【考察】リザードンの生物考察
諸君はNintendoが世界に誇るキラーコンテンツ、ポケットモンスターを知っているだろうか。
知らないとは言わせない。なので前略的説明は省かせて頂く。
現在は多種多様な生物をモチーフに900体近くが存在するポケモンだが、中でも有名なのは初代シリーズに登場した151体。
これらのポケモンには可視的な戦闘力の指標である、攻撃力や防御力のパラメータ、また炎雷氷といった森羅万象の属性や、格闘やエスパーと言った身体能力を具現化した属性、また「とくせい」と言うそのポケモンだけが持つ特徴が割り振られており、
それらを活かした戦闘適正によって、一般的な「強い」「弱い」の概念が確立している。
だが、そんなゲーム内の設定とは関係なく、今回はポケモンの初代のパッケージに登場した「リザードン」の生物的特性について無粋な考察をしていこうと思う。(トップ画像左のモンスター)
※本稿はあくまで専門外の人間による思考実験です
■ 超大喰らいの尻尾
ありとあらゆる「生命体」の生存にはカロリー、即ちエネルギーが不可欠である。
そして、もうひとつ、そこに存在し続ける限りエネルギー源となるものを必要とする現象がある。
「火」である。
見れば分かるのだが、「リザードン」と言うポケモンは尻尾に常に炎が宿っている。どうやら、産まれた時の姿である「ヒトカゲ」の時代から、この火が燃え尽きると死んでしまうようだ。
この燃焼の原理は何であろうか。
これにはガス、液体燃料、固形燃料の3つが考えられるが、固形だと体組織に引火して大爆発を起こしてしまう可能性があるので、ガスか液体燃料なのであろう。
仮にガスを使っている場合、恐らく体内の酵素を用いて食物からメタンガスを発生させている物と思われる。(要するにオナラ)
参考:環境省http://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/foundation.html
メタンガス発酵では有機物は約20tの生ゴミに対して2500m^3/日のメタンガスを発生させることが出来るようだ(覚えなくてよい)
これを仮にガスコンロ程度の炎をまる1日、維持するだけのメタンガス量に置き換えてみると、
(一時間あたりのガスコンロの消費量を0.3m^3として計算)
効率的にエネルギー変換を行ったとしても1日あたり57kgの有機物を、自分の1日の炎を維持するため「だけ」に消費することになる。
ここでリザードンの平均体重は90.5kgであるとポケモン図鑑に明記されているので、最低でも自重の(2/3)程の有機物を毎日食べている事になる。
ちなみにこれは、自分の筋肉・臓器を維持する為のカロリー量を考慮していない。
基礎代謝量は生物の種類に依存せず体重によって決まるので、大柄な男性が一日に食べる分と大体同じくらいの食事量(小麦だけで摂取したとして500~600g)が課される。
更に、だ。リザードンには翼があり空を飛ぶ事が出来る。
ふつう鳥類は空を飛ぶ事に運動機能のリソースをほぼ全てつぎ込んでおり、その為に体の中や骨はスッカスカ。飛ぶ鳥類でも最大クラスのクロハゲワシだろうと9.3kgと、リザードンの10分の1しかない!
常識的に考えて飛翔するのは不可能である。では、どうやったらこれを実現できるのか。
■ 食ってガスを貯めては飛び、食ってガスを貯めては飛び
ひとつ考えられるのが、リザードンの体重測定が行われたのが、地上で休んでいるタイミングであるという事である。
まずどうにかして1日に60kg分の食物を摂取したリザードンは、その日の夕刻まで半日近くかけてその大量の食事を消化する。そこで未消化の食べ物がある状態で体重が測定された、とすると体の重さは30kgである。
そしてすっかり体が軽くなったリザードンは、おなかが空っぽになった状態で食料を探し始める。
翌日も60kgの食料を確保しなければ、しっぽの炎が燃え尽きて即日死に至るのである。
体内のガスが風船の役割を果たすかと言うと、リザードンの体のフォルムに合わせるとなれば圧縮しておかなければならないため、浮力は当然期待できない。
なので、体重30kgとなってもできる事は精々、高い所からの「滑空」に限られるだろう。
また獲物に対してこっそり高所から飛び降りて攻撃するとしても、彼の尻尾はメラメラと炎が立っており、発見されずに距離を詰めるのは相当難しく、木陰や岩陰に姿を隠された時点でその回の滑空は全て徒労に終わる。
なんと苦しい生活サイクルなのだろう。
さて、思考実験と銘打って散々な事を口走って来たのだが、何だかんだ言ってリザードンのデザインは秀逸であり、
重ねて言うが物理的な配慮なんぞしていたら、キャラクターとしての価値は下がってしまうので、これはこれで良い。
ある意味、フィクションを楽しむ物の見方として、色々と数字をこねくり回してみると別の見え方ができるかもしれない、という程度である。
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天地創造デザイン部 https://morning.kodansha.co.jp/c/tendebu/
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