2024 J2リーグ 第24節 VSベガルタ仙台戦
前置きとして
今年の徳島ヴォルティスの序盤は、まあひどいものでした。サッカー経験者の息子と一緒に観戦に行ったとき、試合が終わっての息子の最初の一言が「この時間を返せ(=ほかのもっと楽しいことができたのに、時間を無駄にした)」だったのですから。
今までヴォルティスの試合を何度か家族で観戦に行きましたが、たとえ点差がついた負け試合でもこんな言葉が息子から出ることはありませんでした。それがこの有様。いかに今年序盤のヴォルティスのやってるサッカーが退屈で、やりたいことが感じられず、ただ単にボールを前へ蹴っているだけのつまらないサッカーであることを息子が正直に簡潔に一言でまとめたのですから。こういった時の子どもの正直さは悪意がないだけに正当な評価であることが多いように思えます。
吉田前監督には昨年途中からの就任でJ2残留という結果を残してくれたことには感謝しますが、子どもにこう言ったことを言わせるようなサッカーを選手たちにさせてしまったこと、そして、少なくとも2人のサッカー選手の徳島における生活を終わらせることに直接ではないかもしれないけど、原因を作ってしまったことについては、僕は一生怒りをもって覚えてると思います。韓国で指導者に就任するようですが、はてさてどうなることやら。(個人的にはしばらくは日本での指導者はできない、というか声はかからないと思われるのでこれしかなかったのではと邪推します)
そして増田監督へ
その後に就任したのが増田監督。吉田前監督がヘッドコーチとして連れてきた方が繰り上がりでの就任。これがJリーグでの初めての監督業となります。
就任後、僕はツイッターに「野心をもって」という言葉を書きました。増田さんからすればコーチとしてきたのに監督にならされてしまったと後ろ向きではなく、まわってきた監督という立場をいい意味で利用して、自分が理想とするサッカーをサポーターに、サッカーファンに見せつけてやる、そして、結果を残して監督としてヴォルティスを踏み台にして成り上がってみせるぐらいの野心をもって就任してほしいと思ったからです。
というか、これぐらいの野心がないと今年のヴォルティスは立ち直れないし、ずるずるとJ3に落ちてしまうことが現実になると僕は思ってさえいました。
増田監督への成績面での評価
4月1日に暫定監督として就任後、それまで1勝5敗1分 勝ち点4の最下位(20位)というところから、第23節終了後時点で成績を8勝10敗5分 勝ち点29の12位というところまで成績を押し上げてくれました。監督個人としては7勝5敗4分けなのですから悪くありません。いや、あのズタボロのヴォルティスのサッカーをなんとか立て直して、勝ちゲームを多く作ったのですから個人的には成績面については上出来とさえ思っています。
増田監督はリアリスト?
ここからはかなり僕の主観が入っているので、「違うよ」と思う方も多いと思いますが、僕が思う増田監督とはかなりリアリストな方なのではないかと思ってます。
そう思う理由は何か。吉田前監督のころは言ってもいわゆる徳島らしいポジションの良さから生まれる流れるような攻撃と守備を何とかやってやろうと試行錯誤した形跡が所々に見え隠れしていたように僕には見えました。まあ、実際は全くと言っていいほど理想からはかけ離れたチームとなり果ててしまい、結果も出なかったので失敗に終わったのではありますが。
それが増田監督になってからは、試行錯誤の方向性が、勝ち点を積み上げるためにはどの選手の組み合わせが、どのシステムが有効かという解を導き出すためのものであって、勝ち点を稼ぐというミッションのために全精力を傾け、エンターテイメント性というところはミッション達成のためには「徳島らしいサッカーへの回帰」を求めるサポの声なんざクソクラエぐらいに無視できる方だからこそ成績をあげることができたように感じているところです。
増田監督の好きなところ
成績云々抜きで増田監督の好きなところを今から書きます。それは、チームが得点を決めた時の監督の所作です。すごく喜んでくれるんですよね。それこそ、選手に抱き着かんばかりの勢いで。
