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元住吉のBARに面接に行ってみた

※201x年代の話です。

2007年から2015年まで元住吉一筋で生活していた私だが、元住吉で面接を受けたのは本当に生活に切羽詰まった状況ではないと受けていない。

その理由として内気な私は、私生活と仕事に距離を取りたい為だ。
元住吉のブレーメン通りを歩いていた際に
「おう兄ちゃん元気か?今日は店休みか?」
そんな会話を絶対にしたくないし、私生活で職場先に関わる人を見たら目を合わせないどころか、見つけた瞬間Uターンだ。

今回は2010年から2013年ごろまで、新丸子でアルバイトをしていたが、アルバイトではなく安定した生活を手に入れる為、何も考えずにアルバイトを辞めた結果、金銭的に苦しくなり電車賃を払うお金が無くなり徒歩で通える元住吉にあったBARに応募してみた。

場所

元住吉駅から徒歩1分の好立地!

当時の私は、元住吉と武蔵小杉の中間ほどの井田三舞町という場所に住んでいたので、終電など気にせず働ける場所を、タウンワークで見つけ家で興奮したのを覚えている。

当時の応募方法は、現在のWEBのボタン1つで応募とは異なり、まず電話をかけて面接の予約を入れるのが主流だった。

当時の私には電話をかけるハードルが高く、最高の求人情報を見つけたにも関わらず、うじうじ電話の前で
『やっぱやめるか〜』
などかなり弱気な感じになって、電話一つするのに二、三日準備をしないとできないぐらいメンタルが豆腐だった。

志望動機

2013年当時の私は、基本家では酒を飲まず友人と出かけた際に少し嗜む程度しか酒を飲まない生活をしていた。

酒の種類もハイボールさえ知らず、ビールとZIMAとカシスオレンジしか知らなかった。

じゃあなぜBARで働こうと思ったのか。
それはカッコ良い、モテるイメージだからだ。

面接当日

そんなこんなでお店に電話をし、どうにか面接をしていただけることとなった。
元住吉の駅は、ブレーメン通りとオズ通りなるものがあり、私はブレーメン側に住んでいた為、面接を受けたオズ通り側にはあまり行く機会はなかった。

かなり緊張しながらブレーメン通りを歩いたのを覚えている。
駅前に存在感のある黄色いMのマークと、これまた存在感のあるオレンジ色をしたYの看板。

この道を線路沿いに外れるとすぐそこにお店があった。
駅前のメイン通りは賑やかだが、ひとつ道を外れるこの通りは、どんよりと薄気味悪い空気が流れていたことを覚えている。

その店は地下1階にあるらしい。だんだん緊張してきた。
『オエッッtt….オッtt…..』
若干えづきながら呼吸を整える。

地下に降りる前に若干小窓があり店の中が見えた。
そこにいたのは・・・まさにTHE・MASTERという感じの男。店の外にまで威圧してくるようなオーラがあり、一瞬家に帰ろうかと思ったが勢いに任せて店の扉を叩いた。

『ドン・ドン・・ドン、面接に来たgoochです』
決して愛想がよい人ではなく、どちらかというと元シュプリームの店員のような感じで、ほとんど反応もなく頷くだけのような反応だ。さすがに怖すぎる

面接内容

BARはこぢんまりした雰囲気で、求人情報にはこのような見出しが書かれそうな雰囲気である。

「地元民があつまる隠れ家的なオシャレなBARで一緒に働きませんか?」

そのTHE・MASTERという感じの男から一声。
「ここ座って、履歴書ちょうだい」
私は言われるがままに履歴書を渡しテーブル席に座った。
・・・・
・・

テーブル席の対面にその男が舐め回すように履歴書を見ている。
・・・
・・

どのくらい時間がたったか覚えていないが、BARとは思えない長い沈黙の空間がそこにはあった。

その男が口を開く
「今まで何をしてきた?」

この言葉は面接でよくある自己紹介的なものではなく、本当に人を見下したような質問の仕方だったことを覚えている。
今でも思い出して震えるときがある。それほど威圧感◎だった。

まさに蛇に睨まれた蛙とでもいいましょうか、私は言葉に詰まって
『えっとー・・えっとー・・』としか言えなかった。

そこから怒涛の説教が始まった。
「ほらね。あたなは今までなにもしてきてないから何も言えないんだよ」

「履歴書見ればわかりますよ、私ぐらいになると」

「今、25歳でしょ?25年間あなたは何一つ頑張ってない、そろそろ頑張りましょうよ」

「本当に頑張った方がいいよ」 

「いやー何か一つぐらい続けてきたものあるの?無いよねこの履歴書を見る限り」

「一本筋が通ってないというか、何がしたいか分からないもん、あなた」

「俺は頑張ってこの店をやっている」

「俺は努力してきた」
などなど、説教から自分すげーよ見たいな話になってきた。

「最後に何か質問ある?」
私はこの状況に呑まれ、軽くパニックになっていた。

『お酒の種類って覚えるの難しいですか?』

その男から一言
「知らんわそんなん」

面接結果

面接という名の説教を終了して店を後にした私。帰り道はメンタルボロボロというよりかは、何かスッキリした気分だった。

それは説教をされて嬉しかったというものではなく、働くことよりも働かないで済むという安心感が大きかったものだから。

店を出る際、その男から
「面接結果は後日連絡します」
と一言だけあった。

しかしながら、2024年になってもいまだに連絡がない。本当に適当な男だ。
面接の結果を一言伝えるだけのこと。そんなこともできないからお店が潰れるですよ。

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