マンガ原作『ヨコハマ・トレンチタウンロック』第3話「幻のメダリスト」⑤
あらすじ
みなと街ヨコハマ。ショッピングストリート・元町の川の向こう側…ハマのディープゾーン"トレンチタウン"の古びた雑居ビル『川向(かわむかい)探偵社』。川を渡りやって来る依頼者の奇妙な依頼の数々…。“ヨコハマ・トレンチタウン”に、レゲエ・ビートが鳴り響く…!!
事務所に現れた旧知のTVマンから、"幻のメダリスト"を探してほしい…との依頼。調査は難航、謎の男…GMからの情報により、湯けむりただよう秘境の温泉地へと向かう所長と村木。
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登場人物
所長…川向探偵社・所長
村木…川向探偵社・調査員
メグミ…川向探偵社・事務員
依頼者…テレビ関東(通称・テレ関)の売れっ子プロデューサー・宅間
源田光雄…宅間に依頼された尋ね人。元レスリング選手
GM…第1話に登場したトレンチタウンの住人。横浜ベイスターズの熱狂的ファンでGMを自称する
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新横浜駅ー
パナマ帽にカバン…ダンディーな所長と、いつものスーツにリュックの村木。
字幕・村木⦅新横浜から新幹線に乗り⦆
東京駅・21番線ホームー
山形新幹線に乗り込む二人。
字幕・村木⦅東京駅で東北山形新幹線に乗り換え約3時間半⦆
終着駅ー
駅に降り立つ二人。
字幕・村木⦅山形新幹線の終着駅から村営バスでさらに1時間⦆
山間部ー
トンネルの中を走るバス。
トンネルを抜けると、山の狭間に集落…。
バスの中。感嘆の表情の所長と村木。
所長「ほお~…」
村木「…!?」
字幕・村木⦅トレンチタウンを出て、約5時間…⦆
小さな温泉街が見える。
字幕・村木⦅小さな温泉街に辿り着いた⦆
温泉街から、"湯けむり"が立ちのぼる
字幕・村木⦅そこは、まさに秘境…⦆
(回想)
川向探偵社・事務所ー
所長、村木とメグミ…川向探偵社の面々。
所長「どおでえ…社員旅行も兼ねて、みんなでその秘境の温泉宿とやらに行ってみるか」
「ゴールデンタイムの特番となりゃあ、それなりの制作費だ…」
「調査名目でいくらでも引っ張れるぜ…がはは!」
メグミの想像カット。時代劇風…悪代官の所長と村木が悪人面で盃を交わす、キセルを吹かす遊女のメグミ。
N・メグミの声(主も悪よの~)
メグミ、PCのモニターに写される"秘境の温泉地"を見て。
メグミ「…アタシは遠慮しておく」
「だってここ…何にもないじゃん」
所長「ち…わかっちゃいねえな、最近のギャルはよお」
「観光温泉地じゃねえ、こういう昔ながらの湯治場の良さってもんが…なあ村木」
「…っつても、お前も裏切りモンだからな」
村木「いえ…その意見には、激しく同意します」
所長「ほ、本当か…村木」
「本当に…本当に、わかってくれるのか」
村木「はい…」
「私も、観光温泉地のボッタクリ価格のグルメやスィーツには辟易します」
「人も多く…むしろ気疲れして、のんびりとは出来ません」
所長「む、村木~っ…お前ってヤツは」
村木「所長~」
巨人の星、甲子園決勝戦後にマウンドで抱き合う星と花形さながらに、号泣しながら抱き合う所長と村木。
メグミ、醒めた視線で。
メグミ「ちぇっ…アホじゃないの」
(回想終わる)
秘境の温泉地ー
ほとんど人通りがない、旅館・土産店が並ぶメインストリート…。
どこか、簡易宿泊所が建ち並ぶトレンチタウンの光景を思わせる。
立ちすくむ所長と村木。
所長「感動するぜ…」
「ここだけ、まだ…昭和みてえだ」
村木「…」
レトロな郵便局舎の前の所長と村木。
所長「…まるで"つげ義春"の世界じゃねえか」
村木「はい…流行りのスィーツ店など一切なく」
「土産物は、温泉饅頭と郷土工芸品ばかりです」
所長「お前…"つげ義春"なんか知ってるのか?」
村木「いちおう…通っては来ました」
所長「ち…その年齢〈とし〉でか」
「…ったく変わりモンだな、お前もよ」
「だから…タンテイなんかになっちまうんだ」
村木「…」
川沿いの道を行く所長と村木。
立ち止まる二人。
所長「おい…あったぜ」
村木「…」
二人の前に、古びた旅館…看板《椿屋旅館》。
川向探偵社、事務所でのGMの回想カット。
字幕・GM⦅源田光雄は、現在…⦆
⦅東北地方の…ある秘境の温泉宿で⦆
⦅ひっそりと暮らしている…⦆
椿屋旅館に入っていく二人…。
『ヨコハマ・トレンチタウンロック』第3話「幻のメダリスト」つづく
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