の夜だった。
やっぱり陰陽座ライブは、他のミュージシャンには無くて陰陽座会場でしか得られない特別なものがあるなと個人的にも再認識した。
今回は序章に過ぎないわけで、2020年に中断されている全国ツアーの再開、そして舞台は「龍凰童子」へ。
本当にお帰りなさい、という気持ちである。