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LUNA SEA 'LUNATIC TOKYO 2025'に参加して

最強寒波到来のピークを迎えている2月3連休の中日、前日のThe Millennium Eve 2025の余韻も冷めやらぬ中、LUNA SEAの東京ドームライブ、「LUNATIC TOKYO 2025」に参加してきたので、簡単に感想を書いておこうと思う。

90年代を中心に活躍したバンドの復活ライブが2月に集中していたわけだが、いよいよ個人的本命の登場である。
V系パイオニアの1バンドとして活躍を続けたきたLUNA SEAは、昨年から「35th ANNIVERSARY TOUR  ERA TO ERA」と銘打たれた全国ツアーを敢行し、インディーズ時代から終幕までの各時代のライブを再現する趣旨でセトリが披露されてきた。
3EPISODEに渡り行われてきたツアーもいよいよ大団円、今回が「THE FINAL EPISODE」である。
そしてこの一番最後に冠されたのは「LUNATIC TOKYO」というタイトルである。
このタイトルは、LUNA SEAが95年12月に初めて東京ドーム公演を行った時に冠されたライブタイトルである。
そこから約30年の時を経て、再び東京ドーム公演のライブタイトルに「LUNATIC TOKYO」を冠するあたり、バンド側の並々ならぬ意気込みも感じられる。
さらにこの日は「黒服限定GIG」である。
黒服限定GIGというのは、ドレスコードが黒服として、黒ずくめの客を入れて行われるライブであり、インディーズ時代から定期的に行われていたライブ形式である。
昨年のツアーのEPISODE3で黒服限定GIGが設置されていたが、満を持してTHE FINAL EPISODEも黒服限定GIGと設定された。

今回の会場は、先述の通り「東京ドーム」。
LUNA SEAとしての単独東京ドームライブは、14年前のRebootライブ「to the new moon」及びまさかの無料ライブだった「黒服限定GIG」以来となる。
個人的にも、LUNA SEAの東京ドーム公演は「to the new moon」の1日目以来だ。
前日はアリーナでの観戦だったが、この日は1階3塁側スタンドで観戦。
なお、会場には、昨日には無かったセンターステージと、そこへ向かう花道が新たに設置されていた。

定刻から10分ほど過ぎたあたりで会場が暗転し、モニターにFINAL ACTを主な素材とした映像が映し出された。
「覚悟の夜 その光を掴む」
この文字が映し出されると、センターステージから5人が競り上がって登場。
そのままメインステージに移動すると、ライブ前の円陣声出しをその場で行い、ライブスタート。
セトリは以下の通り。


LOVELESS
G.
Dejavu
DESIRE
JESUS
gravity
RA-SE-N
VIRGIN MARY
(20分休憩)
Drソロ
Baソロ
IN FUTURE
I for You
FAKE
BELIEVE
ROSIER
HURT
NIGHTMARE

(EN1)
LOVE SONG
TONIGHT
WISH

(EN2)
FOREVER &EVER


まずセトリだが、色々意見はあるだろうが、良いセトリだったかなと。
前日のThe Millennium Eveのセトリ楽曲と舞台演出含め、結構被っていたため、ひょっとすると古参のSLAVEにとってはもう一歩という内容かもしれないが、LUNA SEAの色々な面が楽しめる内容だったように思う。

昨年行われた41本のツアーでは、終幕前の作品を一通りさらったので、ライブでお馴染みの曲だけでなく、レア中のレアな曲も選択肢として俎上に上がった。今後のセトリがどうなっていくのかは注目であるし、今回一切披露されていない活動再開以降の楽曲も、そろそろまた聴きたいなと思うところ。

SLAVE皆にとってのハイライトだったであろう曲は、「FAKE」だろう。
この曲は94年のアルバム「MOTHER」発表以来、ライブで1度として披露されたことがない曲である。
どうやらバンドサウンドとしてグルーヴを出せないと言った理由のようで、ERA TO ERAどころか、一昨年前のDUAL ARENA TOURでも披露されてこなかったのだ。
MCからイントロが流れた瞬間、東京ドーム中に悲鳴にも近い声が響き渡るw。
現在のLUNA SEAでは、それこそRA-SE-Nとかも含め、テンポを落として再現している曲がいくつかあるが、FAKEも少しテンポは落とし気味ながらも、それがまた凄くいい。しっかりバンドサウンドとしてハマっているではないか。
今回のセトリでは唯一となる、SUGIZOのフレットレスギターもここで登場(注 LOVELESSの3本ギター内のフレットレスは除く)。
それにしても、この曲について「ERA TO ERA、最後のピースをはめます」って、前々から想定していたことなのだろうか。
ストーリーとして出来過ぎでしょ。これだけでチケ代のもとは取ったようなものだ。

