洗濯機と革ジャン
革ジャンをお持ちの方、お手入れはどうしていますか?
わたしは、フライトジャケットのB3を持っているのですが、
洗濯機で洗濯しました。
わたしだってそんな事はしたくなかった…
でも、しかたがなかった…
なぜそんな暴挙に出たのか?
洗ってどうなったのか?
ことの顛末を聞いてください。
憧れのB3
B3を購入したのは27年前。
社会人になって初めてのボーナスの大半を注ぎ込んで購入しました。
購入当初は革も硬く、育て甲斐のあるジャケットでした。
とくに、特徴ある袖口の羊毛にクセがついていなく、着る度に一段捲るのですが、何年経ってもクセが付かず、気が付くといつも伸びていました。
ジーンズ後には、必ずオイルを素手で溶かして塗り込み、ジャケット全体をテカテカにして2~3日陰干しし、乾いたタオルで拭きあげて手入れをしていました。
やってしまった
購入から10年くらい経った頃、いつものようにオイルを塗ったのですが、
明らかにオイルに違和感を感じました。
しかしわたしは、
「まあ、とりあえず塗ってみよう」
と思い、ジャケット全体に塗布。
しかし、違和感があったので、いつもよりは薄くしました。
その後、陰干しをするのですが、
もうこの時点でダメなのです。
「クサい」
いままで嗅いだことのない嫌なニオイ。
そうです。
何年も常温保存していたオイルが、劣化して悪くなっていたのでしょう。
慌てて拭き取るのですが、
時既に遅し!
ニオイが残ってしまいました。
その後、新しいオイルを塗ったのですが、ニオイが無くなることはありません。
むしろオイルが混ざってさらに強烈なにおいが。
娘に嗅がせても「クサい」「近づかないで」といわれ、一緒に外出するときは着用禁止になり、1人で出かける時だけ着るようしていました。
もう着れない?
それから2年ほど陰干しを繰り返すのですが、
まったく匂いが取れず、着ていてもクサいので、いつしか自分も着なくなってしまいました。
それでも1年経って冬になると、やっぱり着たくなるので、消臭をいくつか試みました。
まずは、消臭の基本、重曹です。
ジャケットを裏返しにし、羊毛にスプレー
全体的に吹きかけ、乾き待ち。
すると、完全ではありませんが、ニオイは抑えられていました!
しかし、
重曹が乾くと元の粉に戻るようで、着るとくしゃみが…
結局、再び裏返しにして、粉を払い落とす始末。
ほかにも、当然各種消臭剤を考えましたが、匂いが混ざることを恐れ、実行には移せませんでした。
もう売ってしまおうか
着れないジャケットが見えるところにあるのが苦痛になり、
もう売ってしまおうか
と何度も思いましたが、売ったあとに購入した誰かの手によって、消臭され着られることを考えると悔しくて、
売ることもできず、
いっそのこと捨ててしまおうか、とも考えたのですが、
捨てるくらいなら…
捨てるくらいなら…
捨てたと思って何でもやってみようと思うようになりました。
もう何度調べたことか、革ジャンのクリーニング。
高額ですよね。
まあ、革ジャンを買うことに比べると安いのですが。
革ジャンのクリーニングを得意としているお店の口コミでも、100%満足とはいかず、
「汚れやニオイが落ちていない」などと書かれているのを見ると、
やはり、クリーニングに出すという選択肢は除外されました。
YouTube
調べ物をすると行き着く先はYouTubeです。
クリーニング以外でどうにかする方法はないかと調べていると、
ここにはやはり、わたしと同じことを考える人がいるのです。
さすがに、フライトジャケットのB3を持っていて、手入れを投稿する方は少ないのですが、
いました!
風呂場の湯船でB3を洗っている猛者が!
