じゃりじゃりのパンが食べたい‼話
京都は京都地域のみで展開している美味しいベーカリーが多いが、その中でも私は進々堂のパンが好きである。
練乳シュガーフランスが特に好きで、京都に赴いた時は必ず複数本買っては冷凍庫で保存し、数日間楽しめるようにしているほどである。
この練乳シュガーフランス、いわゆるじゃりパンと呼ばれるもので
柔らかめの細長いフランスパンにグラニュー糖入りミルククリームが挟んである代物である。
かなり甘めのクリームだが、この甘さとグラニュー糖のじゃりじゃり感が他のパンにないうまさなのだ。
先日京都に出掛ける用事があったので進々堂に寄った。
新幹線から最寄りの進々堂は京都駅のバスロータリー内にある。
ショーウィンドウから注文するタイプのパン屋だが、いつもの場所に練乳シュガーフランスがない‼
ショーケース全体を見回してもない‼‼
これは由々しき事態である。
店員さんに尋ねてみるものの、いつも苦労なく買えていたパンなので
その時まで私は「練乳シュガーフランス」という正式名称を知らなかった。
「砂糖がじゃりじゃりのクリームパンはないのですか??」
言いたい事は分かるが正しくない説明である。
実は、進々堂の名物はクリームパンなのだ。
ショーウィンドウの中のクリームパンには今日も人気NO2とポップが付いている(尚NO1はクロワッサンだ)。
いわゆる猫の手のような、あの昔ながらの形に近い、黄色いクリームのクリームパンである。
私が「クリームパン」と伝えた時点で、店員さんの頭の中には猫の手のあのパンが浮かんだのだろう。
「クリームパンはこちらです」
人気No2のパンをお勧めされる。
…違う、これではないのだ。
「いや、細長~いパンに砂糖がじゃりじゃりのクリームが挟まったパンです」
「…もしかしたらうちではなくSHIZUYAさんでは…」
違う!!!
SHIZUYAは進々堂と同じく京都で複数店舗を展開している美味しいベーカリーである。
SHIZUYAのパンも美味しくてカルネはシンプルながら絶品だ。
SHIZUYAに砂糖じゃりじゃりのクリームパンがあるならぜひとも頂きたいが
私が今探しているのは進々堂の砂糖じゃりじゃりパンなのだ‼
「いや、ここです!!!」
食い気味に返答したうえでもう一度、細長くて砂糖がじゃりじゃりのパンを探している旨を説明する。
「…あ、練乳シュガーフランスですかね」
店員さんが思い出したように答える。
おぉ、そうだそうだじゃりパンはそんな名前だった気がする。
そして店員さんは続ける…
「練乳シュガーフランスはじゃりっとはしていないんですが…」
いや、絶対にじゃりじゃりしている‼
私は練乳シュガーフランスがじゃりじゃりしているから好きなのであり
じゃりじゃりしているが故に、今必死になって探しているのだ。
別にお客様は神様だとは全く思わないが、なぜここで私の意見を否定するのだ…‼
怒りが沸いたが今は練乳シュガーフランスの在庫確認が最優先事項だ。
「練乳シュガーフランスはじゃりっとはしていないんですが…今取り扱いもないです。」
否定されたうえに取り扱いされていなかった。
今品切れで取り扱いがないのか、販売終了したのか気になる所であったが
じゃりパンの否定に非常に意気消沈したので、進々堂で私が2番目に好きなフレンチトーストを買って店を出た。
フレンチトーストも美味しいが、私はやはり練乳シュガーフランスが食べたい。
販売終了なのか否か、とりあえず公式サイトで商品検索をしてみた。
あった!!
しかもなんと商品説明に「グラニュー糖のジャリっとした食感がアクセントです。」と書いてある。
ほら‼じゃりパンじゃないか‼
商品説明に書いてあるくらいじゃりじゃりなんだぞ!!!
それをじゃりパンでないうえにSHIZUYAのパンだと言うなんて…全くどういう教育をしているんだ…
再び怒りが沸いたが私はそれくらい進々堂のこの練乳シュガーフランスが好きなのである。
どうしても食べたいのでロータリー前とは違う最寄りの店舗に電話をしてみた。
1コールででた…ちゃんと従業員教育されていそうである。
「そちらで練乳シュガーフランスは扱ってますか?」
「扱ってますよ~あ、今日ですか?」
「そうです、今です。」
「今日の分は終わってしまったんです~。」
「どの店舗でも取り扱ってますか?」
「はい なので他の店舗ならまだ残っているかもしれないです。」
とても朗らかで気持ちの良い接客であった。
しっかり従業員教育しているじゃないか。
とにかく練乳シュガーフランスは販売終了ではないことが分かった。
ロータリー前の店舗に行ったのは午前中である。
新幹線に乗る前に寄ったら、もしかしたら午後の分が納品されてそれが残っているかもしれない。
用事を済ませて再びロータリー前の進々堂にお邪魔する。
…練乳シュガーフランスの姿はなかった。
最後の望みをかけてSHIZUYAに寄ってみた。
「砂糖じゃりじゃりのパンは取り扱ってますか?」
「いや、取り扱ってないです。」
そうですよね、知ってます。
こうして私は特にお土産のないまま新幹線に乗り込んだのである。