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4月1日からの税込単一表示義務化に伴って税込金額を丸めた数字にするかどうか。

2021年4月1日から価格表示を税込表示一本にしなければならなくなります。お上からすれば、自分らがどれだけ年貢を搾り取っているか、隠せと。国民の重税感を低減せよと。そんな意図でお店の人は値札を貼り替えたり、メーカーの人は価格戦略を練り直ししなければならなくなったりと、まあ振り回されているわけですが、卸小売を生業とする弊社にとっては、その両方の意味で迷っているところです。

というのも、昨年、コロナの影響で、ZACK社は新作をLEDミラー3種しかリリースしませんでした。その間、アイデアも貯まっていたのでしょう。なんと今春は64アイテムも発表してきました。例年は春と秋にそれぞれ20-30アイテム前後の新作が追加されることを考えれば、異例のことです。
ZACKも欧州における「ステイホーム」の影響で売上好調とのことなので、そうした資金的な余裕、チャレンジできる市場環境などを見据えたものと思います。

さて、ZACKは1円を争って安売するようなブランドではないので、税抜3800円の商品が税込4180円になるのが死活問題かというと、正直なところ、どちらでもいいと思っています。なので現行の608アイテムについては、今回の税込表示云々に関する価格改定はしないつもりです。
余談ではありますが、ZACKは例年1-2度の価格見直しがあり、全体としては年々値上がりしてきているのですが、国内販売価格は2018年4月より据え置いています。その前は2014年4月です。社内で吸収してきました。がんばってます。笑

ところが20アイテム少々ならまだしも、一気に64アイテム追加となると結構なインパクトがあります。なので今回の新作の値付けは重要。なにがかというと、これまで税抜金額を元に5800円、8200円など、下2桁を00円というようなキリの良い数字、いわゆる丸めた数字に揃えてきたわけですが、これを税込金額で丸めるかどうか、で思案しているわけです。
おそらく法制化された以上、今後しばらくの間は税込表示一本という状況は続くでしょう。しかし10%という税率がずっと続くかどうかは分かりませんよね。

発売元(国内的な立ち位置としてはメーカー)とすると、価格改定という取扱店様のお手を煩わせる作業はなるべく避けたい。変更作業の手間もそうですが、それがきっかけで棚落ちにならないこともない。エンドユーザーとしても、先週買おうと思って見てたのに今週上がってる、というのもあれです。

そういう意味で、価格は安定している方がいい。そういうスタンスで今まで国内価格はなるべく動かさないようにしてきました。為替も比較的安定してましたしね。

ただ先々は税込7800円とかが主流になる。なるのか?今のように税込8580円とかが違和感なくそのまま残るのか?本当に2800円みたいな丸めた数字の方が好まれるのか?売れるのか?3080円じゃダメなんですか?これは日本中のメーカーやお店が作り出すムード次第になるでしょうから、まだ分かりません。しかしこのタイミングで新作が出る。しかもたくさん。あまり価格改定をしたくないので周りを見てから変えるということはしたくない。つまり先行して今決めなければならないわけです。

ブランドとして14800円みたいな価格と16280円みたいな価格が混在するのは、本来は好ましくありません。全体でも600アイテム程度のブランドであれば、本来はここで方針を一挙に変えて、全体的に税込価格を丸めるような価格改定をするべきなのかもしれません。
しかし全体を丸めで統一すると、今度は税率が代わるたびに価格改定をして丸めていかなければならない価格体系になってしまいます。12%にはならないのか。8%には戻らないのか。IMFは「2030年までに15%まで上げよ」とか言ってます。

また、丸めるにしても、今回の新作含めて今後出てくる商品を丸め価格で出すこととして、今回の新作64アイテムを丸めで出して、そのうち現行品が徐々に廃番になっていき、商品の新陳代謝に伴って徐々に丸め価格が主流になっていく。ロングセラーモデルのいくつかは、おそらくなかなか廃番にはならないでしょうから、最後にまとめて改定する。という方法がないわけではありません。

SKUが何千何万とある大手メーカーや問屋さんはどうするんでしょう。社内的なルール作りが既にしてあればそれに従えばいいだけですが、消費税という税金自体、それほど歴史の古いものではありませんし、税込表示一本化というのも初めてのことです。
本当は丸めずに消費者に端数を見せて、「これ本当は税抜でなんぼなん。え、こんな税金取られてんのかよ!」と啓蒙したい気持ちがないわけではありませんが、丸めるだけで5%でも10%でも売上が増えるのであれば、経営としては丸めた方が良い。

新法の施行が4月1日。春の新作が入ってくるのが7月くらい。その手前で日本版のカタログを作る予定ですが、5月末くらいまでには入稿しないといかんでしょうなあ。それまでこのモヤモヤは続きそうです。とは言え絶対的な正解がない類のものなので、最後は結局エイヤーでやるしかないんですけどね。

現場からは以上です。


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