大概の監督って得点を決めた後には一瞬喜ぶけれどもすぐに冷静になって、後のゲームプランをコーチ陣に相談したりする姿をよく見るのだけれど、増田監督はとにかく喜ぶ。選手と一緒になって喜ぶ。そして、駆け寄ろうとする。
好きです、そういう姿。選手に近いところで居ようとする姿勢というか、気持ちはこれからも忘れていてほしくないなと思います。
岩尾憲の帰還
増田監督の指揮のもと、徐々に勝ち点を積み上げることができるようになってきたヴォルティスに、ビックサプライズがもたらされます。浦和から岩尾憲選手がヴォルティスに完全移籍での復帰のニュースです。
浦和で干されていたわけでもなかったで、この移籍は本当に予想外でした。個人的には引退してフロントやコーチあたりで帰ってくるのはあり得るのかなと思っていたけど、選手として帰還してくれるとは。本当にびっくりでした。
岩尾憲が戻ってくることでネガティブになる僕
選手として戻ってきてくれた岩尾選手。僕はこれが悪いほうに出なきゃいいのになって思ってました。
そりゃ、2020年のJ2優勝の立役者です。徳島サポの中では神格化されているといっても過言ではありません。戻ってきてくれてうれしくないはずありません。
でも、J2優勝メンバーのうち岩尾選手と一緒に出場したレギュラーメンバーは数えるほど(徹に、ウチコーさんに、田向ぐらい?)。一緒にやったことのあるメンバーと言えば渡選手や杉本選手はいるけど、あの時の徳島のサッカーはあのメンバーとリカルドが作り上げたサッカーだから、岩尾選手一人戻ってきたところでサポが待望している徳島らしいサッカーが復元できるとは思えないし、今の増田さんのサッカーでそれなりに結果出てるんだから、岩尾をどう組み合わせるんだろう、邪険には扱えないし増田さん困んないかな?あと、柿谷選手っていうもう一つの徳島のシンボルとの共存は果たして大丈夫なのだろうかとか、もうネガティブでね。早く試合を見ていい意味でも悪い意味でも心落ちつかせたかったですね。
復帰戦 仙台戦
結果は皆さん知ってるでしょうし、戦術とかの細かいところは戦術クラスタの皆さんがそれぞれの媒体で語っているので僕はそういったところは書きません。
岩尾スゲー
早速スタメン起用の岩尾選手。湘南時代に同僚だった永木選手とのダブルボランチ。そして、今の8番 柿谷選手との共演。後ろにはウチコーさんが控え、岩尾選手をバックアップ。坪井選手はひょっとしたら一緒に試合に出たことがあるかもしれないけど、あとのスタメンの選手はこれが岩尾選手と初共演。さあどうなるのか期待と不安が入り混じってのキックオフでしたが、開始10分で思ったこと。
岩尾スゲー、やっぱりすげー
でした。
なんてったって、柿谷選手が生き生きしてましたしね。永木選手との安定の中盤があるもんだから前に向いてプレーできる。これまでのどの試合よりも前に向いてのいわゆる柿谷選手らしい創造力あふれるプレーが随所に見ることができました。極めつけはエウシーニョ選手へのアシスト。坪井選手が引きつけてできたスペースへのアシストパスは、あのスペースを認知できる柿谷選手ならではのパスだったように思います。
また、永木選手と岩尾選手が中盤でボールに緩急をつけてくれるものだか仙台守備陣が翻弄されててね。そうなると、徳島攻撃陣がやりたい放題の展開になって、試合結果こそ2-0だけど、5点6点取っててもおかしくないほど攻撃が活性化されてました。
選手一人でこうも変わるのかと。僕のネガティブは全くの杞憂に終わりました。いや、ほんとすごかった。DAZN見れる人はぜひとも何度でも見直してほしいぐらい完璧な徳島の試合でした。
最後に
こうなると岩尾選手に期待をかけたくなりますが、もう岩尾選手も36歳。獅子奮迅で大車輪の活躍というわけにはいかないでしょう。ただ、岩尾選手のプレーを間近に見れることは若い選手にとっては絶好の教材。特に児玉選手や玄選手にはしっかりと学んでもらって、いつか岩尾選手を凌駕する選手になって、新たな徳島の顔となってほしいものです。
中断期間を挟んで次の試合は四国ダービー。プレーオフ進出に向けてもそうですが、四国ダービーは絶対に負けられない試合。いい方は悪いかもしれないけど、愛媛には踏み台になってもらいましょう。
行くぞ!ヴォルティス!
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