【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.4 温泉に行こう
あらすじ
権藤右近は、30年前に行方不明…だったが、右近とその友人・牛山は、とある南の島で生存していた(映画『ハード・コア』より)。ある日、弟の左近がテレビの中で発見し、外国人…ウー・コン・ゴンド、ウー・シイ・ヤマのウー兄弟として日本に帰国する。平成では"自爆"で人生を清算するしかなかった二人…令和の世の中に「令和地獄ブラザーズ」の居場所はあるのか!?
登場人物
権藤右近…主人公。30年前、行方不明になっていたが、南の島で生存。外国人…ウー・コン・ゴンドとして令和の日本に帰国し、弟・左近の会社のトイレ掃除で生計をたてている。
牛山…右近の親友。ウー・シイ・ヤマとして右近と共に帰国。右近と一緒にトイレ掃除をしている。
権藤左近…右近の弟。元エリート商社マン。30年前に発掘した金のインゴッドを売却し、その資金で「サイバーコア・ネットワーク」を設立。現在CEOを務めている。
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『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.4 温泉に行こう
※タイトル画面
ウインズ横浜前に立つ…不敵な笑みを浮かべる右近。
字幕かぶせて。
字幕⦅合言葉は…Live!⦆
タイトル『令和地獄ブラザーズReturns』
『VOL.4 温泉に行こう』
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横浜・みなとみらい…。
「サイバーコア・ネットワーク」本社ビルー
トイレ。作業着姿で便器を磨く右近。
デッキブラシで床を磨く牛山。
《ふ~っ》と息を吐く右近。
右近「終わったか…牛山」
牛山「えええ!」
右近「よし、カタそうぜ…」
「これで…オレたちも仕事納めだ」
掃除用具を乗せた台車を《ガラガラ》と押す右近。ホース、デッキブラシを手に付いていく牛山。
女性用トイレ。
スルーする二人。
二人「…」
CEO室。机の前に座る左近。
その前に立つ、私服に着替えた右近と牛山。
右近「う~む…男トイレだけだと午前中で終わるな」
「来月から半分の収入だぜ…」
左近「…アパートは社員寮扱いだ」
「家賃・光熱費も掛からず」
「食べるだけなら充分な金額だろ」
右近「う、うむ…」
左近「兄貴たちのことだ」
「余計なお金を持つと…」
「どーせロクな事を考えないだろ」
回想カット。前回『VOL.3 クリスマス外伝令和Ver.』より、全力で自転車を漕ぐ右近。
右近「…」
左近「金銭的なことより」
「規則正しい生活と、適度な運動…」
「兄貴たちのリハビリみたいなもんだ」
右近「リ、リハビリ…?」
左近「令和の世の中への」
「社会復帰のためのな」
右近「う、う~む…」
右近、ポケットからスマホを取出し。
右近「そ、そうだ…!」
「コレで買い物をしているのを見たんだが」
「なぜオレのでは出来ないんだ?」
左近「そのようなアプリは入れてないし」
「そもそもNFCの設定がしてない」
右近「UFC…?」
左近「とにかく、あくまで勤怠管理の業務用だ」
「余計なことは出来ないようになっている」
右近「…」
左近、手を出し。
左近「貸してみろ…」
「"radiko"ぐらいは入れてやろう」
右近「radiko?」
右近の声(ワケのわからねえ、横文字ばっかり使いやがって)
回想カット。少年時代の右近と左近。
左近の声(兄貴は子供の頃から)
(ラジオっ子…だったからな)
左近「午後はラジオでも聴いて」
「部屋で大人しくしてろ」
右近「う~む…」
スマホを操作する左近。
左近「GPSをオンにして…」
右近「…IWGP!?」
スマホから流れるラジオの音声。
ラジオの音声(ええか…ええのんか)
右近、驚愕。
右近「う、うお~っ!?」
「つ、鶴光じゃねーか!」
左近、真顔で。
左近「いいか兄貴…」
「明日から会社も年末年始休暇だ」
「オレは…旅行に出掛ける」
右近・牛山「…」
左近「くれぐれも…」
「Xmasの時のようなトラブルは」
「二度とおこすなよ!」
恐縮の右近。
右近「わ、わかってる…」
力強くうなずく牛山。
牛山「えええっ!」
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横浜・桜木町ー
"横浜にぎわい座"あたり…。
街を行く、右近と牛山。
右近「う~む…たしかに」
「お金があろうがなかろうが」
「オレたちの食生活など大して変わらない…」
牛山「えええ…」
右近「ゼイタクしなければ」
「食べるぐらいのお金はあるが…」
右近、空を見上げて。
右近の想像カット。温泉につかり雪見酒の右近と牛山。
字幕(右近)⦅たまには温泉につかって一杯…⦆
⦅と、いきたいところだぜ⦆
右近「なあ…牛山」
大きくうなずく牛山。
牛山「えええ!」
ウインズ横浜前。
立ち止まる右近。
右近「ん…!?」
「"有馬"は終わったはずだが…」
ポスターを見る右近と牛山。
右近「な、なにい…ホープフルステークス!?」
「ジ、G1なのか…」
右近、牛山に。
右近「おい牛山…」
想像カット。旅館で鍋をつつく浴衣に丹前の右近と牛山。
字幕(右近)⦅年越しは温泉で過ごしたい⦆
⦅…と、思わないか?⦆
同意の牛山。
牛山「えっえっえっ」
右近「う~む…」
回想カット。『VOL.2 777』より、合計金額"777"のレシート。
右近の声(オレは、きっと…"持って"いる)
右近、不敵な笑いを浮かべ…。
右近「明日…勝負してみようじゃねえか!」
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横浜・日の出町駅前ー
ギャンブラー共でごった返す交差点。
字幕⦅翌日ー⦆
右近と牛山の姿。
右近「ちなみに…今年のオレの戦績は」
「的中したのは…」
牛山「…」
右近「…2レースのみ!」
立ち止まり、慌てて右近を引き留める。
牛山「えええ…!」
右近「だ、だが…その2レースとも万馬券だ」
「…そのうち一度は宝塚の特大万馬券」
「年間収支はプラスだ…」
牛山「…」
右近「三球三振か…」
「9回裏の代打満塁逆転場外ホームラン…だ!」
「その両極端が…実に"オレ"らしいじゃねーか」
牛山「えええ…」
右近「べ、別に…お前も買えって言ってるワケじゃねえ」
「ただ見ているだけで…」
「温泉に行けるかもしれないんだぞ」
牛山「…」
再び歩き出す牛山。
右近と共にウインズ横浜に吸い込まれていく。
ウインズ横浜・館内ー
マークシートを書き込む右近。
右近「こう見えてもオレは」
「かつて北海道で、騎手を目指し」
「…ている若者と知り合ったことがある」
「2歳戦は得意とするところだ…!」
《ポカ~ン》の牛山。
牛山「?」
右近「お前も少し買ってみたらどうだ?」
牛山「に、2百円…」
右近「ち…気が小せえヤローだぜ」
「買い目は?」
牛山「えええ…⑨➄④、⑫④②」
右近「ん…954、1242!?」
「…オレがいつも聴いているラジオ局の周波数じゃねーか!」
モニタ―前に立つ右近と牛山。
モニター画面…G1のファンファーレ、各馬ゲートイン。
息を飲む右近と牛山。
二人「…」
一斉にスタート。
右近、《ぐっ》と拳を握りしめる。
各馬、最後のコーナーを回る。
ゴール前、直線の叩き合い。
※ラストコマ
絶叫の二人。
右近「うお~~っ!」
牛山「えええ~っ!」
『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.4 温泉に行こうEND
次回につづく