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かつしかトリオ 'ウチュウノアバレンボー(仮) '千秋楽@東京に参加して

寒さが堪えるようになってきた11月のド平日火曜日。
3ピースフュージョンバンド、かつしかトリオのツアー千秋楽に参加してきたので、簡単に感想を綴っておこうと思う。

かつしかトリオは元CASIOPEAメンバーである向谷実、櫻井哲夫、神保彰の3名で結成されたフュージョンバンドである。
元々は神保彰ワンマンオーケストラのゲスト出演に端を発しているバンドで、ゲスト出演したのが「かつしかシンフォニーヒルズ」というホールだったことがバンド名の由来となっている。
そんなバンドは今年2枚目のオリジナルアルバムを9月に発表し、秋ツアーを行っていた。
厳密に言えばこの日は追加公演ではあるが、ツアーの千秋楽として位置付けられており、ド平日だと言うのに、この日はSOLD OUT公演となっている。
個人的には今年の夏に行われたJAZZ-FUSION SUMMIT 2024の現場にて念願叶ってかつしかトリオを生で見ることができたわけだが、その会場で、バンド枠のCMとして何度も何度もこの日の追加公演が決まったと言うことが告知されており、それを見てるうちに、単独公演も見たくなってしまったわけで、現場でポチったわけだ。

場所は、東京国際フォーラム ホールC。
頻繁では無いにしても東京国際フォーラムには何度もライブを見にきているが、個人的にホールCに来たのは初めてじゃないかな。
キャパ的には1500くらいだと思うが、先述のとおりSOLD OUT公演だったわけで、開演時刻が近づくにつれ会場が満員になった。
今回は2階席の上手側の席で、それほどステージも遠く感じなかったが、神保氏の顔がシンバルで全然見えないという苦笑。
定刻程なくして会場が暗転してライブ開始。セトリは以下の通り。

ウチュウノアバレンボー
Banana Express
Spaceman's shuffle
Brand New Morning
Moon Liner
Living In The Universe
Bright Life
a la mode
柴又トワイライト
Osaka Romantica
ピンクの仔像
天ノ川
Katsushika De Ska
Drum Solo
Zero G
M.R.I ミライ

(EN)
Red Express
Mid Manhattan(CASIOPEAカヴァー)
HALLE(CASIOPEAカヴァー)

今回のツアーは2ndアルバムのレコ発ツアーの位置付けにあるため、2ndアルバムから全曲披露され、そこに1stやCASIOPEA曲のカヴァーを挟んだ構成となっている。
まず一聴して、ドラムの音作りが結構硬くて重いという個人的な印象で、特に硬質なバスドラが突き上げてくる感じ。あれ、神保のドラムってこんな感じだったっけかなと思ったが、ライブが進むにつれて櫻井のベースがかなり解像度高く良い抜けをしているなと気づく。
実はこの点はライブ中にも向谷MCで言及があり、櫻井のベースは4日前に納品のあったYAMAHAのテストタイプベースを使用していたということなのだが、「普通そんなことはありえないんですが、めちゃくちゃ音が良くて抜けがいい」と発言しており、個人的に感じたのはやっぱり間違いじゃないんだなと認識。
結果的にベースの解像度が高く出ていたので、ドラムの硬質な感じとのコントラストで、ドラムとベースが潰し合わない良い塩梅で楽しませてもらった。

そもそもフュージョンバンドなので、並んだセットリストについても、音源とは違ったインプロのパートが多く挟まっており、フュージョンの醍醐味を十分堪能できた。
曲ごとに向谷のMONTAGEを使用した様々な音色によるラグジュアリーなサウンドで表情を変えていくのも、聞き応えがあった。
そういえば、神保のドラムセットには、ワンマンオーケストラでも使用されている電子パットが設置されており、演奏でも駆使されていた。
向谷もMCで神保のことを「もはやドラム&キーボード」と紹介していた。
3人による演奏の凄まじさは折り紙付き。
3人合わせて200歳、全員60歳オーバーのバンドとは到底思えない手数の多さ。どこで拍子を取ってんだ?と思うくらい複雑な曲も難なくこなす。
個人的ハイライトとしては、ZERO Gでの櫻井ベースソロは圧巻の一言。一瞬Mint JamのDomino Lineのベースソロを彷彿とさせるフレージングを挟みつつ、鬼スラップで凄すぎて目が離せなかった。


ライブ中では、色々と楽しませる仕掛けが組み込まれていた。
Brand New MorningやLiving In The Universeなどでの客の合いの手による参加型に、Osaka Romanticaでは途中演奏を意図的に止めてミニコントを、Katsushika De Skaでは向谷がショルダーキーボードを使用した上で、向谷と櫻井が客席に降りて演奏したりと、要所要所で見所の多いライブだった。
その中でも、やはり「司会谷実」のMCは聞きどころ。
「最初三曲披露しましたけど、もう75%力を使い果たした」
「私も気楽に演奏できれば。まあそんなの1曲もないんですが」
「演奏については(CASIOPEA時代の)昔の感覚を思い出す。だけどMCについては(兵庫県知事選みたいに)PR会社を入れないといけないと思っている」
など、次から次へとテキトークが展開されたw。
あと今日の背景映像で使われていた映像がそれぞれ曲の雰囲気をうまく捉えていて素晴らしかったと思う。天ノ川では冒頭向谷ソロ終了のタイミングで流れ星が流れるなど凝った作りにもなっていた。


音楽的なクオリティの高さとエンターテイメント性が同居した素晴らしいライブだったと思う。
ここ最近のインプロバンドのライブでは個人的に一番だったかも。近いタイミングで、またライブが見たいなと欲求を掻き立てられた。
MCでは、2025年に向けて色々考えている旨の話もあり、年明けにはBLUE NOTEライブが既に決まっている。
足が上がらんくてなんでもないところで躓いたりしちゃうそうだが、本当にこのおっちゃんたち、最高です。





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