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大倉山のBARに面接に行ってみた

「お客さん、彼が飲み物をおごると」
「ブサイクすぎて勘弁よ」
バーテンダーと客のやりとりである。

男たるもの一度は求人に応募したくなる職種がバーテンダーである。
応募回数は忘れたが4回ほど面接を受けたことがあり、どれも天下一品のスープのような味の濃い面接となったことを覚えている。

当時元住吉で一人暮らしをしており、スーパーからタウンワークを持ち帰りよく求人を探した。

タウンワークに小さく
「新規OPEN!!未経験歓迎!!BARのスタッフ募集!!」
バーテンダーの求人でなおかつ東急東横線沿い。
『よっしゃー!!これは応募するしかない!!』
小さなワンルームに私の声が響き渡る。

場所

東急東横線大倉山駅からレモンロード徒歩5分
この通りの狭い路地に入った場所に店を構えていた※2024年現在営業しているか不明

「Prrrr....Prrrr....Prrrr....」
さっそく電話で求人の応募完了。面接の予定を立てる。

面接当日

元住吉駅から大倉山駅に向かう。何を隠そう東横線に住んで2年経つが大倉山駅には初めて下車する。
『よくある街の風景だ。悪くない』
そんなことを心で呟きながら面接場所に向かう。もちろん緊張はしてる。私はかなり緊張しやすいタイプだ。面接場所(お店)に近づくにつれて吐き気が迫ってくる。

『オエッッtt....オッtt.....』
若干えづきながら呼吸を整える。
店についた。雑居ビルの2階だ。夜になるとかなりホットな場所になりそう。

店に入るとお店はまだ改装中だったが、バーカウンターなどの形はできており、気は早いがここでチョッキを着て接客するのかと想像したことを覚えている。

『すいませーん。面接に来たGoochです』
改装中の音で聞こえないらしい。 
『すーいーまーせーん!!!面接に来ました!!』
声が聞こえたのか、奥から髪の長い女性が歩いてきた。まるでシャンプーのCMに出ているかのような髪の艶。美しい。

「ここのママです」
そう言われると店の隅のほうに案内されそのまま面接をした。

面接内容

今回の面接はアルバイト。

  1. 働ける時間

  2. 働ける日数

  3. 酒は好きか

  4. 接客の経験はあるか

当時専門学生だったのでこのようなよくある質問だ。もちろん私服で面接に行っている。

面接結果

2日後に電話で合格。店が改装中のため手伝って欲しいと言われ、指定された日時にお店に来て欲しいとのこと。
『おっしゃー!!』
小さなワンルームに声が響く。

初出勤※手伝い

改装中の工事の荷物などを運ぶようなことを電話で言われている。大倉山に向かう。さほど緊張感はない。

『すーいーまーせーん!!本日初出勤のGoochです』

手慣れない作業をしているイケメンが気を利かせて店の関係者を呼んでくれた。

店の奥から巨漢が出てきた。
「あーGooch君ね」
「ちょとママを呼ぶから外(1階)で待っててくれる?」
『わかりました』
しかしイケメンが手伝っていたなーと思いながら、1階の外でママを待った。ママが足早に階段から降りてきた。少し息が荒い。

「ごめん・・これ・・・」
茶色い封筒を渡される。
「ごめんこれでなかったことにして・・ごめん・・」
そう言うとママは足早に2階の店に戻っていた。
『はっ?』
ママの甘ったるい香水の匂いだけがその場に残った。

渡された封筒の中身

状況を理解するのには時間はかからなかった。
『俺ダメだったんだ・・』
一瞬落ち込んだが
『ふざけんなよ!!時間返せよ!ババアがよー!』
と心の中で叫んだ。

レモンロードから大倉山駅に戻る途中茶色い封筒の中身を開けた。中には福沢諭吉が一人待機していた。

『はっ?金で解決するババアがよー!』
『なんでも金で解決できると思うなよ!!』
と心の中で叫びながらレモンロードを二、三歩踏み出す。
心が変わるのは一瞬。きっとオレよりイケメンが採用されたのだろう。

封筒の中身の使い道

レモンロードを歩いてるうちにだいぶ冷静になることができた。実際には大倉山に2回きただけ。何もしていないのにこの羽振りの良さ。
これはラッキー案件。
ものの数分でそう考えるようになった。

その1時間後・・・
ものの数分で福沢諭吉はパチンコ店に吸われました。店はガ○ア大倉山店。その節はありがとうございました。
薄手のネルシャツ1枚で大倉山に行った私は、降谷健志をイメージしたコーディネートだったが、もはやウシジマくんの宇津井優一に見えるぐらい情けない表情をしていたことだろう。

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