田と井と中

伝説の不良が巣食う
井田中学校の四天王は
田井中
田中井
中井田
中田井
の四名で構成される。

田井中と中井田、
田中井と中田井はそれぞれ幼馴染であったが、
ある日中井田と田中井が井田中の番長の座を争い
タイマンを張った所を
生徒会の井中田次郎(いなかでんじろう)が仲裁し
田井中・中田井を後見として彼らを四天王とした。

田井中は篤実な人柄から
頼られる事が多かったが、
内面焦ってもいた。

「なあ中田井よ」
「俺は中井田だが、どうした」
「我々四天王の名前だが、紛らわし過ぎないか?」
「実は俺もかねてからそう思っていたところだ。井田中もそう思わないか」
「井田中は校名だ」
「そうか」

田中井は言った。
「どうだろう。この際、我々に【二つ名】を用意してみないか??」
「成るほど。俺もかねてよりそういうものを欲しいと思っていたところだ。井中田はどうだ?」
「井中田…次郎は生徒会長だな」
「そうだったか」

「しかしあれだな、我々は背格好も髪型も同じ位の坊主頭。二つ名と呼ぶに相応しい称号などあるのだろうか」
「ふむ。それではそれぞれの地元の、地区名を名乗るのはどうだろう」
「おお、中中井井(なかなかいい)」
「うるさいぞ」

シャキーン

俺は上小田の田井中!
俺は上小田の田中井!
俺は下大田の中井田!
俺は下大田の中田井!

「どうも余計にややこしくなった気がするな」
「確かに。大だの小だの、上だの下だの覚える要素が増えてしまった」
「それ以前に2人ずつ幼馴染なのだから地区名で区切ろうというのが畑違いではないのか」
「田んぼなのにな」
「うるさいぞ」

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