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【Excel】3Dモデルの挿入
こんにちは、『あったらいいね!』と申します。
Solidworks 使用歴27年生の設計者です。
ここでは実際の設計現場では、「こんな使い方もしているよ」という
実践的な使い方 をご紹介します。
今回は Excel に追加されている、【3Dモデルの挿入】がどんな機能なのか? Solidworks との連携はできるのか? などを検証してみました。
1.Excel形式なら、誰にでも渡せる
EXCEL の機能に、『3Dモデルの挿入』 があることは、ご存知でしょうか。
これは Excel に限らず、Word や Power Point といった Microsoft office
製品に共通の機能で、バージョンは2019から追加になった機能のようです。
「ひょっとしたら CADデータも、読み込めちゃうの?」
淡い期待を持ちながら検証してみました。
もしCADデータが Excel で、ちゃんと読み込めたら、、、すごいです!
作業効率は、かなりアップします。
CAD データは、CADを持っている人しか見ることが出来ません。
担当者同士ならば それでも良いですが、上司や関連部門の方は、CAD を持っていない場合もあります。
またCADを持っていたとしても、CAD データをいちいち開くのは、手間がかかり面倒なのです。
そのため お客様に状況の報告する時は主に、Excel や Power Point にCAD画面を貼り付けて報告書を作ります。
そして、これが結構手間なのです。
2.どんな3Dモデルが取り込めるのかな?
それでは実際に使ってみましょう。
Excel のコマンドで <挿入> → <図> → <3Dモデル>を選びます。
「このデバイス」と「3Dモデルのストック」の2種類の取込み先が出るので、まずは「3Dモデルのストック」を選んでみます。

すると色々な分野のアイテムが一覧で表示され、好きなモデルを選ぶことができます。

これは Microsoft が予め準備した3Dデータで、単純な画像と、動くアニメーション画像の2種類があります。
その中から今回は、「アニメーション動物」のカテゴリーの「犬」の中から選んでみました。
選んだのは「柴犬」です。

すごくリアルな柴犬です。
しかもアニメーションなので、動きます。
表情を変えたり、目をつぶったり、、なんとしっぽも振ります。

中央のアイコンを触ると、360度 いろんな角度からの「柴犬」を見ることが出来ます。
ついでに アニメーションの場合には、左上のコマンドに <シーン>という場面ごとの映像があります。
シーン4 にすると、柴犬が微笑みながら転がります、、なんと可愛い。。。

3.読み込めるファイル形式は?
Excel 内で、準備された3D画像がリアルで360度表示できるのは、分かりました。
次に外部から、どんな3Dデータが読み込めるのかを見てみましょう。
Excel のコマンドで <挿入> → <図> → <3Dモデル>で、こんどは「このデバイス」を選んでみます。

読み込めるファイル形式のリストが出てきます。
excel に取り込めるファイル形式には、以下の6つのファイル形式です。
・ .fbx 、 .obj 、 .3mf 、 .ply 、 .stl 、 .glb
これらの形式は、『CG・グラフィック系』のファイル形式で、残念ながら、IGES、STEP といった『CAD系』のファイルではありません。
ある程度予想はしていましたが、この時点で Excel 内で CADデータを扱い作業効率を上げる希望は潰えました。
同じように立体的に見える3Dモデルですが、CG系とCAD系は 全く違います。
少し専門的になりますが、『3D-CADデータ』はX,Y,Zなどの各方向の寸法を全て持っており、ある意味「現物」と同じものを 画面を通して見ているものです。
対して『CGデータ』は、寸法の概念はありません。
表面だけを『メッシュ』という ”つぎはぎ”で覆ったモデルで、画面上で「それらしく」見せているものなのです。
参考までに、先ほどの「柴犬」のデータで、メッシュが解るようにしたものが下の図です。
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そのため見た目は同じですが、データ上は全く別のルールのため、互換性はありません。
とは言え Solidworks 側でも 「.3mf」 、 「.ply」 、 「.stl」 の3つの形式には対応しているので、この中の『.stl形式』を使って、Solidworks データを Excel で読んでみましょう。
4.CADデータをエクスポート
それでは実際に Solidworks から、ファイルをエクスポートしてみます。
今回 Excel へ送るのは、この Audio筐体です。
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Solidworksでデータを開き、<ファイル> → <指定保存> で 「ファイルの種類」に 『STL*.stl』を選びます。
部品単品をエクスポートする場合はこのままでOKですが、アセンブリをエクスポートする場合は、「オプション」を開いて、「アセンブリの全構成・・・・」にチェックを入れ、OKをおします。

5.CADデータを Excel へ読み込む
CADからエクスポートした audio筐体のデータを、Excelで読み込んだのが、こちらになります。

読み込めました。
中央のアイコンで動かしてみると、ちゃんと360度、どの方からも見ることが出来ます。

6.う~ん、、今後に期待をしています
確かに形状は渡って3次元形状の確認もできるのですが、、、、
色が付いていません。
そのため細部の形状や凹凸の違いなどは判らず、一つのブロックのように見えます。
これは「.stl」形式の場合、CAD側からの色データが渡らないためです。
他の「.3mf」や 「.ply」 の形式でも同様でした。
結果として、資料化に使えるレベルではなく、非常に惜しい機能と感じます。
色の判別が出来ず、画像がシャープではないため、全体のイメージしか解りません。
これでは自社の商品説明や、具体的な構造の説明は難しいでしょう。
比較的新しい excel の機能でもあり、まだまだ認知度が高くないためか、この機能は設計者の実務ではあまり見かけません。
その理由はこの辺りの制約によると感じます。
是非、今後の改善を期待したいと思います。
参考までに CAD以外で3Dデータを配布するならば、現時点では【3D-PDF】が一番良いと思います。