【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.8 謹賀新年
あらすじ
権藤右近は、30年前に行方不明…だったが、右近とその友人・牛山は、とある南の島で生存していた(映画『ハード・コア』より)。ある日、弟の左近がテレビの中で発見し、外国人…ウー・コン・ゴンド、ウー・シイ・ヤマのウー兄弟として日本に帰国する。平成では"自爆"で人生を清算するしかなかった二人…令和の世の中に「令和地獄ブラザーズ」の居場所はあるのか!?
登場人物
権藤右近…主人公。30年前、行方不明になっていたが、南の島で生存。外国人…ウー・コン・ゴンドとして令和の日本に帰国し、弟・左近の会社のトイレ掃除で生計をたてている。
牛山…右近の親友。ウー・シイ・ヤマとして右近と共に帰国。右近と一緒にトイレ掃除をしている。
権藤左近…右近の弟。元エリート商社マン。30年前に発掘した金のインゴッドを売却し、その資金で「サイバーコア・ネットワーク」を設立。現在CEOを務めている。
吉田クンのお父さん…牛山の友だち、柴犬・吉田クンの飼い主。"金城会頭"のような風貌。
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『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.8 謹賀新年
横浜・みなとみらいー
赤レンガ倉庫の右近と牛山。
右近「しかし、いくつになってもいいもんだぜ…正月ってのは」
「すべてがリセットされたみてえでよ」
牛山「えええ!」
海から太陽が顔をのぞかせる。
※見開き大画面
横浜ベイブリッジからの初日の出。
陽を浴びる右近と牛山の横顔。
字幕かぶせて。
⦅これは…"カリブ"の伝承⦆
⦅"カリブ"キャラをお借りした⦆
⦅落語…のようなものである!!⦆
⦅2025年新春⦆
タイトル『令和地獄ブラザーズReturns』
『VOL.8 謹賀新年』
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横浜・みなとみらいー
桜木町あたりを行く、右近と牛山。
右近「オレたちも…今年こそはマトモな人間になろうじゃねえか」
牛山「えええ」
右近「まあ…この令和では」
「なにがマトモなのか…」
「さっぱり…わからねえがな」
牛山「…」
右近「そ、そうだ…牛山」
「吉田クンのお父さんに新年の挨拶してこよう…」
牛山「えええ…吉田クン!」
右近「あの人を見ると…なぜか」
「今は亡き"会頭"を思い出す…」
右近「初めて迎える…おひとり様の正月」
「…さぞ寂しいことだろう」
回想カット。前回『VOL.7』より、"吉田クンのお母さん"の遺影。
右近「"お母さん"に線香をあげて来ようぜ」
牛山「えええ!」
横浜某所・住宅街―
無言で立ち尽くす右近と牛山。
右近「…」
牛山「…」
吉田家。縁側の前で吉田父が釣竿を刀のように振っている。
吉田父「きえ~~っ!」
遠巻きに見ている右近と牛山、たじろいで後ずさり。
右近「お、おい…」
「やっぱり…やめておこう」
「げ、元気そうだ…」
牛山「えええ…」
引き返す二人。
釣り竿で素振りの吉田父。
吉田父「はっ…たぁ~~っ!」
横浜橋商店街ー
アーケード内を行く右近と牛山。
右近「う~む…」
「吉田サン…初登場の時から」
「ずいぶんキャラ変してしまったが…」
牛山「…」
右近「…今の方が断然面白い」
「柴犬・吉田クンと共に…レギュラー昇格だ!」
牛山「えええ…!」
右近「それにしても…」
想像カット。温泉につかり雪見酒の右近と牛山。
右近「温泉での年末年始…の夢も断たれ」
「大人しく…部屋で一杯やりながら」
「駅伝見てるしかねーな」
牛山「…」
右近、立ち止まり。
右近「ところで牛山」
「新春3大駅伝…って知ってるか?」
首をかしげる牛山。
牛山「えええ!?」
指を折って数えながら。
牛山「二、ニューイヤー…」
右近「うむ」
牛山「は、箱根…」
右近「うむ」
牛山「…」
《キョトン》の牛山。
牛山「えええ?」
右近「お、おい…」
「テレ東の"芸能人対抗駅伝"を忘れるな」
牛山「えええ~っ!?」
右近「今年もスター揃いの豪華メンバーらしい」
牛山「?」
右近「そして…猫チームの連覇がかかっている」
「がはは…今から楽しみだぜ」
「…お前は、どこが勝つと思う?」
牛山「えええっ(…どーでもいいよ)!!」
スーパー店内ー
総菜売り場に右近と牛山。
右近「う~む…」
「さすがオレたちの味方…"まいばすけ"だぜ!」
「元日も7:00からの平常営業とは」
牛山「えええ」
右近「新年早々お世話になるのは」
「少し寂しい気もするが…」
「寿司とおせちが食べられるだけでも幸せだ」
「お前も何でも好きなモノを買え」
牛山「えええ」
右近「自分のお金でな」
牛山「えええ~!?」
陽のあたる坂道。
窓から陽が差し込む。
右近の部屋ー
《コツン》と当たる二つの御猪口。
右近「あらためて…あけましておめでとうだ」
「今年もよろしく頼むぜ…牛山!」
牛山「えええ!」
右近「しかし令和になっても…」
「…こうしてお屠蘇を飲みながら」
TVには…"爆笑ヒットパレード"。
右近「"爆笑ヒットパレード"を見ると」
「つくづく…」
「正月って気分になるから不思議だ」
牛山「えええ」
右近「お、おい…」
「そういえば…明日あさっての"箱根"のコースは」
「ここから、さほど遠くない…」
「せっかくだから、現地観戦しようじゃねえか」
牛山「えええ!」
右近「…!」
回想カット。『VOL.4』の左近。
左近「くれぐれも…」
「Xmasの時のようなトラブルは」
「二度とおこすなよ!」
腕組みの右近。
右近「う、う~む…」
「やっぱり、やめておくか」
牛山「!?」
右近「う、牛山…」
「お前には…"前科"があるだろ」
牛山「…?」
右近「憶えてないのか…いつかの騒動を」
※回想
「『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』VOL.14甲州街道の夜」より、サルマタでマラソンランナーと並走する牛山。
牛山「えっえっ」
※回想終わる
右近「…じ、実はオレも」
「ガキの頃に同じような騒動を…」
牛山「…」
右近「だから…お前のことや 」
「 今でも見掛ける…沿道で自転車や走って追い掛けるヤツらの」
「まるで…」
「獲物を見つけた野生動物のような」
「…ある種の動物的本能は、少しは理解出来る」
牛山「えっえっ…」
右近「だが…今度、騒動を起こしてみろ」
「オレたちは…"炎上"の恰好の的となり」
「この街どころか…この国にさえ居られなくなるかも知れねえ」
牛山「えええ~!?」
右近「何より…」
「左近からまたウダウダ言われるのは癪に障る」
「ここは…大人しくTV観戦していた方が無難だ」
「…酒を飲みながら見られる」
牛山「えええ」
その時!《プルルル》と鳴る右近のスマホ。
右近「!?」
右近、スマホを手にして。
右近「あ、あい…」
スマホの声(私だ…)
右近「!」
※ラストコマ
スマホ片手に、思わず直立不動の右近。
右近の声(よ、吉田クンの…お父さん!)
『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.8 謹賀新年END
VOL.9につづく
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