「黒服限定GIGを象徴する曲」として、NIGHTMAREも本編最後に披露された。
1stアルバム「LUNA SEA」の曲を通り越して、まさかのデモテープ曲であるNIGHTMAREというのも熱い。
一人一人の照明が消えていく演出も健在で、最後Jが消えた瞬間は鳥肌が立った。
ROSIER〜HURT〜NIGHTMAREという流れも秀逸であり、この最後にかけて重心が低くなっていく流れが、「覚悟の夜」を一番体現していたように思えた。

IN FUTUREでは、なんと途中RYUICHIとJによるツインヴォーカル展開に。
あれはコーラスの扱いだったのかもしれないが、Jだけの声が聞こえるところもあり、非常に新鮮だった。 

楽器隊の安定感は言うに及ばず。最高に一体感のある格好いいサウンド。
41本で星の数ほど曲をこなしてきたバンドの強固さと音圧は圧巻である。
東京ドームという決して音が良くならない会場にあって、各パートの音の分離も良くて、PAバランスもなかなか素晴らしかったように思う。


さて、何はなくとも、この2日間において、RYUICHIの声はまさに奇跡だったと言える。
前日のThe Millennium Eveの時点で、信じられないほどの復調をみせていたRYUICHIだが、この日は単独公演の長丁場だし、2日連続の2日目であることから、今日の調子はどうなんだろうと思いながらライブ開演を待っていた。
ただ、大局的に見て、心配は杞憂だったと言えよう。

前日との繰り返しになるが、もうRYUICHIは歌えている。
率直に言えば、ここ最近のライブで仕様されてきた当て振りSEは、数箇所で使ってるかなと思わないでもないところもあったが、全編19曲を通して、地声で歌えていたのは間違いない。
曲によっては全盛期のRYUICHIを彷彿とする迫力も見られ、gravity~RA-SE-N~VIRGIN MARYは素晴らしい歌声だった。
特にVirgin Maryは、RYUICHIがセンターステージで魂の歌声を披露。ステンドグラスの映像をバックに歌う姿に、神々しさと、RYUICHIの帰還を感じた人も多かったと思う。
近くの席にいた男性のSLAVEの方は、RYUICHIがしっかり歌うたびに「よしっ!」と手元で何度もガッツポーズを作ったり、片や近くにいた女性のSLAVEの方は終始手を前に組んで祈るように見ていたり、皆一様に「RYUICHI頑張れ」という思いを抱えていたのだと思う。
正直昨年のERA TO ERAのガーデンシアターでは、RYUICHIがステージに立てているだけで十分、とは思いつつも、絶不調具合に胸が苦しくなったが、よくぞここまで・・・。
何度も目の前が滲んでしまった。

メンバー紹介MCでは、メンバー皆が思い思いに35周年の思いを述べていたわけだが、SUGIZOはMCで、
「きっと今回で東京ドームに立つのは最後かもしれないと思っていました。また立つにしても、メンバーの誰かが亡くなった時と思っていました。」と述べていた。
ERA TO ERAの途中で発表されたこの東京ドーム公演を、
RYUICHIが「覚悟の夜」と表現した時から、
SLAVEの間では「このライブをもって、再び終幕に入る」と予想した人がおり、ここがバンドの終着駅だと覚悟していた人も多かったように思う。

だが、SUGIZOは次のように続けた。
「LUNA SEAは、新しい扉を開いて、未来を作っていきます。必ずこの聖地に帰ってきます。」
RUYICHIも述べる。
「このバンドを止めちゃいけない」
LUNA SEAは未来へ進んでいく、それを確認できたことこそが、このライブの全てだと言っても過言ではないだろう。
結果としてERA TO ERAというツアーは、LUNA SEAの良いことも悪いことも反芻し、新たなステージへ向かうための長き準備の旅だったということなのだろう。
RYUICHIの状態を考えても、それはあまりに険しく厳しい試練の旅。
ただそれによって、バンドが、そしてSLAVEが絆を強めたのは、疑いのないところだと思う。

最後のピースをはめて出来た鍵を使い、いよいよ新しい扉を開き未来へ。
その最初の一歩は、サプライズで発表された11月開催のLUNATIC FEST 2025となる。
ただRYUICHIは、今年驚くような新曲を作るとも宣言。
RYUICHIも更に歌声を進化させ、完全復活して戻ってきてくれるだろう。

3時間半余りに及ぶ、覚悟の夜で奇跡の夜、最高の夜だった。


【この日のLUNAPICは2曲、TONIGHTとWISH】







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