洗った結果、革の変色や縮み、羊毛がチリチリになるようなこともなく、きれいになっていました。
しかし、最後に投稿者から一点の注意点が。
それは、
「濡れたシープスキンは指で穴が開くよ」ということ。
実際に投稿者のB3の横っ腹には穴が開いていました。
これは、わたしにとって最重要ポイントとなったのです。
ついに、洗う
さっそく、わたしも洗う準備をはじめました。
当時のわたしは、単身赴任で一人暮らし。
風呂はあったのですが、湯舟は小さく、しかも深く、B3を洗うには適していませんでした。
投稿者は湯舟で洗ったあと、脱水は洗濯機に入れていました。
しかも、その時に水を含んでやわらかく重たくなったB3を持ち上げて穴を開けてしまったのです。
わたしは、そのリスクを避けるためにも最初から洗濯機で洗うことにしました。
洗剤は、羊毛のことを考えて
「毛糸洗いのアクロン」を選択。
革に塗られた長年のオイルを考慮して、ボトル半分のアクロンを使用しました。
ジッパーを締めるか開けるかでしばらく悩み、結局、半分締めて
いよいよ洗濯機に投入!
お湯を入れ、アクロン入れて濡れていくB3
わたしの洗濯機は縦型で上の蓋が透明だったので、ずっとそこから様子を見ていました。
しばらくして、ようやく回るB3を見ていてもどうしようもないことに気づき、イスに座るのですが、やっぱり気になって何度も覗きに行きました。
その様子は、傍から見ると相当怪しい動きだったでしょう。
洗ったら、干す
洗い、すすぎ、脱水の一連の作業が終わり、いよいよ勝負の時
もっとも慎重にならなければならない時間がきました。
つぎのミッションは、どのようにして干すか?です。
洗い終わったB3を少し持ち上げてわかりました。
重い!
ハンガーには掛けれない。
そのため、理想としたのがセーターを干すように、平らにして干すこと。
しかし、濡れたB3を干せるような網などあるわけもなく、考えたのが、
イスとイスの間にスキーキャリアのバーを2本平行に渡し、そこにB3を置く。これが、わたしの部屋でできる最善の干し方でした。
干し方が決まり、いざ洗濯機から取り出すのですが、できるだけ点で持たず面で持つことを意識し、指が刺さらないように細心の注意を払い、ようやく干すことに成功。
しかしほっとしたのも束の間、ビビッて脱水を弱く掛けたことによってか、まだ水がしたたり落ちてくるのです。
対策は新聞紙とタオルです。単身赴任の部屋にはそれ以外ありません。
これにより、ワンルームの半分をB3に占拠され、生活がとても不自由だったのですが、そんなことよりも、つぎの心配は乾燥できるのかです。
干す・・・ゆっくり干す
水がしたたり落ちなくなったのが翌日の夜、この時点でまだ濡れています。
3日目、革面は表なので濡れた状態からしっとり程度になりました。内側の羊毛はまだ濡れています。
4日目、革面はまだしっとり、羊毛もしっとりくらいにはなりました。
ここで、革面は落ち着いたと判断し、内側の羊毛を乾かすことを優先しました。
B3をすっかり裏返し、羊毛を表にしました。
その状態でハンガーに掛け、まる2日。ようやく羊毛は乾きました。
6日目にまた通常の状態に戻し、ハンガーに掛け、革がまだしっとりしているので干します。
この時に、袖の折返しに癖が付けばと思い一段捲りました。
この状態で2日放置
9日目、やっと乾いたと判断しました。
そして、最大案件のニオイは…
少し、ほんのわずか、気にならない程度には減りました。
完全にパキパキに乾燥する前に新調したオイルを薄く塗り、1日様子見。
11日目、前回のオイルはほぼ吸収されていたので、一応乾拭きし、2回目のオイルアップ。
革にツヤが戻ってきました。
ニオイもほとんどなくなり、襟元の汚れもある程度取れ、
掟破りの革ジャン丸洗い作戦は大成功に終わりました。
おわりに
長年オイルを塗りたくってきたので、洗濯機が汚れないか心配はしていたのですが、影響は全くありませんでした。
その後
この暴挙に出た翌年、わたしは単身赴任に嫌気がさし退職して家に戻り4年が経ちます。
B3にそんなことは関係なく、今年も活躍しております。
あの時、袖を捲って干したことによって、すっかり折返しの癖が付き、いまでは自然に伸びることはなくなりました。
その作戦も大成功でした。
そして、今年も27年前に購入した若き自分を褒めています。
もし、わたしのように革ジャンのニオイにお困りの方は、最後の手段として、洗濯機で洗ってみるのも良いかもしれません。
あっ、
洗濯機の洗いモードは、「おしゃれ着洗い」がオススメですよ。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
もし、面白かったという方がいれば、スキを付けいただければ、幸いです。