見出し画像

妄想の石屋フリーペーパー

大阪の難波から南海電車で揺られて1時間。
南海和歌山市駅に到着した。和歌山は人混みがなく、ゴチャゴチャしていないのが良い。のんびり出来る好きな街の一つだ。

今回はこの地で見かけたフリーペーパーの話をしたいと思う。

現在、和歌山市駅は、再開発が行われ駅直結の商業施設(キーノ和歌山)やツタヤも入っている市民図書館やホテルが併設しており、程々に賑わっている。

せっかく来たお土産にと、商業施設棟2Fにある和歌山の酒蔵「平和酒造」が運営する平和酒店さんで梅酒を買い求めた。その際、目に留まり、手に取ったのが下写真の雑誌、無料配布であったので正確には、フリーペーパーだ。

このフリーペーパーは、「わかやま、ええわいしょプロジェクト」なる組織が音頭をとり制作されたようです。
このプロジェクトは、和歌山の良いものを日本全国、世界に届けようとする地域活性化を目的として活動しており、今回が梅酒だったという訳です。

梅酒フリーペーパーの内容はというと、、
「梅の風景、梅酒ができるまで、梅酒の豆知識」、「梅酒の作り手を訪ねて」、「梅酒トレンド座談会」、「梅酒に合うつまみレシピ」、「私と梅酒(コラム)」、「和歌山梅酒生産者マップ」、「生産者別梅酒カタログ」
・・とてもおしゃれによく情報がまとまっている。

うん、よい雑誌だなと、
しかしながら、何か少し違和感も感じたので、家で再度読み返してみることにした。

雑誌を読むのは楽しい。

読んでいると、昔思い描いた妄想が蘇り始める。
そうそうこんな石の雑誌・フリーペーパーを作ってみたかった。

好きな天然石・鉱物標本店、宝石ルースのお店、好みのジュエリーの工房でもいい。
雑誌に掲載した推しのお店の助けになり、活性化に繋がれば、こんなに嬉しいことはない。

更に妄想は膨らむ。
石雑誌の製作過程では、日本各地の店舗を周り、店舗をオシャレに写真を撮り、オーナーさんをインタビューしたり、石沼に何故ハマったのかとかの話を秘蔵っ子の石やジュエリーを見せてもらったりしながら、、最後には、雑誌製作に感謝までされ、、、名残惜しそうに石屋を後にする。。

そんな妄想中、違和感が再び頭をよぎる。

違和感の正体

不思議なのは、このフリーペーパーは、「商業誌」のようなおしゃれテイストでありながら、「フリーペーパー」にありがちなゴチャゴチャした下世話な感じがまるでないという事だ。

BRUTUSやPENなどの商業誌に比べ、フリーペーパーが、ローカルの不動産会社やクリニックの広告や美容院や飲食店のクーポンまみれになり下世話になるには理由がある。
そうしないと制作の採算が取れないからだ。

無料配布フリーペーパーでありながら、高級感のある商業誌のような佇まい、、そんな事が両立可能なのか?

つまり、このフリーペーパーは採算が取れるのか? というのが違和感の正体であった。

*下記参考までに、流行りのChat GPT先生に「商業誌」と「フリーペーパー」のそれぞれの特徴を書いてもらった。おお、凄い。それらしい回答が出てきた。

お題(Q):
1. 商業誌
2. フリーペーパー
それぞれの特徴を教えて下さい

回答(A):
1. 商業誌(Commercial Magazines):
商業誌は出版社や企業によって制作・発行される雑誌です。利益を追求するために、広告収入や購読料などで収益を上げることが主な目的です。一般的に、幅広いトピックにわたる記事や特集があり、高品質な記事内容や写真、デザインが特徴です。有名な商業誌には、ニュース、ファッション、エンターテイメント、料理、旅行など、さまざまな分野があります。読者に情報提供やエンターテイメントを提供することを重要視しています。

2. フリーペーパー(Free Papers):
フリーペーパーは、一般的に無料で配布される新聞や雑誌です。主に広告収入によって資金を得ており、広告主が商品やサービスの宣伝を行う場として活用されます。フリーペーパーは、地域のイベント情報、ニュース、エンターテイメント、飲食店のクーポンなどを提供することが一般的です。地域社会や特定の読者層に向けて情報を発信するのが特徴です。

Chat GPTより

更にこの梅酒フリーペーパーについて色々考える。。。
・リストに掲載されている梅酒酒造会社が広告費としてお金を出すモデル?
・それが本フリーペーパーの唯一の制作費の原資ということ?
・ということは、リストに掲載されていない酒造会社もある?
・配布場所は、和歌山の酒屋のみ?
・それでは普段酒屋に来ないようなターゲットにはリーチできるの?
・梅酒の新規需要は喚起されるのか?
・クーポン無しに、どうやってこのフリーペーパーの効果測定するのか?
・これに酒造会社はいくら広告費用を払う価値があると考えるのか?
等々

結論としては、この梅酒フリーペーパー制作の収支は厳しいと感じた。
1回ぐらいはご祝儀で酒造会社から程々の広告費を貰い、制作費は賄えるのかもしれないが、それが持続可能な仕事となるには、少し遠いイメージだ。

私の脳内で、妄想の石屋フリーペーパーが萎んでいくのを感じる。
仮に、石屋くくりで雑誌の制作を推し進めても同じ結果になるであろう。

しかしながら、収支が怪しいこの梅酒フリーペーパーは現実に存在しているのである。
この雑誌の存在自体がミステリーである。

何か見落としてはいないのか?
自分が知らない採算を取れる仕掛けが何かあるというのか??

改めて梅酒フリーペーパーをまじまじ見てみる。
あっ!!、最終ページの片隅に「本誌は、令和元年度補正 共同協業販路開拓支援補助金 第6次採択事業において制作されたものです。」の文字。

なるほど、こんな雑誌の制作にまで補助金が出るんだ。。
そりゃ採算がとれ、収支は成立するよね。

色々な仕事がある。
色々な雑誌がある。
色々な補助金もある。

令和だねぇ~、、そんな皮肉めいた事を、シトリンから溢れ出したような梅酒を一杯飲みながら考えた。


それでは、本日はここまで。
皆さまの宝石ライフが色鮮やかでありますように。

若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る - 山部赤人



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?