祖父のこと。
祖父。
私の父の父。
祖父は浅草に住んでいた。
ときどき、関西の我が家へ遊びにきていた。
祖父について覚えていること。
まだ小学生低学年だった兄が祖父の気に入らないことをすると
ボコボコにしていたこと。
殴って蹴って
タバコを顔に押し付けていたこと。
私の大切なお人形を鷲掴みにして振り回して
私は顔と体が半分にひきちぎられたお人形を持って
ギャンギャン泣いていたこと。
失明していた片目を自らの指を突っ込んで引き抜いた話をされたこと。
私にとって祖父は
本当に怖くていやな存在だった。
目の前で兄がボコボコにされるのを見て
ぜったいにこの人の怒りを買わないように気をつけた。
祖父は
いつもあぐらをかいて
必ず私を自分の膝の上に座らせた。
そして私の股をポーンポーンとリズムよくたたく。
あやしているような感じなのだろう。
だがある日それだけでも嫌なのに
祖父はポーンポーンの手を私の下着の中に入れてきた。
そしてポーンポーンとやり始めた。
体をくねらせて抵抗したが私をポイっと座り直させて
何事もないかのように続けた。
ものすごい恐怖。
嫌だと騒いだらどうなるのか。。。
我慢するしかないと思った。
こんなことは祖父が来るたび何度かあった。
少し大きくなってからは(年長さんくらいかな)私は祖父の膝に座らずに済むように
うまく逃げるようにした。
その後は直接何かしてくることはなかったけれど、
小学校高学年くらいの頃、
私が風呂に入ってると
戸を開けてのぞいてくることが何度かあった。
親も兄弟もいない時に
祖父と2人になるのは危険だと思い
その後は祖父がいる時は絶対に2人にならないように気をつけた。
家族からのいたずらって
もっとひどいことをされていたずらどころではない人もいるだろうし
私のような体験は さほど大したことではないかもしれない。
けれどもこの祖父からされたことで
私は身内が信用できなくなった。
父も兄も。
祖父は孫にこんなことをする人間なのだから、
私は特に父が信用できなくなった。
父は祖父の子。
父も祖父と同じことをするかもしれない。
気をつけなくちゃと。
実際は、父はそんなことをすることはなかったが、
私は自分の子供が女の子だったら
危険なことをされないか、いやらしいことをされないかと
本気で心配していた。
でも子供は2人とも男の子だったので
胸を撫で下ろした。
父は孫である私の息子たちをとても可愛がってくれた。
でも、女の子だったらどうだっただろうと
父には悪いが
いまだに疑っている。
ごめんねお父さん。
祖父は私が14歳の時に亡くなった。
もうこの世で会うことはないけど
私がいつか死んで
あの世であったら
思い切り文句を言ってやりたいと思ってる。
祖父がどこかに生まれ変わって
悪さをしていませんように。