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東京大学 権藤智之研究室

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建築構法を研究する、東京大学権藤智之研究室のnoteマガジンです。 権藤智之研究室のHPはこちら http://gonlab.com/
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2019年7月の記事一覧

建築生産マネジメント特論講義3──在来構法と工務店、その未来

本稿は、東京大学大学院にて開講された権藤智之特任准教授による講義『建築生産マネジメント特論』を、一部テキストベースで公開するものです。 前回の講義ではプレハブ住宅の技術史的展開を概観した。それは部品の互換性技術に裏打ちされた「大量生産」という夢の実現であった。戦後の住宅不足を解決し、高度な住宅のプレハブ化に成功した日本は、世界的にも稀な工業化住宅先進国といえる。 しかし、改めて日本の住宅市場を見てみれば、売り上げが一兆円を越すような巨大なハウスメーカー(プレハブ住宅メーカ

2019年度HEAD研究会・ビルダーTF第1回 戦後の住宅生産の変遷

 HEAD研究会ビルダーTFの委員長になりました。住宅市場の縮小や職人不足、ストック化など住宅生産も変わり目の時期だと思います。こうした時期ですので、多少視野を広げるような講義をしていこうと思います。今日は全6回の導入として、住宅生産の変遷を概観しつつ、今どのような時期なのか考えたいと思います。 住宅不足と三本柱 戦後、日本の住宅生産は420万戸と言われた住宅不足から始まります。住宅を早く大量に建てることが至上命題でした。1950年代に入ると住宅金融公庫(1950年)、公営